2017年07月28日

今日、7月28日はスガシカオの誕生日

執筆者:内田正樹

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今日7月28日はスガ シカオ51歳の誕生日である。1966年に東京で生まれ育ったスガがデビュー前までサラリーマン生活を送っていたことは、もはや彼のファンのみならず多くの人に知られた話である。1997年、スガは「ヒットチャートをかけぬけろ」という人を食ったようなタイトルのシングルでメジャーデビューを果たした。彼は当時30歳。昔風に言えば“遅れてきた天才”だったのだ。


その後、当時はなぜかチャートこそ振るわなかったものの、彼の代表曲として長く愛されることとなるシングル「黄金の月」や、SMAPへの提供曲(後に自身もセルフカバー)として作詞を手掛け、後に中学校の音楽科目の教科書にも掲載された「夜空ノムコウ」、武部聡志らと結成したバンドであるkōkua名義でリリースされ、NHK総合テレビ「プロフェッショナル 仕事の流儀」テーマソングとなった「Progress」など、数多の名曲を世に送り出してきた。


ファンクをベースとしたアレンジに、極めて欧文の少ない、日本語中心のリリックを乗せることで起こるケミストリー。独創的な視点から紡がれる歌詞は、詩情と欲情と激情が、諦観と幻滅と退廃が交錯した季節を越えて、それでもなお希望の光へと手を伸ばそうとする、人間の本質的な生の“業”を描き出してきた。


スガは2011年に当時の所属マネジメントからの独立を発表すると、ライブハウスへのブッキングから出演、配信リリースまでをほぼ自分一人でこなして、約3年間、インディーズとして活動を続けた。この時期、SNSを有効に活用し、至近距離で触れ合うことのできるライブハウスにおいて、フェスに足を運ぶような若いリスナーたちと新たな関係性を構築したことは、彼にとって大きな財産となったはずである。


その後スガは2014年に再メジャーデビューを果たすと、2016年にアルバム『THE LAST』をリリースした。この人間の暗部を追求することで翻って希望を描き出したコアでディープなアルバムは、デビュー20周年、50歳を迎えたスガのまさしく集大成と言える一枚となった。さらに今年(2017年)の5月には『スガフェス! 20年に一度のミラクルフェス』を開催して、自身と親交のある多彩なゲスト陣と共に約2万人の観衆を大いに沸かせた。


ちなみにスガと同じ1966年丙午年生まれのアーティストには、宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))、大槻ケンヂ(筋肉少女帯、特撮)、中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン) 、増子直純(怒髪天)、田島貴男(ORIGINAL LOVE)、トータス松本(ウルフルズ)、斉藤和義、渡辺美里、斉藤由貴らがいる。2006年と2016年には彼らが一堂に会したライブイベント「ROOTS 66」が催されている。


スガの今後のスケジュールとしては9月18日に大阪城ホールで『スガフェス! WEST』が予定されている。また8月12日からWOWOWでスタートする「連続ドラマW プラージュ 〜訳ありだらけのシェアハウス〜」では星野源、仲里依紗、石田ゆり子らと共に連続ドラマへの初出演にもチャレンジしている。


ベテランのスキル。インディーズのフットワーク。ルーキーのチャレンジ精神。シンガーソングライターとしての破格の才能はもちろんのこと、こうした全てを備えている点から見ても、現在のスガがいかに稀有なアーティストであるかを理解してもらえるだろう。いくつものターニングポイントで見事に鮮やかな轍を描き続けているスガが、今後どんなアクションを起こし、どのような音楽を提示してくるのか、さらに楽しみでならない。


≪著者略歴≫

内田正樹(うちだ・まさき):ライター/編集者。1971年東京都生まれ。雑誌SWITCH編集長を経てフリーランスに。サンデー毎日にて音楽コラム「恋する音楽」を連載中。これまでに様々なアーティストのインタビューを手掛け、スガ シカオについては雑誌の特集やアルバムの初回特典DVDへの出演、ベスト盤のライナーノーツなどを手掛けている。

THE LAST (初回限定盤 CD+特典CD) Limited Editionスガシカオ

THE BEST -1997〜2011- スガシカオ

Progress Single, Maxi kokua

夜空ノムコウ Single SMAP

黄金の月 Maxi スガシカオ

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