2015年07月19日

ルーツは『ウエストサイド物語』!? 楽器を持たないGSシャープ・ホークスの軌跡。

執筆者:中村俊夫

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今日7月19日は故・安岡力也の誕生日。御存命ならば68歳である。現在40~50代前半の方には、フジテレビ『オレたちひょうきん族』でのホタテマンや映画・Vシネマでの強面キャラ俳優としてお馴染みかもしれないが、アラカンもしくは還暦超え世代にはやはり、シャープ・ホークスでドスの効いたバリトン・ヴォーカルを唸らせていたスマートで端正なルックスだった彼を覚えている方も多いと思う(武闘派・強面キャラは当時も変わらなかったが…)。

1963年3月、野沢裕二、安岡力也、鈴木忠男、山岡健二、加古幸子(のちのサリー・メイ)の5人で結成された「シャープ・ホークス」は、同年5月5~12日に開催された日劇ウエスタンカーニバルで、紀本ヨシオのバッキング・コーラス&ダンシング・グループとしてステージ・デビューを飾る。所属事務所社長・岸部清(現・第一プロダクション社長)が映画『ウエストサイド物語』(61年12月日本公開)を観て“歌って踊れる”グループの結成を思い付き、野沢にメンバーを集めさせたのがグループ誕生のいきさつであり、「鋭いタカ」が由来のグループ名も岸部社長が命名したものだった。

ここで注目したいのは、シャープ・ホークスが結成された前後に映画『ウエストサイド物語』影響下の“歌って踊れる”グループ結成が相次いでいること。先頭を切って62年4月に結成されたジャニーズに続き、ホリプロが結成したスリー・ジェッツ(当時、田辺昭知とスパイダースの付き人兼歌手だった井上堯之もメンバーだった)、そしてシャープ・ホークスと同じく63年3月結成、5月の日劇ウエスタンカーニバルでステージ・デビューしたクール・キャッツ(翌年ビートルズ・カヴァー「プリーズ・プリーズ・ミー」でレコード・デビューする)といった具合である。ロカビリー・ブームとエレキ・ブームの狭間に、『ウエストサイド物語』が重要なキーワードとなる時代が日本の芸能音楽シーンにあったのだ。

シャープ・ホークスはその後、数度のメンバー・チェンジを経て、65年に野沢(トミー)、安岡(リキヤ)、鈴木(サミー)、小山真佐夫(アンディ)の4人編成となり、バッキングを5人組エレキ・バンド「井上宗孝とシャープ・ファイブ」が手がけるようになった。66年9月1日に「ついておいで」でレコード・デビュー。同年12月1日発売の2ndシングル「遠い渚」のヒットで一躍人気グループとなった。67年4月、3rdシングル「若い夜」リリース後に小山が脱退。後任にジミー・レノンが参加してからも、「海へかえろう」(67年8月)、「レット・ミー・ゴー」(67年12月)とたて続けにヒットを放って行く。

ジミー・レノン在籍時は、ちょうどGSブームが巻き起こった時期でもあるが、楽器を持たないコーラス・グループであったにも関わらず、バンド主体のGSたちと並んでも違和感なく、GSに引けを取らない人気を獲得していった。それ故に現在も「グループ・サウンズ」というジャンルにカテゴライズされることが多いのだが、同じく『ウエストサイド物語』影響下で誕生したジャニーズのDNAを受け継ぎ、GSブーム期にハイソサエティという専属バックバンドを従えて日劇ウエスタンカーニバルにも出演していたフォーリーブスは、当時も現在もGSとしては認知されていないのが面白い。シャープ・ホークスや一部のGSのような不良っぽさとは無縁の特異な存在で、GSブーム終焉後の活動歴の方が長かったことも大きな要因なのかもしれない。

このように楽器を持たない珍しいGSだったシャープ・ホークスだが、彼らのバッキングを担っていたシャープ・ファイブが67年末にレコード会社を移籍してしまったため、新たにギタリストとベーシストを加え、自らも楽器を持つスタイルの6人編成バンドとして再スタート。新生シャープ・ホークスとして「オーケイ!」(68年1月/デイヴ・ディー・グループのヒット曲カヴァー。B面はストーンズ「テル・ミー」のカヴァー)、安岡のソロをフィーチャーした「ジーザス!」(68年8月)をリリースしたものの、皮肉なことに“楽器を持たないGS”が楽器を持ったとたんに人気は低迷。GSブームの退潮もあって、ついに68年11月に解散してしまう。

その後、安岡が新たにメンバーを集め「安岡力也とシャープ・ホークス」を結成。69年4月1日にシングル「この胸に十字架を」でデビューするが、安岡らしい男気と意地を感じさせるこのグループも、デビュー・シングル1枚を残しただけで、わずか1年足らずの活動期間で解散となってしまうのである。

写真提供 芽瑠璃堂
http://www.clinck.co.jp/merurido

シャープ・ホークス

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