2016年08月10日
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2016年08月10日
森村誠一が1975年に『野性時代』(角川書店)に連載した長編推理小説で、第3回角川小説賞受賞に輝いた『人間の証明』は、単行本・文庫本化で大ベストセラーを記録。1977年に製作・角川春樹、監督・佐藤純彌、脚本・松山善三、主演・岡田茉莉子、松田優作で映画化され、同年10月8日に公開された。そして、映画公開の2カ月前には、映画本編の中でストーリーのカギとなる黒人青年役を演じたジョー山中が歌う主題歌「人間の証明のテーマ」がリリースされた。今から39年前の今日1977年8月10日のことである。
「人間の証明のテーマ」は、劇中でも語られる西條八十の詩「帽子」を角川春樹が英訳し、ジョー山中が歌詞に仕立てたものに、音楽を担当した大野雄二が曲を付けて誕生。映画公開前から大量にTV・ラジオで流されたスポット広告では、同曲をバックに西條の原詩がナレーションで使われ「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね~」は流行語にもなった。そんな大量スポットと映画自体の大ヒット(配給収入22億5000万円)の甲斐あってか、ジョー山中にとって初のオリコン・チャート入り作品となり、生涯最大のヒット(オリコン2位)となった。
それまで知る人ぞ知る日本ロック伝説のヴォーカリストだったジョー山中の名は、これを機に一般的認知度が一気にアップした。「人間の証明のテーマ」発売の4カ月前には、日立キドカラーテレビのCMに起用されたフラワー・トラヴェリン・バンド時代の名曲「Make Up」がシングル発売され、オリコン77位にチャートイン。伝説のFTBに再びスポットが当てられ、来たるべきジョー山中大ブレイクへの布石となった。また、翌78年5月30日には日本武道館で初のソロ・コンサートを成功させている(同年8月25日にアルバム『武道館ライヴ』としてレコード化)。まさに、この時期が彼の絶頂期であったと言えるだろう。
ジョー山中こと本名・山中明は、1946年9月2日アフリカ系米国人の父と日本人の母の間に横浜で生まれた。16歳の時に金平ジムの金平正紀会長にスカウトされボクサーの道に。「城アキラ」のリングネームでプロデビューを果たすが、64年に映画『自転車泥棒』(東宝/監督・和田嘉訓)に安岡力也、真理アンヌと出演したことがきっかけとなり、横浜のジャズ喫茶でシンガーとして活動を始める。66年にはGSの「4・9・1(フォー・ナイン・エース)」にツイン・ヴォーカルの片割れとして参加するが、どちらかと言うとバッキング・ヴォーカルに回されることが多く、4・9・1時代の彼のソロが聴けるレコーディング作品は唯一「悲しみの果てに」(68年3月)だけである。
その後、ザ・カーニバルズを経て69年にフラワー・トラヴェリン・バンド(FTB)結成に参加。不世出のロック・ヴォーカリスト「JOE」として大きく開花していくのである。73年にFTB解散後はソロで活動。80年代にはジャマイカでザ・ウェイラーズとの共演アルバムを制作した他、ロック・オペラ『ハムレット』(80年)、映画『座頭市』(89年)に出演し活動の領域を拡げた。90年代にはチャリティ・コンサート、ボランティア活動に積極的に参加しほぼ毎年のようにカンボジア、ギニア、ベトナム、ボスニア等を訪問。難民キャンプ慰問や文化交流を続けたた。2007年にはFTBのオリジナル・メンバーが揃って再結成。海外公演も成功させ脚光を浴びたが、2011年8月7日、肺がんのため逝去。享年64歳だった。
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