2016年07月17日

[recommend]生誕60年を迎える石橋凌の新たなプロジェクトとは?

執筆者:甲斐幹人

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ミュージシャンと役者、ふたつの顔を持つ表現者として活動を続ける石橋凌。この7月20日で生誕60年を迎える。


1977年、A.R.B.を田中一郎、KEITH、宮城信一郎、エンマと結成。あくまでも硬派でストレートなそのサウンド・スタイルは80年代のロック・シーンに中でも特異な存在であった。

労働や戦争についての歌詞も多く、当時「社会派バンド」と呼ばれていたが、石橋自身は強い違和感を持っていたという。「(自分が聴いてきた)ジョン・レノンやボブ・ディランのように、自分が生活している中で感じたことを歌いたかっただけで、そこには、ラブソング、家族、仕事、戦争…様々なテーマがあった」と語っている


A.R.B はバンドの絶頂期であった1990 年に活動を停止。前年に急逝した松田優作の意思を継ぐべく、役者としての活動に専念するという石橋の強い意志によるものであった。


それからの7年、自宅のレコードやCDを全て物置に仕舞い込み、身辺から音楽を一切切り離すほどのストイックさで俳優業に没頭したという。

その間にハリウッドに進出し、アメリカの俳優ユニオン「スクリーン・アクターズ・ギルド(SAG)」の会員証を取得。「俳優として納得できるところまで行けた」という達成感を得て音楽を再開。1998年に新メンバーによるA.R.Bを復活させたが、2006年に石橋が脱退したことによりバンドは解散。


その後さらに5年の月日を経た2011年に1stソロアルバム「表現者」を発表し、ARB脱退後、沈黙していた音楽活動の封印を解いた。

 

ソロ活動から5年を経た現在、石橋凌が放つ音楽は昔のように尖った部分だけではない。生活や政治への強い思いを込めながらも、永年の俳優業を通じて身に着けた〝お茶の間にも届くメッセージ″を内包するものに昇華させている。サウンド面でも生音の深みや豊かさを意識し楽曲制作とライブに取り組んでいるといい、自らの音楽を「どこか懐かしく、でも今の時代の音=Neo Retro Music」と名付けている。


生誕60年の節目をより充実した音楽活動の出発点とするべく今年立ち上げた“R=60 PROJECT(アールロクジュウプロジェクト)”。

2月に第一弾としてライブ・アルバム「LIVE Neo Retro Music 2015」をリリースし、第二弾となる全国ツアーを展開。さらに今月20日の誕生日には第三弾として、赤坂BLITZで「SOULFUL CARNIVAL」*と題したバースデーライブを行う。


2月にリリースした「LIVE Neo Retro Music 2015」はCD2枚に全27曲、3時間に及ぶライブの模様が収録されているが、そこに収められているのは驚くほどの熱量と、会場を包む多幸感に満ちた空気だ。池畑潤二(Ds)、渡辺圭一(B)、藤井一彦(G)、伊東ミキオ(Key)、梅津和時(Sax)という名うてのミュージシャンたちの奏でる音楽は豊潤さの極みといえ、そこに、石橋凌のヴォーカルが力強く伸びやかなに加わる。還暦を前に、その声はまったく衰えていない。

「一本でも多く歌いたい」「一生歌っていきます」という彼の言葉は、生半可な努力では得られない自身のスキルに裏打ちされているからこそであろう。


実はこの「LIVE Neo Retro Music」は当初からリリースを目的に録音された音源では無かったという。あくまでも資料用として映像を押さえるのと同時にマルチ・トラックで収録されていたのだが、当日のライブ内容が素晴らしい出来だった為、スタッフやコンサートイベンターから「これ、作品にしましょうよ!」という声が上がったことを経緯に作品化されたものである。

このライブCDの特徴を挙げるとすれば、MCがほぼカットされることなく収められている点であろう。石橋自身が記録音源を聞いた際に一番大事にしたいと感じた『臨場感』と『間』を封じ込めたいという意図によるものだ。「音楽はライブで作られるというボブ・ディランの言葉って。それを言い当てているなと思うんです。」とも語っている。


石橋凌 Birthday Live『SOULFUL CARNIVAL』

日時:7/20(水)17:30開場/18:30開演

会場:赤坂BLITZ

出演:石橋凌、池畑潤二(Ds)、渡辺圭一(B)、藤井一彦(G)、伊東ミキオ(Key)、梅津和時(Sax)、太田惠資(バイオリン)

MC:スマイリー原島

ゲスト・ミュージシャン:浅井健一、鮎川誠、井上富雄、上田健司、上中丈弥(THEイナズマ戦隊)、柴山俊之、チバユウスケ(The Birthday/TheGolden Wet Fingers)、土屋公平、仲井戸”CHABO”麗市、中村獅童、花田裕之(ロックンロール・ジプシーズ)、増子直純(怒髪天)、優河 ≪50音順≫

料金:1Fスタンディング 8,000円 / 2F指定席 8,500円  

※料金は全て税込・別途1ドリンクが必要となります 

問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799 


石橋凌オフィシャルサイト[Gran Vision] 

LIVE Neo Retro Music 2015 石橋凌(Crown Stones/ 日本クラウン)CRCP-40448/49(2CD+DVD/3枚組)\4,167+税

表現者 石橋凌(avex trax) AVCD-38387/B ¥3,333+税

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