2015年07月31日

日本のラヴコメの源流、岡崎友紀『おくさまは18歳』

執筆者:不破了三

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今日、7月31日は歌手・女優の岡崎友紀の誕生日。

小学生時代から子役の経験を積み、中学生でNHKの連続ドラマ『あねいもうと』(1968)に出演して一気に全国的な知名度を獲得。1970年3月にはシングル「しあわせの涙」で歌手デビューも果たしている。子役時代に既にミュージカルも経験済みという演技力&歌唱力に加え、コミカルな芝居やコント、バラエティ番組での立ち回りもお見事……というマルチ型アイドルの先駆けとして、大阪万博に沸く1970年頃から大活躍を見せ始める。

 

そして彼女を一気にスターダムに押し上げたのが、石立鉄男と共演したテレビドラマ『おくさまは18歳』(1970)だ。集英社「週刊マーガレット」の原作漫画ではアメリカを舞台にしたコメディだったものを、脚本家:佐々木守が日本の高校に設定を置き換え、大映テレビ(当時は大映株式会社内のテレビ制作室)が制作、TBS系列で放送されている。青年教師と女子学生が実は秘密裏に結婚している……という設定の元、テンションの高い石立鉄男の演技に対して、岡崎友紀は持ち前の天真爛漫さでぶつかり、その掛け合いの面白さで大人気を獲得。今なお、この設定を参考にしたドラマやコミックなど、様々なフォロワー作品が登場し続けている、「日本のラヴコメの源流」ともいえる作品である。


さらにこのドラマの人気を支えたのが、岡崎友紀自らが歌った主題歌「おくさまは18歳」(作詞:岡崎友紀、作曲:長沢ロー、編曲:荒木圭男)だろう。ビブラフォンやフルートを中心に奏でられる柔らかなサウンドは、見事なまでのディオンヌ・ワーウィック&バート・バカラック風。加えて、岡崎友紀本人が作詞に参加し、その多彩ぶりを見せつけているのにも注目だ。この曲の出色の出来栄えは、続く岡崎友紀主演のライトコメディドラマシリーズの主題歌に対して、一つの路線を指し示すことになる。

 


シリーズ第2弾、『なんたって18歳!』(1971)の主題歌は、劇中音楽も担当している菊池俊輔の作曲。同時期には『タイガーマスク』(1969)や『仮面ライダー』(1971)などで孤独なヒーローソングの礎を気づきつつあった菊池だが、それらの作風の真逆をいくような明るく飛び跳ねたポップなスタイルだ。前作の役名「高木飛鳥」名義でやはり岡崎友紀が作詞を担当している。第3弾『ママはライバル』 (1972)では、またしてもバカラックの「サンホセへの道」風のイントロで始まる主題歌「ママはライバル」(作詞:橋本淳、作編曲:筒美京平)が登場。続く4作目『ラブラブ・ライバル』 (1973)の主題歌「風に乗って」(作詞:高木飛鳥、作曲:島田タカホ)では、フィフス・ディメンションの「ビートでジャンプ(Up, Up and Away)」のイメージをアイドルポップスに翻案するという離れ業を見せている。シリーズ最終作『ニセモノご両親』 (1974)の主題歌「打ち明けられない」は、ポプコン入賞のシンガーソングライター高木麻早の作。ニューミュージック時代の到来を予感させながらも、ここでシリーズが終了となってしまったのは実に惜しい。70年代初頭の甘美な幸福感に満ちた空気を丸ごと写し取ったかのような、岡崎友紀によるこれらの歌は、後年、懐かしのテレビドラマ主題歌という位置づけを超えて、ソフトロック歌謡の金字塔として再評価されていくことになる。


しかし一方で、『おくさまは18歳』で共演した石立鉄男が日本テレビに舞台を移して主演した、『おひかえあそばせ』(1971)、『水もれ甲介』(1974)等のドラマが、同じくソフトロック風の主題歌・主題曲を続々と生み出していくのも不思議なシンクロニシティなのだが、その話はまた別の機会に…。

岡崎友紀

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