2017年04月23日
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2017年04月23日
すっかり当webマガジンでの「アイドル(それも比較的カルト)担当」が定着してしまった筆者・丸芽志悟でありますが、とうとう熱が高まりすぎた結果か、「大人のMusic Calendar」初協賛CD企画となるコンピレーションの選曲・監修を任されることと相成りました。発売まで丁度1ヶ月ということで、まずは軽く告知をさせてください。
発売日は5月24日(水)。CD5枚3巻からなるシリーズで、タイトルは『コロムビア・ガールズ伝説』。その名の通り、日本最老舗のレコード会社である日本コロムビアに1965年から約四半世紀の間に残された音源を用いて、同社が取り組んできた女性アイドル音楽の歴史を総括するという、今まで実現しなかったのが不思議な程理想的なコンピシリーズになりました。
過去テイチクのクロニクル・レーベルで60年代から80年代に至る女性歌手・アイドルのコンピの副監修を行った経験のある筆者としては、またとない本領発揮のチャンスとなりました。ただ、いきなりあまりにもカルトな内容を持ち込むのも何だし、趣味的な範囲でふと振り返ってみたところ、アイドルの歴史に焦点を当てたCDシリーズが、同社では殆ど試みられたことがなかったのに気付きました。河合奈保子、榊原郁恵といったトップアイドルは存在したものの、彼女らを軸として「その他大勢」までを総括した企画は、個人的にも必要だと思っていたし、かつ72年の所謂第一次アイドル革命までに至るコロムビアの豊富な女性ポップスの歩みを、その後のアイドル史へと直結する形で振り返る試みも是非必要だと思ったからです。何せ、米国のライノや英国のAceレーベルから出ている数々の名コンピレーションに鍛えられてきた筆者としては、アイドルという枠組みの中でどこまで密度が濃く、しかもあらゆる層に親切なコンピが作れるかという重要課題を与えられたも同然であり、そのためにはまず、幾つかの節目を設けて「アイドル歌謡の時代」を3つの流れに分けることから始めました。
その第1巻は、65年の和製ポップスの先駆にしてその後のアイドル史でも幾度かカバーされた名曲、エミー・ジャクソン「涙の太陽」から、トップアイドル女優による純情歌謡の革新・内藤洋子「白馬のルンナ」を経て、「スター誕生!」がスタートする71年前後までをプレアイドル期として総括した「EARLY YEARS」。初CD化曲は24曲中12曲。後に大御所アニソン歌手となるかおりくみこの貴重な初期録音やら、「ミス・セブンティーンコンテスト」初代優勝者・宮野涼子の初々しい歌声、さらには元祖読モアイドル・矢島啓子やら、のちの芸能レポーターの大御所・みといせい子の貴重なレコードまでが次々と登場します。いしだあゆみ、平山三紀など定番歌手の曲は、この流れに相応しいものを優先して選曲しました。まさに「前菜」と呼ぶにはリッチすぎる内容です。本当はもっと盛りたかったところですが、諸事情ありまして…。
第2巻は、72年の第一次アイドル革命から、80年の第二次アイドル革命前夜までを駆け足で振り返る「FIRST GENERATION」。王道アイドルポップス中心に、時折演歌やニューミュージックの方面に揺れつつ、若々しい歌声の萌芽をここぞとばかり詰め込みました。初CD化は40曲中14曲。麻田奈美の超レアシングル「おそい夏」の両面を特例として収録したのが目玉ですが、他にも若手演歌の星がなんと谷山浩子作品を授かってイメージチェンジに走った米田晴美「うわさの中で」や、カルト中のカルト作・たかだみゆき「恋愛未遂常習犯」も見逃せませんよ。今頃天国で動揺を隠し得ない状態に陥ってると思われる坂口良子の歌手デビュー曲「あこがれ」に始まり、定番曲「夢で逢えたら」(大橋恵里子)で締める最強のラインナップ。
そして第3巻は、CDシングルでの初デビュー組、国実百合までに至る80年代アイドル総ざらえ「SECOND GENERATION」。これはCD2枚に絞るのが実に難しい作業となりましたが、並べてみれば王道中の王道オンパレードで、他社の同種コンピに決して引けをとらない内容になったと自負しています。36曲中、初CD化は10曲。あの仙道敦子の小学生時代の激レア音源、高橋英樹とデュエットする「ありがとうパパ」がとうとう再発解禁となりました。他にもAKBのPVで昨今のアイドルファンにもおなじみ中村久美の貴重なライトメロウ曲(丹羽応樹作品!)とか、元祖ローカルアナドル・辰巳 "私は里歌ちゃんではありません" 理香や、カリスマな親(五月みどり!)を恋のライバルに見立てる問題作・水沢絵里「ママはライバル」など聴きもの満載です。
選曲や曲順には並々ならぬこだわりを見せたつもりですが、その流れに応えた見事なマスタリングは、女の子の歌声という主題をくっきり浮かび上がらせ、Aceレーベル御用達のニック・ロビンスにお任せしたいという我が夢想を打ち砕いてくれました。さらに見た目にもこだわらねばという理論のもと、ありがちな歌謡コンピとの区別を図るため、今シリーズのトータルアートワークには、新進気鋭のイラストレーター、キタサコクミコさんを起用しました。元々2011年から「ぐるぐる回る」で共にフェスを作り上げた間柄で、その繊細なタッチは青春系CDのジャケットに相応しいと常々思っていたのですが、現代乙女のセンスで敢えてそれぞれのアイドルの時代を表現するという課題に見事に応えてくれ、幅広い層にアピールできるジャケットが出来上がったと自負しています。
今後も当webマガジンにて、発売に向けてテコ入れを行っていく予定ですが、よりパーソナルなアイドル観その他裏情報をFVcoブログで気ままに綴る予定でもありますので、参考程度ですがお付き合いいただければ幸いです。まずはとにかく、5月24日をお楽しみに。
◆“FVcoブログ”微小総合娯楽商社[Fine Vacation Company]代表のプログ(5代目)「 凡ラマの奇石」>
◆April 08 [Sat], 2017, さあようこそここへ>
≪著者略歴≫
丸芽志悟 (まるめ・しご) : 不毛な青春時代〜レコード会社勤務を経て、ネットを拠点とする「好き者」として音楽啓蒙活動を開始。『アングラ・カーニバル』『60sビート・ガールズ・コレクション』(共にテイチク)等再発CDの共同監修、ライヴ及びDJイベントの主催をFine Vacation Company名義で手がける。近年は即興演奏を軸とした自由形態バンドRacco-1000を率い活動、フルートなどを担当。 5月24日、初監修コンピレーションアルバム『コロムビア・ガールズ伝説』(3タイトル)が発売予定。
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「スター誕生!」から送り込まれた大量のアイドルにより第一次ポップス革命が 花開いた72~79年にデビューした女性歌手の重要曲たち。text by 丸芽志悟
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