2016年04月27日

「バラが咲いた」から50年、本日4月27日はマイク眞木72回目の誕生

執筆者:本城和治

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マイク眞木も今日で72歳というのだから驚きだが、今月は「バラが咲いた」でデビュー50周年でもある。彼は私が手掛けた2番目のアーティスト(最初はザ・スパイダーズ)で勿論初めてのフォークシンガーだった。大学時代彼はモダン・フォーク・カルテット(MFQ)を結成してアマチュア・フォーク界で活躍し、黒沢久雄らのザ・ブロードサイド・フォー(最初は3人組)と並ぶ人気があったが早く解散してソロ歌手になったので、残念ながら当時のステージは見ていない。(YouTubeで麻田浩らオリジナル・メンバーによる最近のライブステージを見ることが出来る。)


本来アメリカの人気歌手ジョニー・ティロットソンの「涙くんさよなら」の次作ヒットの為に“ハマクラ”さんが作詞作曲した新曲「バラが咲いた」のデモテープが66年初めに音楽出版社に勤めていた彼の先輩からオーディション代わりに彼の手に渡ったことから、眞木壮一郎(本名)の運命が変わったのである。デモ録音のつもりで歌った彼の歌が実に新鮮だった。これが其の儘デビュー曲となり、日本初のプロのフォーク歌手マイク眞木の誕生となった。勿論彼のオリジナル作品もたくさんあった(画期的なアルバム同時デビュー)が、さすがプロの作品のインパクトは強い。鼻歌で作ったような平易で親しみ易いメロディと詞が日本で初の“フォークソング”としてテレビでお茶の間に浸透し瞬く間に大ヒットする。TBSラジオの人気洋楽チャート番組『今週のベストテン』でも「バラが咲いた」は洋盤レーベルのフィリップス・レコードだったので発売後即チャートにランクイン、あっという間に日本人アーティストによる日本の歌が異例の初のベストワン・ソングとなった。この年(1966年)のNHKの『紅白歌合戦』にも初出場、初めてジーンズで出演した歌手として物議を醸した。まさに時代を変える新しいタイプのシンガーの登場であった。


最近偶々何かのインタビューで本人が話していたことだが、彼は当時歌手になるつもりは全くなかったというのである。本当は映画の“特撮”の作り手になるのが夢だった。スポーツ万能の彼は実は子供の頃から模型作りが大好きで、アルバイトでTBSの美術部で働いたこともあったらしい。有名な舞台美術家だった父の影響もあるのか。だから「バラが咲いた」がヒットしても歌手としてのこだわりは別になかったようである。


実はこのレコードは大ヒットしている最中に作曲の浜口庫之助氏からクレームが来た。なんとマイクの歌は元歌とメロディと詞の一部が違っているので録り直してほしいというのである。考えてみればハマクラさんのデモテープはマイクの手に渡って、僕らはオリジナル・テープの歌は聴いていなかったので、彼が歌を間違って覚えてしまったのを確認できなかった。ディレクターとしては基本的なチェックを怠ったことになる。まあデモテープ録音という気安さも少しあったことも事実であるが。もう大ヒットしてしまった後だったが仕方なくまたスタジオ入りして正規のヴァージョンで取り直しをした。


メロディは1フレーズ〈…にバラが咲いた〉の部分で毎回微妙に違っていた。詞は1番のサビの〈そのままで〉が〈いつまでも〉になっており、サビ後は1節目の繰り返しが2節目の途中からの歌詞を繰り返していたのを訂正した。ついでに一部分コード進行も変更して…。そして同じレコード番号で版を差し替えた状態でバック分から出荷したので、同一のレコード番号で2種類のヴァージョンが存在するという前例のないことになったのである。


彼はその後一時フォークロックのザ・マイクスを結成したり、前田美波里とデュエット活動したりしたが、基本的にはソロシンガーとしてフォークを中心に独自のマイペースなアーティスト活動を楽しんでいるようだ。俳優としては97年のTVドラマ『ビーチボーイズ』の“マサジー”役が何といっても彼のナチュラリスト振りが活かされて印象的だった。「気楽に行こう」「キャンプだホイ」など作曲活動を含めて、彼のファミリーのライフスタイルそのものが現代の世知辛い日本の中で、一貫してナチュラリストとしてのお手本のようで素晴らしい。吉田拓郎はフォークに心酔していなかったが、マイク眞木は前述のコメントとは裏腹に関西フォークのパイオニア高石友也等にも影響を与えた生粋のフォークアーティストであった。

ハマクラづくし マイク眞木

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