2018年04月12日

1976年4月12日、レッド・ツェッペリンのアルバム『プレゼンス』がプラチナディスクを獲得

執筆者:大貫憲章

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いまでもロックの長く壮大な歴史の中で、その輝きを失うことなく「伝説のバンド」として賞賛され大きな人気、支持を集めているバンドの代表格、それがレッド・ツェッペリン。

1969年に誕生し、80年にメンバーのひとりでドラムス担当のボンゾことジョン・ボーナムが不慮の死を遂げて解散するまでの10年間余り、ロックファンの目が彼らから離れることはなかった。この間に9枚のスタジオ・アルバムを生み出し、そのいずれもがアメリカでプラチナアルバムとなっていることが、その存在、人気の大きさを物語っている。

『プレゼンス』は1976年の3月末にアメリカで発売(英国ではいつものようにその少し後に発売)された通算7枚目にあたるアルバム。このアルバムの前が前年75年に発売された初の2枚組作品『フィジカル・グラフィティ』で、ジャケット・デザインの楽しさも手伝って大きな話題を集め、全米だけで1600万枚を売り上げる超強力なアルバムとなった。そこからの本作である。

まず1年と少しという短い期間のうちに発売されたことに個人的には少し驚いた。それまでデビュー当初以外ではほぼ2年の間隔をあけての発売ペースだった。さらに内容も地味というかあまりにサウンドの凝縮がハードで、逆に言えば全体が均一な作りで、キーボードもなくほぼギターが全面にフィーチャーされた楽曲となっている。オープニングの「アキレス最後の戦い」の激烈で濃密なプレイは素晴らしいものだし、ほかも見劣りするような曲はない。

とはいえ、多くのファンが期待したほどの内容ではなかったと感じたのか、セールスは彼らのスタジオ・アルバムの中で解散後に作られた編集盤の様相が強い9枚目の『最終楽章(コーダ)』を除くと、もっとも悪い「わずか」300万枚であった。

1960年代初め頃のアメリカの一般的な社会や家庭の日常風景の写真(Life誌から転用)をあしらったヒプノシスによる、色彩はあるのにどこかモノトーンな印象のこのジャケット・デザインはその意味で見事にハマっている。このアルバムをほぼひとりで作り上げたと言っても過言ではないジミー・ペイジによれば「他のメンバーからのアイディアが少なく、ほとんどが自分の肩にかかっていたため」の結果であり過小評価されていることに対して「注がれた感情とその一体性という点では最高レベルなんだけどね」と思いを吐露している。

 

75年から76年にかけてのツェッペリンは彼らにとって激動の1年だった。前述したように『フィジカル・グラフィティ』は驚異の大ベストセラーを記録し、そこを受けての全米ツアーも上々で8月からは再度の全米ツアーが予定されていた。ところがその矢先の8月あたまにプラント一家に不幸が起こる。休暇先のギリシャで交通事故に遭い、ツアーはキャンセルとなりそのままメンバーが集まり協議、バンドはすぐにスタジオ入りし新作アルバム(本作)のための準備にかかった。こうしたスケジュールの大幅な変更がペイジ&プラント以外の二人の心境に微妙な影を落としたとしても不思議ない。ペイジの言う「他のメンバーからのアイディアが少ない」云々はまさにこの状況を示すものだとも取れる。

 

ある意味、きちんとした準備のないまま曲作りを始め、頭の中がまだ『フィジカル・グラフィティ』の残り香が漂うとしたらどうだ。正直、本作は良くも悪くもその延長とも取れる作品の香りがする。実際にこのアルバムから彼らがライブで採用した曲が2曲だけ、というのもペイジの言葉とは裏腹な心情を垣間見る思いがする。


≪著者略歴≫

大貫憲章(おおぬき・けんしょう):音楽評論家/DJ 71年大学時から音楽評論家として無名時代のQUEENやロンドン・パンクなどを紹介。76年、NHK-AM 「若いこだま」でラジオDJ活動も。現在InterFMでKenrocks Nite ver2放送中。また80年から日本初のロックDJイベント「LONDON NITE」をスタート。フリー・ロックDJの草分けで今なお現役。

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