2016年11月06日
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2016年11月06日
人生には思わぬ縁がある。たとえばジョン・レノンとボブ・ディランは、同時代にお互い影響を与え合ういわばライバル関係にあったが、しかし両者の接点は不思議とほとんどない。『イート・ザ・ドキュメント』という66年に撮影された未公開映像に、二人が車の 後部座席に座り、言葉を交わす場面が出てくる。それを観ると、どこかよそよそしい。最初にボブ・ディランに影響を受けたのはジョン・レノンの方だったが、そこではむしろジョンのほうが淡々としている。たまたまその時がそうだったのかもしれないが、この二人のように、お互い意識しすぎてぎくしゃくする場合がある。ジョンがポール・マッカートニーとうまくやれたのは、生き方も考え方もあまりに対照的だったからだろう。
山下洋輔と岡林信康の二人はどうか。『岡林信康読本』(CDジャーナルムック)を2010年に編集した際に話を伺う機会があったが、山下によると、最初の接点は、69年の“中津川フォーク・ジャンボリー”だったという。だが、フォークからロックへ“転向”した岡林のステージに両者のファンから怒号が飛び交い、興奮したファンがステージに花火を打ち込み、そのあと出る予定だった山下のバンドは演奏中止となったそうだ。次の“共演”は92年3月。元サムルノリのメンバー主催による韓国でのコンサート“アジアファンタジー”で共演し、それがきっかけとなり、山下洋輔や梅津和時などが参加した『メイド・イン・ジャパン』というアルバムを岡林は同年10月に発表した。
この時点では、まだ両者の結びつきはそれほど深くはない。岡林は、フォークからロックそして演歌へと興味の対象が広がっていったことについて、「自分の中に何が詰まっているのか興味をもってここまで来た」と語っていたが、演歌をやったから美空ひばりとの接点が生まれ、さらに美空ひばりをキーワードに山下洋輔との新たな共演も実現した。縁結びは“美空ひばり”だったということになる。山下との共演は、ジャズ、あるいはジャズ的なものを自分に取り込むと、どんな化学反応が生まれるのか。そこに岡林自身の興味もあったのだろう。
そうして生まれた『レクイエム~我が心の美空ひばり~』(2010年)。そのアルバムでは、山下洋輔がバックに徹し、岡林信康を支えている。あれから早6年。今度はステージ上での二人の“ガチンコ対決”が実現する。
「お互い、自分のやりたいことを続けて、それ以外はヤダと言って好き勝手に生きている」と山下が言えば、「私より年上の山下さんが走り続けているかぎり私も走らざるを得ない」と岡林が返す。
丁々発止のセッションとなるのは間違いない。既成の枠内にとどまらず、長年自由気ままに音楽の道を歩み続けてきたフォークとジャズを超えるレジェンドでもある、類い稀な“はみ出し者”同士の共演――。どんな思いを胸に二人が異種格闘技ともいえるリングに立つのか、いまから楽しみでならない。
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EX THEATER ROPPONGI PRESENTS 山下洋輔×岡林信康
◆出演
山下洋輔スペシャル・カルテット(山下洋輔piano、類家心平trumpet、坂井紅介bass、本田珠也drums)
岡林信康
◆日時
2016年12月28日(水)開場 18:00/開演 19:00
◆会場
EX THEATER ROPPONGI◆料金
7,500円(税込) 全席指定
※未就学児童入場不可
※入場時ドリンク代500円必要
※当日券販売のある場合は500円up
◆お問合せ
キャピタルヴィレッジ Tel.03-3478-9999
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