2017年03月14日
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2017年03月14日
昨年2月の誕生日の際に記事を書かせていただいて以来、2回目の登板となる岡田奈々のコラムです。春ですから、春らしい音楽の話を。
彼女の楽曲の中で、最も春を感じさせる曲にして最大のヒット曲となったのが、1976年(昭和51年)3月10日にリリースされた「青春の坂道」。それまでの3枚のシングルが比較的地味な成績を残したのと比較すると、オリコン23位、売り上げ10万枚越えと、当時のアイドルとしては立派な数字。彼女のファンでなくとも、記憶に残っている方は多いだろう。
『月刊平凡』のライバル誌・『月刊明星』の誌上で募集された一般読者の原案を元に、デビューから一貫して奈々の楽曲の作詞を手がけた松本隆が脚色を担当。作曲は前作「くちづけ」から引き続いて起用された森田公一。アレンジャーには、金延幸子と組んだ「愚」を皮切りに主にフォーク・シーンで活躍の場を積んだ瀬尾一三が初めて起用された。この彼が持ち込んだ新鮮な空気がまずは勝因ではないかと思う。今聴くとアナクロかなぁと思わせるメロディに、独特の軽さを持ち込んでいるのだ。物憂げながら懸命な歌声で「です・ます」調を多用した歌詞が歌われると、これこそが女学生の青春なのかと胸が締め付けられる。瀬尾氏の起用はこの後「かざらない青春」まで4作続き、その後も萩田光雄、船山基紀ら、70年代ポップス歌謡の発展に大きく貢献したアレンジャーが頻繁に起用されている。13作目「湘南海岸通り」で見せた新境地には、ここからチャート入りを逃したという事実を不思議に思うしかないが、彼女自身にも色々激動があったし、事務所の後輩がまさにアイドル花盛り期を迎えつつあったし。人生いろいろ…
ところで奈々は歌手活動の間にオリジナルアルバムを7枚(!)リリースしているが、75年12月出たセカンドアルバム『憧憬 (あこがれ)』を除くと、2004年リリースされたボックスセット2組でしか復刻されておらず、筆者でさえその全貌を追えていないのが現状。その一方で、手に入れやすいCDが全て単なるシングルコレクション的なものに終わっているのが残念。
そんな奈々さんの新着ほやほやの話題を最後に。昨年12月発売され大反響を巻き起こした、河合奈保子写真集「再会の夏」に続く「月刊平凡GOLDEN BEST」シリーズ第2弾として、岡田奈々写真集『二度目の初恋』のリリースが来る3月31日に決定した。平凡アーカイヴに残る奈々さんの多大な写真群の中から、未公開カットも含め約150点を厳選。御本人による最新エッセイも収録という、まさに目で追うヒストリーベストアルバムである。
そして、今回、「大人のMusic Calendar×平凡」企画として写真集の中から厳選された「特大ポスターカレンダー」(2017年4月~2018年3月)が特別販売されることとなった。この写真選定に際し、筆者もじっくり各写真を鑑賞させていただいたが、まさに胸キュン。リアルタイムで優等生のお姉さんとして瞼に映っていた彼女の印象は、今も全然変わらず。最近のアイドルを視る視線では追えない、まさに女神である。そんな彼女の存在を、永遠に身近なところにキープしておけるまたとないチャンスだ。
ついでながら、この写真集のリリースをきっかけに、主要シングル曲を目玉にしつつ、アルバムからの佳曲にスポットを当てた裏ベスト的なCDなんて発売されないだろうか。こちらにも奈々さん自身のインプットがあれば、相乗効果で盛り上がるのでは、と考えてしまう。ちなみに筆者は前述した『憧憬』に収録されている「雨のささやき」(ラブ・アンリミテッド歌謡!)こそ彼女の最高傑作だと思っている。
◆岡田奈々 超特大ポスター・カレンダー(2017年4月~2018年3月)
◆月刊平凡GOLDEN BEST!! vol.2 岡田奈々写真集二度目の初恋>
≪著者略歴≫
丸芽志悟 (まるめ・しご) : 不毛な青春時代〜レコード会社勤務を経て、ネットを拠点とする「好き者」として音楽啓蒙活動を開始。『アングラ・カーニバル』『60sビート・ガールズ・コレクション』(共にテイチク)等再発CDの共同監修、ライヴ及びDJイベントの主催をFine Vacation Company名義で手がける。近年は即興演奏を軸とした自由形態バンドRacco-1000を率い活動、フルートなどを担当。