2018年10月28日

[report] 南佳孝が生んだ新旧の名曲群を大人の空間で味わえるプレミアムな夜~『南佳孝 45th Anniversary Live~Dear My Generation~』

執筆者:市川清師

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「スローなブギにしてくれ」や「モンロー・ウォーク」などのヒット曲で知られるシンガー・ソングライター、いまなら日本の“シティ・ポップ”のオリジネイターにして、第一人者、数多の音楽家に影響を与えた南佳孝となるだろう。1973年に松本隆のプロデュースで、日本のロック/ポップス史に燦然と輝く歴史的名盤『摩天楼のヒロイン』にてデビュー。今年でデビュー45周年になる。“アニバーサリー”を記念して、8月8日に同作の45周年記念盤『摩天楼のヒロイン+5 45周年記念盤 Deluxe Edition』とともに9月26日には7年ぶりのオリジナル・フル・アルバム『Dear My Generation』もリリースされた。


『Dear My Generation』は近年、書き溜めた曲から12曲を厳選。作詞は本人の 5 曲に加え、「モンロー・ウォーク」や「プールサイド」など、数多くの南佳孝作品を手がけた 来生えつこが 20 数年ぶりに 4 曲の大人のドラマを書き下ろした。その中の 1 曲「ニュアンス」は NHKラジオ「ラジオ深夜便」の“2018年1月から3月の深夜便のうた”として放送され、話題となる。さらに斉藤和義が 2 曲に歌詞を提供、併せて「Mystery Train」ではコーラスとギターを、「はないちもんめ」では南佳孝と斉藤和義のデュエットが実現した。この曲ではギターにCharも参加してストレート・アヘッドなロックを聴かせる。


アレンジには南佳孝作品には欠かせないベテランの井上鑑、デビュー・アルバムにも参加している日本を代表するロック・ベーシスト、小原礼と世界的ドラマー、屋敷豪太のデュオ・ユニット“The Renaissance”、 ジャンルを超え多岐にわたる音楽活動で注目される森俊之、数々の映画音楽やテレビドラマの作曲で 知られ、最近の南佳孝作品でもアレンジヤーを務める住友紀人が手掛ける。参加ミュー ジシャンにはファースト・コールの常連が名を連ね、ドラムスに鶴谷智生、屋敷豪太、ベースに小原礼、 岡沢章、バカボン鈴木、松原秀樹、ギターに天野清継、梶原順、スペシャル・ゲストとして前述通り、斉藤和義、 Char、さらに尾崎亜美。デュエットのパートナーとして太田裕美が参加。他にも名うてのミュージシャンがずらりと並ぶ。


新作のお披露目を兼ね、『南佳孝 45th Anniversary Live~Dear My Generation~』が10月9日(火)と10日(水)にBillboard Live TOKYOで開催された他、来月には11月14日(水)に名古屋ブルーノート、11月15日(木)にBillboard Live OSAKAで開催される。


その初日、10月9日(火)は、同作に参加した太田裕美をスペシャル・ゲスト(彼女は全公演に出演)に迎え、新作のナンバーを中心に太田とのデュエット・ナンバー「トキメイテ」の他、彼女の「木綿のハンカチーフ」、エヴァリー・ブラザーズの「All I have to do is dream」などを披露。太田とは同時期にソニーに在籍し、ともに松本隆に所縁ある。松本隆の45周年イベント『風街レジェンド2015』でも共演している。また、太田は昨2017年にリリースされた、ソロとしては24年ぶりになる伊藤銀次のデビュー45周年アルバム『MAGIC TIME』でも伊藤と共演し、デュエットを披露している。このところ、引く手あまたである。「木綿のハンカチーフ」(松本隆作詞・筒美京平作曲)や「さらばシベリア鉄道」(松本隆作詞・大瀧詠一作曲)などを始め、歌謡曲とポップスの縁結び、また、渡辺プロダクションの歌謡界に留まらない、日本のロックやポップス・シーンへの貢献は改めて、評価されるべきだろう。


この日はサプライズ・ゲストとして、同じく『Dear My Generation』に参加した斉藤和義も出演した。彼の出演はアナウンスされていなかったため、彼の登場に会場が騒然となる。斉藤は南の「スローなブギにしてくれ(I want you)」を2007年にアルバム『紅盤』でカヴァーしているが、今回の参加の契機はこの4月にNHK BSプレミアム『The Covers』 の「レジェンド・ゲスト」として松本隆と南佳孝が招かれ、2人が組んだ楽曲「スローなブギにしてくれ(I want you)」を披露したこと。同番組には斉藤も出演していた。斉藤は番組後、南と飲みに行くことになるが、南に不良的な魅力を感じ、お近づきになりたかったという。ライブでは湘南に住んでいるなんて、不良っぽいと言っていた(笑)。それが縁で、アルバムに参加、今回のサプライズ・ゲストとしての出演に繋がる(斎藤の出演は9日のみ)。南の歌の世界にロックっぽさを加える。アルバムのコピーに「南佳孝、45 年目のラブソング、いつもよりロックしていて、やんちゃです。いつもより大人していて、人生感じます。いつもより豪華にハモってます」とあるが、そのやんちゃさは小原や屋敷とともに斉藤が持ち込んだものだろう。ジャズやボサノバ以前のロック少年、南佳孝の顔がのぞく。


勿論、南佳孝のスタンダードとでもいうべき、大人の魅力を湛えたナンバーもセットリストに並ぶ。「スコッチ&レイン」や「Midnight Love Call」、「モンロー・ウォーク」、「スローなブギにしてくれ(I want you)」など、枯れた味わいではなく、艶っぽい、色気ある魅惑の歌声は健在。70歳も目前、齢68ながら、歳を重ねるごとにその魅力は増しているかのようだ。南は「ずっと恋して、音楽したい」という。彼が実際、恋しているか、してないのか、真偽不明ながら、そう思わせるものがあるのだ。


今回のアルバム・タイトルの “Dear My Generation”は「ずっと昔から聴いてくれている人、最近好きになってくれた人、そんな人たちと連帯できたらなぁという意味も込めてのタイトルです。このアルバム気にいってもらえると嬉しいんだけど」という。そんな“連帯”を確認できる新作であり、ライブである。


南佳孝が生んだ新旧の名曲群を大人の空間で味わえるプレミアムな夜。残りの公演は名古屋と大阪の二夜。見逃さないで欲しい。


「南佳孝 45th Anniversary Live ~Dear My Generation~」

●2018年11月14日 【愛知】名古屋Blue Note 詳細はこちら>

●2018年11月15日 【大阪】Billboard Live OSAKA詳細はこちら>


≪著者略歴≫

市川清師(いちかわ・きよし):『MUSIC STEADY』元編集長。日本のロック・ポップスに30年以上関わる。同編集長を退任後は、音楽のみならず、社会、政治、芸能、風俗、グラビアなど、幅広く活躍。共著、編集に音楽系では『日本ロック大系』(白夜書房)、『エンゼル・ウィズ・スカーフェイス 森山達也 from THE MODS』(JICC)、『MOSTLY MOTOHARU』(ストレンジデイズ)、『風のようにうたが流れていた 小田和正私的音楽史』(宝島社)、『佐野元春 SOUND&VISION 1980-2010』(ユーキャン)など。近年、ブログ「Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !」で、『MUSIC STEADY』を再現している。
摩天楼のヒロイン+5 45周年記念盤 Deluxe Edition 南佳孝 形式: CD

Dear My Generation CD 南佳孝 形式: CD

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Dear My Generation 南佳孝 2018/9/26 形式: MP3

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