2016年11月19日
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2016年11月19日
今年は、GSの元祖とも言えるスパイダースが「夕陽が泣いている」の大ヒットでブレイクし、ブルー・コメッツが「青い瞳」で本格的レコード・デビュー。ワイルド・ワンズ、サベージ、ヴィレッジ・シンガーズなど次世代を担う新進バンドがデビューし、京都から上京したファニーズがタイガースと命名された1966年から数えて50年目。翌1967年に巻き起こるグループ・サウンズ(GS)・ブームのまさに前夜と呼べる年である。
日本中を熱狂させたGSブームの最盛期、全国には300ほどのグループが存在したという。その中でレコード・デビューを果たしたのは100組ぐらい。さらに、現在50歳代以上ならば誰でもが知っているようなヒット曲を残せたGSというと、20組足らずだろうか。幸運にもデビューできたとしても、その大半はシングル数枚を残せた程度。ブーム終息期の1969年以降のデビュー組に至っては、シングル盤一枚だけで鳴かず飛ばずに終わった「泡沫GS」がほとんどである。
それから10年以上の歳月を経た1980年代半ば、近田春夫がパーソナリティを務めたラジオの深夜放送や、GS研究のパイオニアである故・黒沢進氏の労作『日本ポピュラー史研究』がきっかけとなり、若い音楽ファンの間でGS再評価のムーヴメントが巻き起こる。GSブームのリアルタイム体験の無い彼らにとってGSは決して懐メロではなく、自分たちの音楽的ルーツでもあるパンク/ニューウェイヴとも似たガレージ・ミュージック的感覚溢れる未知のサウンドだったのである。
特にこれまで顧みられることのなかった泡沫GS作品の“ガレージ度”の高さが注目を集め、「B級GS」「カルトGS」(命名by黒沢進)と呼ばれるグループたちが、タイガースやブルコメなどメジャー組よりも人気を得るという逆転現象も起きている。元々世に出回った絶対数が少ない彼らのレコードは希少価値が増し、中古盤市場でも価格が高騰。一時期は数十万円で取引されたシングル盤もあったほどだ。80年代末からGS作品のCD化が進む中で、カルトGS作品も次々にCDで聴けるようになり、より広く伝播されていった。そして、こうした再評価ムーヴメントによって誕生した「GS後追い世代」が今やGS市場の担い手であり、それはさらに若い世代へと広がりつつあると言えるだろう。
そんなカルトGS作品の人気曲・名曲を厳選しCD2枚に収録。まさにカルトGSの決定版ベストとも言える内容のコンピレーションが、現在絶賛発売中の『究極のカルトGS Vol.1』『同Vol.2』である。下記の収録曲リストを見てもらえばわかると思うが、よく通販等で売られている一般的なGS全集もの、ありきたりなGSベスト・コンピレーションなどでは、まずお目にかかることの無いマニアックな楽曲揃い。懐メロGS曲には希薄なGS本来の破壊的なエネルギーと刹那的な魅力を体現した作品ばかりだ。
まさにGSの真実がここにあると言っても過言ではない。「GS50周年」という記念すべき年だからこそ聴いておきたいお奨めコンピレーションである。
究極のカルトGS Vol.1
(アドニス・スクェア ADLA1004)
1.マイラブ・マイラブ / ザ・ヤンガーズ
2. 赤毛のマリー / ザ・ガリバーズ
3. 恋を消すんだ / ザ・ナポレオン
4. ラスト・チャンス / 内田裕也とザ・フラワーズ
5. 赤く赤くハートが / ザ・レンジャーズ
6. すてきなエルザ / ザ・ライオンズ
7. ゲルピン・ロック / ムスタング
8. 風がさらった恋人 / ザ・シルビー・フォックス
9. 今も・・・ / ザ・サマーズ
10. サハリンの灯は消えず / ザ・ジェノバ
11. シェイキン・マイ・ソウル / ザ・ボルテージ
12. まぼろしのシェラザード / アイドルズ
13. ランブリン・マ」 / ザ・マイクス
14. グッドバイ・ベイビー / ザ・フェニックス
15. 薔薇のレクイエム / 宮ユキオとニュー・ジャガーズ
16. シェビデビで行こう / ザ・プレイボーイ
17. 恋のピストル / ルビーズ
18. 風船 / ミッキー・カーチスとザ・サムライズ
究極のカルトGS Vol.2
(アドニス・スクェア ADLA1004)
1. 恋にしびれて / ザ・リンド&リンダース
2. クライ・クライ・クライ / ジ・エドワーズ
3. レッツ・ゴー・オン・ザ・ビーチ / アウト・キャスト
4. 恋よ恋よ恋よ / ザ・タックスマン
5. テクテク天国 / ザ・クーガーズ
6. 恋のサイケデリック / ザ・デビィーズ
7. ウォーキン・ザ・バルコニー / 4・9・1
8. ヘイ・ガール / ザ・ヴァン・ドッグス
9. 欲ばりな恋 / ザ・モージョ
10.レッツ・ゴー・ピーコック / ザ・ピーコックス
11.貴族の恋 / レオ・ビーツ
12.恋はふりむかない / ザ・リンガース
13.悪魔のベイビー / ザ・クラックナッツ
14.愛の伝説 / ザ・フィンガーズ
15.ブーガルーNo.1 / ザ・マミーズ
16.イカルスの星 / ザ・ラブ
17.ケメ子の歌 / ザ・ダーツ
≪著者略歴≫
中村俊夫(なかむら・としお):1954年東京都生まれ。音楽企画制作者/音楽著述家。駒澤大学経営学部卒。音楽雑誌編集者、レコード・ディレクターを経て、90年代からGS、日本ロック、昭和歌謡等のCD復刻制作監修を多数手がける。共著に『みんなGSが好きだった』(主婦と生活社)、『ミカのチャンス・ミーティング』(宝島社)、『日本ロック大系』(白夜書房)、『歌謡曲だよ、人生は』(シンコー・ミュージック)など。
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