2015年12月15日

40年前の本日、上田正樹&サウス・トゥ・サウスの名盤『この熱い魂を伝えたいんや』がリリース

執筆者:増渕英紀

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上田正樹&サウス・トゥ・サウスとしての初アルバム『この熱い魂を伝えたいんや』がリリースされたのは75年。ついこの間のように思っていたが、もう40年前になるのかと思うと何やら信じ難い気分になる。


彼らとはデビュー前からの付き合いなので、ライヴは本当に良く見た。いつも彼らのライヴを見ながら思っていたのは、これをスタジオ録音のレコード盤に収めるのは難しいだろうということだった。が、そんな心配をよそに異例と言うより、掟て破りのライヴ・アルバムでのデビューということに...。今でこそあり得るかも知れないが、当時としては考えられない快挙、いや暴挙か。何しろウエストロードであれ、あのハチャメチャなソー・バッド・レビューでさえスタジオ盤でキチンとデビューを飾っているんだから、相当に画期的な出来事だったと思う。まぁ、サウス・トゥ・サウスとしては結局本作の1枚きりで終わってしまったことを考えると本当に貴重な音源ということになる(再結成は別として)。


この時期のサウス・トゥ・サウスのライヴは群を抜いて面白かったし、また他のバンドには無いユニークなステージングで人気を集めた。76年に行なった東北ツアーに同行したが、実際どこへ行ってもウケにウケた。何が良かったかと言えば、勿論演奏自体もだが、何よりもそのステージ構成が他のバンドの追随を許さないものがあった。前半の一部が上田正樹と有山淳司の2人によるアコースティック・セットでラグタイム・ブルースが中心。ブラインド・ブレイクの「ディディ・ワー・ディディ」なども演ったが、何と言ってもオリジナルがコミカルで面白かった。2人の軽妙なやり取りもそうだが、大阪弁で歌われる曲は殆ど“じゃりン子チエ”の世界だ。「俺の借金全部でなんぼや」や「あこがれの北新地」などの難波(なにわ)の生活感、情景そのものの中に、ペーソスを散りばめた歌で笑いを取る。これでウォーミングアップ終了。


そして後半の第二部がサウス・トゥ・サウスによるエレクトリックなソウル・ヴァージョン、即ち本作だ。サウス・トゥ・サウスのテーマとも言うべきオープニングからしてカッコイイ!今は亡き藤井裕の強烈なファンク・ベースに中西康晴のエレピがまたシブイ。この時、中西はまだ17歳だったような。ウチへ泊っていた時に駅前のパチンコ屋で店員ともめそうになったことを思い出す。17歳の少年がいい年した店員を捉まえて“ちょっと兄ちゃん!”とか言ったもんだから、険悪なムードになった。大阪なら当たり前のことだが、東京だとバカにされているように思えたんだろう。今となってはそれもイイ思い出だ。


極めつけはもう一つのサウス・トゥ・サウスのテーマとも言えるルーファス・トーマスの「ブレイク・ダウン」だろう。これまた強力なファンクだが、一部ちゃっかり歌詞を変えて“Do it in Do it in with South To South”としっかりオリジナル化してしまっているのは流石と言うべきか。


上田正樹の歌がしみじみイイと思わせるのはソウル・バラード。「You Are So Beautiful」もイイが、ここではソレと双璧をなす「わが心のジョージア」で泣かせる。つくづく、やっぱりいいわ...。

この熱い魂を伝えたいんや

上田正樹&サウス・トゥ・サウス

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