2017年05月17日

デニス・ホッパーと映画『イージー・ライダー』の音楽

執筆者:東ひさゆき

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5月17日は、知名度の高さに準じた活躍をしたとは必ずしも言えない俳優/監督、デニス・ホッパーの誕生日である(1936年生まれ/2010年5月29日に死去。74歳)。キャリアが順風満帆でなかった理由は、『アラスカ魂』(60年)などで知られる監督、ヘンリー・ハサウェイとの喧嘩、アルコールおよび麻薬への依存、映画会社との確執といったトラブルのためで、ハリウッドから追放されたこともある。


端役、脇役を含めると、その出演作品は『大砂塵』(54年)や『理由なき反抗』(55年)、『ジャイアンツ』(56年)、『OK牧場の決斗』(57年)、『地獄の黙示録』(79年)などなど、実に興味深いタイトルが並ぶ。音楽ファンには『ザ・モンキーズ HEAD! 恋の合言葉』(68年)なんて作品もあるし、個人的には『ブルーベルベット』(86年)や『スピード』(94年)における彼も印象的だった。とは言え、デニス・ホッパーと言えば、やはり自ら監督、脚本も担当した『イージー・ライダー』(69年)が真っ先に思い浮かぶ。


『イージー・ライダー』は当時、日本ではニュー・シネマの話題作として紹介された。ニュー・シネマとはおもに反体制的な若者を中心に、リアリティあるストーリー、映像が展開される作品を総称したもので、『俺たちに明日はない』(67年)や『卒業』(67年)、『真夜中のカーボーイ』(69年)、『明日に向って撃て!』(69年)などがそれに当たる。


大まかなストーリーを記すと、マリファナの密輸で稼いだ若者ふたりが改造したオートバイに乗って、ロサンゼルスから南部への気ままな旅に出るが、そこで自由だけでなくヴェトナム戦争を背景とした時代の空気や人種差別などの現実も味わうことになる。特に悲惨なラスト・シーンは衝撃的で、これが50年代の映画だったなら、例えば『シェーン』(53年)のように観る側にそれぞれの想像ができるような描き方をしたと思う。当時、デニス・ホッパーはまだ33歳。現実を見つめる視点や表現力は若さに溢れ、同時に若さの可能性も感じさせてくれた。また、乗る乗らないは別にして、改造バイクは当時の若者を大いに刺激し、そこには自由があると思えたものだ。


音楽ファンとして見逃せないのは、やはりそのサウンドトラックである(アルバムは全米第6位を記録)。既発表曲が並ぶが、スクリーンに流れる楽曲は、プロデューサーを兼ねた主役のピーター・フォンダ(当時30歳)がボブ・ディランの意見を参考にしながら選曲したという。ステッペンウルフの「ワイルドで行こう」(68年/第2位)は、もはや映画『イージー・ライダー』とイコールの存在になっている。さらに、ザ・バンドの「ザ・ウェイト」(68年/第63位:サントラ盤にはスミスのカヴァー・ヴァージョンを収録)、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの「イフ・シックス・ウォズ・ナイン」、後にリトル・フィートに加わるリッチー・ヘイワード(ドラムス)が在籍していたフラタニティー・オブ・マンの「ドント・ボガート・ミー」、それにバーズのロジャー・マッギンが映画のために書いた「イージー・ライダーのバラード」などなどである。80年代を迎える頃になると、ロック、ソウル、カントリーの現役アーティストが積極的にサウンドトラックに関わってくるが、その先鞭をつけた作品のひとつが他でもない映画『イージー・ライダー』だったのだ。


≪著者略歴≫

東ひさゆき(あずま・ひさゆき):1953年4月14日、神奈川県鎌倉市生まれ。法政大学経済学部卒。音楽雑誌「ミュージック・ライフ」、「ジャム」などの編集記者を経て、81年よりフリーランスのライターに。おもな著書に「グラミー賞」(共同通信)など。

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