2019年07月01日

1968年7月1日「愛するってこわい」でじゅん&ネネがデビュー

執筆者:鈴木啓之

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1968年にデビュー曲「愛するってこわい」でヒットを飛ばした女性デュオ、じゅん&ネネ。名付け親はコスチュームをデザインしたコシノジュンコと、プロデューサーともいうべき作曲家の平尾昌晃であったという。ちなみにショートカットがじゅん、ロングヘアーがネネ。デビュー曲同様、いずれも平尾の作曲による「みずいろの世界」「お気に召すまま」とヒットを連続させた後、1972年まで活動して一旦解散。それぞれのソロ活動を経て2003年、久しぶりにTBSの特番に二人で出演したのを機に活動を再開させて現在に至る。「愛するってこわい」が発売されたのは1968年の初夏、7月1日のことだったので、今日で51年にもなる。


じゅん&ネネの千秋じゅん(現・Jun)と梢ネネ(現・早苗ネネ)は渡辺プロダクションが擁していたスクールメイツの初代メンバーだった。遡ると本当のデビューは1964年11月に選抜メンバーとして選ばれ、“クッキーズ”としてビクターから「可愛い花/雨のドライブ」でデビューした。その時の芸名は森くるみと筑紫恵子。女性デュオのデビュー曲で「可愛い花」といえば当然の如く事務所の先輩であるザ・ピーナッツが思い出されるのだが、これは同名異曲であり、単なるゲン担ぎであったと思われる。さらにもう一枚、「恋をおしえて/恋のほほえみ」を出すもヒットには至らず。一旦撤退後、1968年4月に“じゅん&ネネ”と改名し、キングレコードからの再デビュー曲となったのが「愛するってこわい」だったのである。作曲の平尾昌晃は既にバリバリのヒットメーカーであり、作詞の山口あかりもこの後やはり平尾とのコンビによる伊東ゆかり「知らなかったの」や、鬼才・藤本卓也が作曲した内山田洋とクール・ファイブ「愛の旅路を」などのヒットを連ねた。


曲のコンセプトや二人のキャラクター佇まいから、一時期のじゅん&ネネには同性愛疑惑が囁かれたこともあったが、これはまったくの事実無根だそうで、今思えば話題作りのための一種の商法だったのかもしれない。シングルは平尾昌晃がデビューから4作連続で提供した後、鈴木邦彦作曲の「恋あそび」や、筒美京平作曲の「恋の色 恋の味」、鈴木淳作曲の「家なき子」、ほかにも宮川泰、中村泰士、作詞も山上路夫、橋本淳、阿久悠、安井かずみといった多彩なライター陣に目を惹かれ、渡辺プロの隆盛時代が窺えるが、楽曲の出来は別として残念ながら「愛するってこわい」を超えるヒット曲はその後生まれなかった。1972年にはデュオを解散し、じゅんはソロ活動を経た後に結婚して引退。ネネは元ズー・ニー・ヴーのギタリスト高橋英介と結婚して高橋早苗として活動している。そして2003年12月にTBSの特番『あの人は今 夢の紅白歌合戦』にデュオとして31年ぶりに出演したのをきっかけに再結成され、翌年から本格的に活動を再開することとなった。2005年に「愛するってこわい」を新録音したのをはじめ、主に早苗ネネの作による楽曲をいくつかリリースしている。


ヒットを連ねていた1969年には映画にも出演している。1969年4月に東宝で公開された『ドリフターズですよ!全員突撃』がそれで、共演の梓みちよがリーダーを演じた女ギャング団のメンバー役で出演し、劇中で「みずいろの世界」を披露するシーンが見られる。なお、同時上映はハナ肇とクレージー・キャッツ主演の『クレージーの大爆発』で、クレージーからドリフへと徐々に人気が移行していた時期にじゅん&ネネはブレイクしたのである。グループサウンズでもザ・タイガースやワイルド・ワンズが活躍するなど、とにもかくにも渡辺プロが芸能界の頂点にあった中でスターの座を手にした女性デュオであった。



クッキーズ「可愛い花/雨のドライブ」じゅん&ネネ「愛するってこわい」「みずいろの世界」「お気に召すまま」ジャケット撮影協力:鈴木啓之


≪著者略歴≫

鈴木啓之 (すずき・ひろゆき):アーカイヴァー。テレビ番組制作会社を経て、ライター&プロデュース業。主に昭和の音楽、テレビ、映画などについて執筆活動を手がける。著書に『東京レコード散歩』『王様のレコード』『昭和歌謡レコード大全』など。FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』(毎週日曜23時~)に出演中。

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