2016年05月29日

[第8回読者投稿コラム] 透明な世界、それは朝倉理恵だけのもの…4月5日は朝倉理恵の誕生日 text by 鈴木一行

執筆者:読者投稿

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4月5日は朝倉理恵の誕生日(現在63歳)。1973年2月21日「あの場所から」でデビューした彼女は、それ以前に本名の桜井妙子名義で童謡、CMソング、アニソンを歌い活動。特にアニソンは多数歌唱し、『アンデルセン物語』の主題歌オーディションでは見事アニソン女王・堀江美津子に勝って主題歌と挿入歌を歌っています。


その後、アイドル歌手としてCBSソニー・オーディションで麻丘めぐみの「芽ばえ」を歌い合格。後に「およげ!たいやきくん」のメガヒットを放つ子門真人のレッスンを受けて、作詞・山上路夫、作曲・筒美京平の「あの場所から」(シングルB面は子門真人作曲の「ひとりの部屋」)で念願のデビューを飾りました。プロデューサーは郷ひろみ、南沙織、山口百恵を送り出したヒットメイカー酒井政利です。


彼女にとってオリコン最高位(48位)曲でもあるので、朝倉理恵といえば「あの場所から」が一番印象深いという方が多いと思いますが、実は同曲が最初にレコーディングされたのは1970年のことで、「何故に二人はここに」(69年)のヒットで知られるフォーク・デュオ「Kとブルンネン」によってでした。続いて南沙織がアルバム『早春のハーモニー』(72年)の中でカヴァー。そして朝倉理恵が歌い、1982年には柏原芳恵がリバイバルヒットさせています(オリコン9位)。


酒井プロデューサーは南沙織ヴァージョンを気にいっていたのか、ほぼ同じアレンジで朝倉理恵に歌わせていますが、酒井氏は彼女を太田裕美、南沙織らのフォーク寄りのアイドル路線で売り出そうと考えていたのかも知れません。彼女のとファースト・アルバム『あの場所から』(73年)には、ガロ「学生街の喫茶店」「君の誕生日」「たんぽぽ」や、チェリッシュ「若草の髪かざり」などフォーク系のカヴァーが多く収録されています。


筒美京平の曲で注目された朝倉理恵ですが、むしろ3枚目のシングル曲で日本テレビの同名ドラマ挿入歌「さよなら今日は」の作曲者である坂田晃一の作風の方が彼女には合っていたのではないかと思います。実際に「さよなら今日は」は「あの場所から」に次ぐヒットなりました(オリコン57位)。


また、セカンド・アルバム『誰のために愛するか』(74年)は、1曲を除き坂田晃一作曲・編曲作品でまとめられ、彼女のハイトーンな透明感漂う素晴らしい作品に仕上がっています。特に収録曲「目覚めた時には晴れていた」は、後年フォーク・グループ「伝書鳩」がカヴァーしてヒットさせますが、この朝倉のヴァージョンを先にシングル・カットしていて欲しかったです。


坂田晃一作曲作品で4枚目のシングル「誰のために愛するか」(74)は、NET(現テレビ朝日)の同名ドラマ主題歌。島田陽子主演で期待されましたが、午後8時台の放映時間帯にしては内容が少し重いのが災いしてか視聴率が振るわず、曲もヒットには至りませんでした。曲自体は良い楽曲なので残念です。


結局10枚のシングルと3枚のアルバムを残して79年に引退。その後、なんと彼女はCBSソニーの社員となり、酒井プロデューサーの秘書を務めていました。現在、ソニーミュージックファクトリーにて、彼女の全アルバムを購入することが可能です。是非、透明な天使の歌声を体験して下さい。

朝倉理恵/あの場所から +2 朝倉理恵

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