2018年03月23日

本日3月23日は、ザ・ワイルド・ワンズのオリジナル・メンバーであり、「想い出の渚」の作詞者でもある鳥塚しげきの誕生日

執筆者:中村俊夫

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本日3月23日は、ザ・ワイルド・ワンズのオリジナル・メンバーであり、今や湘南ポップスの名曲として親しまれている「想い出の渚」の作詞者でもある鳥塚しげき(本名・繁樹)の誕生日。71歳になる。1947年3月23日、東京都港区三田のクリーニング店の二男として生まれた彼は、洋楽好きの父親の影響もあって、幼少期よりアメリカン・ポップスに馴染み、中学生の時にギターを弾きながら「ダイアナ」を歌う山下敬二郎の姿に憧れギターを手に入れる。本格的にギターをマスターしたのは高校進学後で、友人たちとビートルズを研究し演奏していたという。


65年に立教大学経済学部入学後は、軽音楽部のバンド「カントリー・フレッシュメン」に参加し、ヴォーカルとMCを担当。後に開花する司会業の才能はこの時期に培われたのであろう。翌66年7月、新バンド結成のためメンバーを探していた加瀬邦彦を人伝に紹介され、植田芳暁(ドラムス、ヴォーカル)、島英二(ベース)と共にワイルド・ワンズにヴォーカルとサイド・ギター担当で参加。葉山マリーナでひと夏の合宿練習を終えた後、66年11月5日、シングル「想い出の渚」でレコード・デビューした。


発売後10日間で10万枚のセールスを記録した「想い出の渚」は、加瀬が作ったメロディに、葉山マリーナで合宿していた頃、鳥塚がプールサイドで見かけたビキニ姿の女性をイメージして書いた詞を付けたオリジナル楽曲で、鳥塚が作詞に挑戦したのはこれが初めてだった。同曲が大ヒットしていた時期に、鳥塚は作詞家の岩谷時子から「想い出の渚」の歌い出しの「君を見つけた…」というフレーズに関して、「人というのは、物みたいに見つけるんじゃなくて、出会うとか巡り逢うものなのよ」と指摘されたという。ベテラン大御所作詞家には思いもつかぬ表現だったのだろう。素人の鳥塚だからこそ書けたフレーズなのかもしれない。そして、その一節がこの曲のド頭で聴く者を惹きつける重要なフックとなっていることを考えると、芸能界の手垢の付いたプロを避け、アマチュア・バンド出身メンバーだけを集めて、素人ならではの斬新な発想とフレッシュな感覚を打ち出したバンドを構想した加瀬の期待に、鳥塚は見事に応えたと言えるのである。


1971年10月10日、東京・目黒の杉野講堂での『サヨナラ・コンサート』を最後にワイルド・ワンズは解散。ソロとなった鳥塚は73年に結成した自分のバンド「ホットケーキ」を率いての音楽活動以外にも、俳優として岡崎友紀・主演の『ママはライバル』(TBS/72~73年)、平幹二朗・主演の『幡随院長兵衛お待ちなせえ』(NET/74年)などのTVドラマに出演。バラエティ番組、各種イベントの司会者としても活躍する。76年からはNHK教育テレビ『ワンツー・どん』に“歌のお兄さん”としてレギュラー出演。番組内で歌った自作曲「虫虫虫めがねの歌」はレコード化されヒットし、その余力を買って翌77年には初のソロ名義アルバム『明日をみつめて』をリリースしている。


97年からは、のり子夫人と共に手話を用いた音楽イベント『バリアフリー・コンサート』をプロデュース。毎年定期的な開催を続けている他、チャリティ・イベントなど福祉関係の活動も積極的に行なっている。


解散後も毎年記念日である10月10日になるとメンバーで集まっていたワイルド・ワンズは、79年に再結成アルバム『アンコール』を発表。81年の『さよなら日劇ウエスタン・カーニバル』出演を機に本格的に活動を再開した。2015年4月の加瀬の急逝後もリーダーの遺志を引き継ぎ、残されたメンバー3人による活動の継続を表明。新曲を収録したミニアルバムも発表した。現在は加瀬の長男・友貴(ギター)を加え、銀座のライヴ・ハウス『ケネディハウス』を拠点に演奏活動を続けている。メンバー全員古希を過ぎてもなお、“野生児”たちは健在というわけだ。


≪著者略歴≫

中村俊夫(なかむら・としお):1954年東京都生まれ。音楽企画制作者/音楽著述家。駒澤大学経営学部卒。音楽雑誌編集者、レコード・ディレクターを経て、90年代からGS、日本ロック、昭和歌謡等のCD復刻制作監修を多数手がける。共著に『みんなGSが好きだった』(主婦と生活社)、『ミカのチャンス・ミーティング』(宝島社)、『日本ロック大系』(白夜書房)、『歌謡曲だよ、人生は』(シンコー・ミュージック)など。最新著は『エッジィな男 ムッシュかまやつ』(リットーミュージック)。

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