2017年05月05日

1968年5月5日、“失神パフフォーマンス”オックスの「ガール・フレンド」がリリース

執筆者:榊ひろと

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1968年5月5日、オックス「ガール・フレンド」が発売。


グループ・サウンズ(GS)のブームが正しくピークを迎えつつあった1968年の春にリリースされたオックスのデビュー曲。大阪のジャズ喫茶で活躍した実力派で満を持してのデビューだったのにも関わらず、“GSブームの末期に咲いた徒花”的なイメージを持たれがちなのは、オルガン奏者の赤松愛をフィーチャーした“失神パフォーマンス”の印象があまりにも強烈なせいもあるのだろう。


また真偽のほどは定かではないが、彼らが所属していた老舗のレコード会社では専属制度のくびきが強くGSブームに乗り遅れてしまったため、半ばヤケ気味に市場に水を差そうとして敢えて粗製濫造というか泡沫的なグループを大量に世に送り出したのではないかという通説さえ囁かれているくらいだ。しかしながら、橋本淳=筒美京平という当時のゴールデン・コンビとも言うべき二人が手掛けた作品の価値は、半世紀近くの年月を経た今も全く褪せることはないのである。


「ガール・フレンド」は中世欧州を思わせるメルヘンチックな世界を、マイナーの哀愁味を帯びたメロディに乗せて歌うという典型的な正統派GSの曲調で、「水色の朝日」といった橋本淳らしい表現も印象に残る。筒美京平による楽曲もフルートやストリングスを用いてゴージャスなオーケストレーションを施す一方で、Aメロ後半からサビにかけてのバッキングでは如何にもGSらしいビート感で盛り上げるなど多彩なアレンジメントを聞かせる。


こうした“日本人の琴線に触れる哀愁メロディ”、“最新の洋楽を意識したビビッドなサウンド”、“ゴージャスなオーケストレーション”といった3大要素は、初期の筒美京平作品を特徴づけるキーポイントであり、GSのみならず多くの女性歌手によるヒット曲においても随所に応用されている。またGSの場合はそれほどでもないが、ソロ歌手の楽曲ではバックに女声コーラスをフィーチャーするケースが多いのも特徴と言えるだろう。


オックスの第2弾シングル「ダンシング・セブンティーン」は、文字通り当時のゴーゴー喫茶の光景を彷彿させるR&B調のナンバーで、GSの音楽性の一断面を端的に物語っている。打って変わって第3弾の「スワンの涙」は、野口ヒデトの甘いヴォーカルとセリフをフィーチャーしつつメンバーがコーラスを提供するムード歌謡的な作品であり、こちらも1968年後半におけるGSブームの状況を象徴するような作品であった。


翌69年にも橋本=筒美のコンビはオックスに3枚のシングルを提供しているほか、解散後に独立した野口(後に真木ひでとに改名して演歌へ転向)のソロ・シングル「仮面」も手掛けている。


≪著者略歴≫

榊ひろと(さかき・ひろと):音楽解説者。1980年代より「よい子の歌謡曲」「リメンバー」等に執筆。歌謡曲関連CDの解説・監修・選曲も手掛ける。著書に『筒美京平ヒットストーリー』(白夜書房)。

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ガール・フレンド [EPレコード 7inch]オックス

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