2017年05月16日

29年前の本日、BOØWYのラストアルバム『LAST GIGS』がオリコンで1位を獲得

執筆者:榎本幸子

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1988年5月16日はBOØWYのラストアルバム『LAST GIGS』がオリコンで1位を獲得した日である。


改めて説明するまでもなく、BOØWYは80年代を代表するロックバンドだ。シングルやアルバムを次々にミリオンヒットさせ、スプレーで固めて立てたヘアスタイルでテレビの音楽番組に出演したかと思えば、当時のロックバンドとしてはあり得ないようなスタイリッシュなゴルチエの衣装で武道館のステージに立った。それまでのロックのイメージを次々と、しかも軽々と変えたBOØWYは、デビュー後、たった5年でロック界の頂点にまで上り詰め、その輝きが最高潮に達した瞬間に解散してしまった。そしてそのあまりの潔さによって、ファンたちにとって永遠の存在になった。


氷室京介、布袋寅泰、松井恒松、高橋まことの4人からなるBOØWYが、ファースト・アルバム『MORAL』でデビューしたのは1982年3月のこと。残念ながらこのアルバムは商業的にはあまり成功しなかった。けれど自分たちの可能性を強く信じていた彼らは、マスメディアに頼ることなく、自分たちでストリートシーンへのアプローチをおこない続けた。


当時の彼らはライブのオファーがあればどんなに遠くても飛んでいった。以前、と言ってもう30年以上前のことだが、BOØWYのメンバーからその頃の話を聞いたことがある。「九州でライブをやらせてくれるっていうから、楽器車を飛ばして行ったんだよ。すごい時間をかけてさ。そうしたら何とスーパーの駐車場で歌ってくれっていう話で。しかもギャラは売れ残りの商品だった(笑)」。


一方、東京では、西新宿の小滝橋通り沿いのビルの地下にあったLOFTをホームグラウンドのようにして活動していた。キャパシティ300人のそのライブハウスではBOØWYと同世代のたくさんのロックバンドが、熱狂と喧騒の中で毎晩のように演奏を競い合っていた。そんな中で磨かれていったBOØWYのパフォーマンスは、次第にたくさんのロックファンの心をつかむようになり、ライブをおこなうたびに観客動員数を増やしていった。


やがて1986年にリリースした5thアルバム『BEAT EMOTION』がミリオンセールスを突破すると、翌年にはシングル「MARIONETTE」も初登場1位を記録。彼らに影響を受けたバンドが爆発的に増え始めたのは、多分この頃からだったと思う。氷室や布袋そっくりなパフォーマンスを見せたり、音楽的に影響を受けたミュージシャンが日本中に溢れだした。


そんな中、彼らは突然、解散を発表する。1987年のクリスマスイブに渋谷公会堂で行われていたライブ会場での出来事だった。


この『LAST GIGS』は、翌88年の4月4日と5日に東京ドームでおこなわれたBOØWYの最後のライブを収録したアルバムだ。この日のチケットは9万枚用意されていたにも関わらず、わずか数分でソールドアウトになった。予約開始と同時にチケットを求めるファンたちが一斉に電話したため最寄りエリアの電話回線がパンクしてしまったというエピソードは、今でもファンの間で語り草となっている。


それにしても、BOØWYの最後は本当にそっけないものだった。全国ツアーをするわけでもなく、たった2日間のライブでその華々しい活動に幕を閉じた彼らは、解散の理由について多くを語っていない。ただ、このラストライブについては「このライブに解散興行の意図はなく、あくまでBOØWYは前年の渋谷公会堂のライブで解散している。このライブは再結成という意味合いで、同窓会、最後のお祭り騒ぎ的なライブなんだ」と発言している。


その言葉どおり、彼らはこの時すでに次のステップへと歩き始めていた。解散後わずか3カ月で氷室京介は「Angel」でソロデビューし、秋には布袋寅泰もアルバム『GUITARHYTHM』をリリースした。


誰とも違う、誰にも出来ない、何ともカッコいい終わり方。BOØWYは最後までBOØWYらしかった。


≪著者略歴≫

榎本幸子(えのもと・さちこ):音楽雑誌「ミュージック・ライフ」「ロック・ショウ」などの編集記者を経てフリーエディター&ライターになる。編著として氷室京介ファンジン「KING SWING」、小室哲哉ビジュアルブック「Vis-Age」等、多数。

MORAL(K2HD/紙ジャケット仕様) Limited Edition BOΦWY

BEAT EMOTION Blu-spec CD BOΦWY

“LAST GIGS" COMPLETE(2枚組) Blu-spec CD BOΦWY

Angel/Shuffle[EPレコード 7inch] 氷室京介

GUITARHYTHM 布袋寅泰

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