2016年07月31日

[第12回読者投稿コラム]「太陽にほえろ!」のBG音楽が日本のTVを変えた。text by 佐々木俊英

執筆者:読者投稿

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1972年7月21日金曜の8時、刑事ドラマ『太陽にほえろ!』が放送開始された。

マカロニ刑事役の萩原健一は72年1月から映画界の助監督を目指すため71年から在籍していたPYGを離れていた。しかしメインキャストがなかなか決まらない映画『約束』のヒロインの相手役に突如抜擢され役者としてのスタートをきった。

青春刑事ドラマ『明日にほえろ』を企画中であった日本テレビの岡田プロデューサーは『約束』で好演した萩原を主役の「風見健一(通称坊や)」役に決めるが、「坊や」役と聞いて怒りだすやら衣装もノーネクタイの3ぞろいの背広にするなど萩原は自分自身のキャラを押し出そうとしていた。

番組のBG音楽も萩原の強引すぎるほどの推薦でPYGのメンバーの大野克夫に決定、演奏はPYGのバック4人が担当することとなる。当時のメンバーは

井上堯之(G) 大野克夫(Key) 岸部修三(B) 原田裕臣(Dr)

で、萩原の不在の時は「沢田研二&井上堯之グループ」として活動していた。

最初のレコーディイングは放送開始1ヶ月後に迫った72年6月23日、目黒モウリスタジオで自ら16チャンネルの録音機材を持ちこみ、大野の書いた50cmにもなる譜面を頭から一日がかりで録音し続けたが、6~8時間経って消化できたのが10cmほどであった。

東宝の梅浦プロデューサーから、ひとつのメロディーをテンポによって活動的や叙情的にして欲しいとのリクエストを受けて後にメインに決定する”M-1#3”のアレンジで、数秒ほどのブリッジ、番組エンディングに欠かせないバラード風テーマはギター、キーボード、SAXのソロで16パターンほど、他にスポンサーテロップ、予告編など細かく録りためていった。メインテーマ等でソロ等を担当するホーンセクションは沢田研二のリサイタル等でサポートをしていた「ゼネラル・ポップス」の面々、メインテーマのソロはSax奏者の市原宏祐が担当した。

6月の録音テープには「演奏PYG」と記録されていたのが番組OAの際「音楽:大野克夫 演奏:井上堯之バンド」のテロップになっていた。このバンド名はTVスタッフがつけたものでメンバーはOA当日まで知らされてなく、以後日テレ系をはじめTVドラマの劇伴を担当する際に「井上堯之バンド」のバンド名が固定した。

番組も人気を呼び、OPテーマが話題となりレコード化の声が高まり、番組内でテーマ曲のレコードプレゼントを募ったところ40万通以上の応募があったという人気ぶりで、放送100回を記念して待望のレコード化が実現する。

5月に製作する東宝のレコード会社から、6月には井上堯之バンドが所属するポリドールから4曲入りのシングルが発売された。当時のTV音声はモノラルだったため16チャンネルで録音したマスターからギターとキーボードを左右に散らしエフェクト処理した擬似ステレオでのものであったが、2社合わせてオリコン30万枚の売り上げとTVドラマのサントラとしては空前の大ヒットを記録する。

大野克夫は1986年番組が終了するまで各刑事のテーマ曲やエキサイティングなサウンドからメローなナンバー、数々の名曲を生み出し約90曲がシングル、アルバムとして発売され、1983年には高島幹雄が監修した「オリジナル・サウンドトラック・コレクション」と題して14年間TVで使用されたBG音楽約450曲が4年をかけてシリーズ化発売されるなど太陽、大野ファンにはたまらないものとなった。

『太陽にほえろ!』のサウンドはそれ以降のTVドラマのBG音楽のスタイルを大きく変えるとともに、刑事ドラマ代表的なのテーマソングとして記憶に残る名曲としていまだにTV番組やCMで使用され続けている。


太陽にほえろ!全曲集 Soundtrack 井上堯之バンド

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