2017年05月12日

5月12日はバート・バカラックの誕生日

執筆者:佐野邦彦

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5月12日はバート・バカラックの誕生日となる。


バート・バカラックと言えば、キャロル・キングやバリー・マンなど並び称される大作曲家。ただし洋楽に興味がない人でもバカラックの曲なら知っている。例えばB.J.トーマスの「Rain Drops Keep Fallin’ On My Head」(全米1位)、ディオンヌ・ワーウィックの「I’ll Never Fall In Love Again」(同6位)、カーペンターズ「Close To You」(同1位)、フィフス・ディメンション「One Less Bell To Answer」(同2位)は、1970年一年間にヒットしたバカラック・ナンバーで、その他に4曲トップ40に入るヒットがあった。これらのバカラック・ナンバーは真のスタンダードであり、誰もがどこかで聴いたことがある曲ばかりだ。


しかも流麗なメロディで誰もがうっとり…という古いジャズ系スタンダードとは大違い、転調、変拍子も駆使し、ロック、R&B、ジャズ、フォークからブラジル音楽などありとあらゆる音楽をミクスチャーしながら、誰もが覚えやすく心地いい音楽を作り出すマジックを持っている。バート・バカラックの音楽は魔法だ。


バカラックは作曲家だけでなく指揮者、編曲者としても活躍しているので、現在はバカラック指揮のオーケストラ、そして歌とピアノは本人というソロ・コンサートが人気だが、自分にとってのバカラックは、アメリカでの大ブレイクの前、60年代のイギリスのヒット・チャートでより多くのヒットが生まれ多くのイギリスのバンドがバカラックの曲を多く取り上げていた時代が印象深い。


ビートルズで知られる「Baby It’s You」、もとはシュレルズのヒット曲のカバーだがこの曲もバカラックなのだ。バカラックのヒット曲は1957年が最初だが1965年までにイギリスでは全英1位が6枚。この間のアメリカでのトップ10は11曲もあったが、全米1位は1968年のハーブ・アルパートの「This Guy’s In Love With You」までかかった。


バカラックの作曲の腕が光るのはデビュー直後の1957年の「The Blob」からで、このグルーヴ感溢れる曲をデビュー期に作っているから凄い。そして1963年にはジャック・ジョーンズの「Wives And Lovers」というワルツのリズムで転調を駆使した洒落たナンバーを書いている。この時期のイギリスのバンドはバカラックのような新しい音楽を生み出す作曲家に貪欲だ。サーチャーズ、マンフレッド・マン、ピーター&ゴードン、ウォーカーブラザース、フォーチュンズ、スウィンギング・ブルージーンズや、シラ・ブラック、ヘレン・シャピロ、サンディ・ショウなど、多くのイギリスのミュージシャンがバカラック・ナンバーを取り上げた。


アメリカでのヒットはやはりバカラック・ナンバーの申し子と言えるディオンヌ・ワーウィックの存在で光り輝く。1964年にはあの「Walk On By」をヒットさせ、1967年には緊張感と開放感が交互に織りなす「I Say A Little Prayer」、68年にはボサノヴァの「Do You Know The Way To San Jose」など19曲のバカラック・ナンバーをトップ40に送り込んだ。


先に60年代のバカラックは先にイギリスで火がついてと書いたが、それはチャート上の話、同時に多くのアーティストが米英でカバーしていて、後のヒットとか時代を超えてヒットしていったのでバカラックの曲には「時代」がない。前述のカーペンターズの70年の全米ナンバー1「Close To You」は、1963年のリチャード・チェンバレンのシングルB面曲。1964年にサンディ・ショウが歌って全英1位になった「(There’s)Always Something There To Remind Me」はアメリカでは別の歌手が歌って1970年と1983年にヒットした。1962年全米20位のジェリー・バトラーの「Make It Easy On Yourself」は1965年にウォーカーブラザースがカバーして全英1位というようにいつまでも古臭くならない。


ヒットしない曲でも転調を駆使したジャッキー・デシャノンの「So Long Johnny」、リンダ・スコットの「Who’s Been Sleepin’ In My Bed」や、オリエンタルなボビー・ゴールズボロの「Me Japanese Boy I Love You」などバカラック・ナンバーの魅力は奥深い。


≪著者略歴≫

佐野邦彦(さの・くにひこ):ロック&ポップの研究ミニコミ「VANDA」編集人として90年代から30冊を刊行。主な著書に『The Beach Boys Complete Ultimate』『Pop Hit-Maker Data Book』(シンコーミュージック)、『Soft Rock A to Z』(音楽之友社)など。80年代にはコミック&アニメーションの研究ミニコミ『漫画の手帖』編集人として30冊刊行した。  

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バート・バカラック自伝 - ザ・ルック・オブ・ラヴ 単行本 – 2013/12/28 バート・バカラック (著), ロバート・グリーンフィールド (著), 奥田 祐士 (翻訳)

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