2017年03月14日
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2017年03月14日
本日、3月14日は杉真理の誕生日。1954年3月14日、福岡県博多区生まれ。63歳になる。齢60を過ぎてもいい意味で変わらない。万年青年(!?)の面持ちのまま、年相応や大人の分別などとは無縁に忙しく動き回る。BOXやPiccadilly Circus、ALOHA BROTHERS、杉真理&須藤薫など、たくさんのユニットやプロジェクトを抱え、「吉祥寺の杉まつり」を始め、オリジナル・アルバム・リリース30年を記念した「完全再現ライブ」、「奇跡のトライアングル」、ビートルズ・トリビュート・ライブ「DearBEATLES」など、たくさんのイベントを取り仕切る。普通の会社員なら定年退職目前だが、杉は現場主義を貫き、生涯現役の勢いだ。
実は、本2017年は杉真理のデビュー40周年。アニバーサリー・イヤーである。1977年3月25日、マリ・アンド・レッド・ストライプス(杉真理&レッド・ストライプス)としてアルバム『マリ・アンド・レッド・ストライプス』で、ビクターからデビュー。翌78年2月25日には同バンドのセカンド・アルバム『スインギー』をリリースしている。
杉真理&レッド・ストライプスは、基本的にパーマネントなバンドではなく、セッション・バンドである。バンド名はリンダ・マッカートニーをボーカルにしたウィングスの変名バンド、スージー・アンド・ザ・レッド・ストライプスから取られている。デビュー・アルバムのジャケット・デザイン、1977年にリリースされたスージー・アンド・ザ・レッド・ストライプスのシングル「SeasideWoman」にインスパイア―されている(コピーしている!?)かと思いきや、1977年に発売になったUSA盤にはピクチャースリーブは付いておらず、1979年に発売になったUK盤で初めてあのスリーブが付いている。杉のデビュー盤はUSA盤よりも、もちろんUK盤よりも先に発売になっているから単なる偶然。偶然にしては出来過ぎた話である。ちなみにジャケットは平井夏美こと、当時はビクターでディレクションをしていた川原伸司のアイデアだそうだ。
そんな背景のあるレッド・ストライプスだが、そこに名を連ねるメンバーが錚々たる顔ぶれ。竹内まりや、青山純、新井田耕造、安部恭弘、平井夏美……など、その後の日本の音楽界に名を轟かし、華々しい活躍をしていく。改めて、その足跡や功績はいうまでもないだろう。魅力ある人のところには魅力ある人が、才能ある人のところには才能ある人が集まるということだろうか。杉真理の“引き寄せ力”は尋常ではない 。
杉真理&レッド・ストライプスの2枚のアルバムは杉真理の原点である。ビートルズやウィングス、ラズベリーズなどを彷彿させる、ドリーミーで、ポップな世界が展開されているのだ。
2枚のアルバムは度々、CD復刻されているが、90年に初めてオリジナル・アルバムとしてCD復刻された(それまでは2枚をカップリングした2枚組アルバム『NICE PAIR』が1982年にリリースされたが、1986年、同アルバムのCD化の際に収録曲が2曲、カットされている)。その際に杉真理は同作のライナーノートにコメントを寄せている。一部抜粋しておく。
「ミュージシャンには2通りのタイプがいて、本心とは裏腹に自虐的に、過去の自分をけちゃんけちょんにけなしながら進んで行くジョン・レノン・タイプと、決して過去を(明らかな失敗作でさえ)悪く言わないポール・マッカートニー・タイプとがいるが、僕はどちらかというと後者の方なのでこう言いきってしまいたい。“レッド・ストライプス、もちろん70年代で一番イカシタBANDのひとつだったよ”って……」
杉真理らしいコメントだが、それはいまも変わらない。自らのルーツやコネクションを大事にしている。杉真理&レッド・ストライプス後、1980年7月にソニーから『SONG WRITER』で再デビューするが、大きく脚光を浴びることになったのは1982年3月にリリースされた『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』(大滝詠一・佐野元春・杉真理)への参加だ。縁を貴ぶは、杉の“恩人”である大滝詠一ゆずりでもあるが、杉の活動がそのまま、そのことを証明していると言っていいだろう。
竹内まりや、安部恭弘らとの交流はいまも続き、度々、共演、共作もしている。2013年7月に竹内まりやがリリースした「Dear Angie ~あなたは負けない」(TBSの情報番組『NEWS23』のエンディング・テーマ)は、竹内まりやが歌、杉真理が作詞・作曲、そしてBOXが演奏というコラボレーション。また、2014年11月に杉がリリースした『THIS IS POP』には安部も参加。杉真理&安部恭弘として「音楽の女神」を共作、共演している。二人の軌跡を“青春プレイバック”しつつ、“つづく”と結んでいるのだ。
竹内、安部に限らず、“Pops All Stars”とでも言うべき、佐野元春や伊藤銀次、EPO、須藤薫、村田和人などとのコラボレーションも数多い。1986年11月にリリースしたコンピレーション・アルバム『Winter Lounge』(南佳孝、須藤薫、Hi-Fi SET、楠瀬誠志郎、PSY・S、PizzicatoⅤ他が参加)、同じく1987年6月にリリースしたコンピレーション・アルバム『SUMMER LOUNGE』(Hi-Fi SET、南佳孝、プリンセス・プリンセス、種ともこ他が参加)などは杉の引き寄せ力が発揮された最たる作品だろう。
1985年6月にリリースした『SYMPHONY #10.』(同作には佐野元春、伊藤銀次、浜田省吾が“本人役”で参加した「Key Station」を収録)、2008年1月にリリースした『魔法の領域』(デビュー30周年記念アルバム。BOXやPiccadilly Circus、竹内まりや&安部恭弘らを迎えたレッド・ストライプス、伊藤銀次、姫野達也、村田和人、堂島孝平など、縁のあるアーティストが参加)なども杉の面目躍如である。
前述通り、今年はデビュー40周年。マネージャーによると“デビュー40周年を迎え、記念ライブを企画してもユニットがあり過ぎて(笑)、一回でまとめることが困難なため、いろいろと小出しにしていく予定”だという。テーマは決まっていて、タイトルは『POPSひとすじ40年 ~お茶の間から天国まで~』だそうだ。徐々に情報公開される予定だが、いずれにしろ、デビュー40周年の杉の活動から目が離せそうにない。彼のHPなどを刮目していただきたい。
≪著者略歴≫
市川清師(いちかわ・きよし)『MUSIC STEADY』元編集長。日本のロック・ポップスに30年以上関わる。同編集長を退任後は、音楽のみならず、社会、政治、芸能、風俗、グラビアなど、幅広く活躍。共著、編集に音楽系では『日本ロック大系』(白夜書房)、『エンゼル・ウィズ・スカーフェイス 森山達也 from THE MODS』(JICC)、『MOSTLY MOTOHARU』(ストレンジデイズ)、『風のようにうたが流れていた 小田和正私的音楽史』(宝島社)、『佐野元春 SOUND&VISION 1980-2010』(ユーキャン)など。近年、ブログ「Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !」で、『MUSIC STEADY』を再現している。
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