2019年08月02日
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2019年08月02日
13歳の時に劇団ひまわりに入団し、1968年にはテレビ映画『バンパイヤ』で主役に抜擢、そして1974年には萩原健一とともに『傷だらけの天使』に主演、さらに1978年には『熱中時代』で大人気を博し、2000年からは『相棒』(当初は単発で2002年からレギュラー化)と、常に代表作を更新し続けながらスター街道を突っ走ってきた俳優・水谷豊。一方で歌手としても多くのレコードを出している。そちらの方の代表作といえば、やはり最も大きなヒットとなった「カリフォルニア・コネクション」ということになるだろう。オリコンのランキングこそ最高3位にとどまるも、TBS『ザ・ベストテン』では4週に亘って1位を獲得した。前週までのトップだったサザンオールスターズ「いとしのエリー」に替わって初の1位に輝いたのは1979年7月26日、そして連続1位を記録したのが翌週8月2日の放送、つまり今からちょうど40年前のことになる。ベストテン内には12週ランクインし続けた中で、ドラマ撮影現場からの中継で歌を披露したのはたった2回だけだった。日本テレビのドラマ主題歌だからという配慮もあったのだろう。
歌手活動のスタートは、俳優業に遅れること約10年、1977年7月にリリースされたシングル「はーばーらいと」で、松本隆・作詞、井上陽水・作曲、佐藤準・編曲という布陣。吉田拓郎新社長体制になったばかりのフォーライフレコードからの発売だった。翌月には早くもファースト・アルバム『水谷豊』が出され、シングルも翌78年にかけて「やりなおそうよ」「表参道軟派ストリート」「故郷フィーリング」と潤沢にリリースされている。この3作はいずれも、阿木燿子・作詞、宇崎竜童・作曲によるもの。日本テレビ系グランド劇場で放映された主演ドラマ『オレの愛妻物語』の主題歌となった「故郷フィーリング」はオリコン33位のスマッシュヒットとなり、歌手・水谷豊がかなりアピールされた。そして1979年、4月にスタートしたドラマ『熱中時代・刑事編』の主題歌としてリリースされた通算5枚目のシングルが「カリフォルニア・コネクション」であった。
作詞は前作と変わらず阿木燿子が手がけ、作曲は先生編に続いてドラマの音楽を担当した平尾昌晃に委ねられた。水谷が小学校の教師に扮して大人気を博した『熱中時代』の続編が、いきなり刑事ドラマになるというニュースに、当時の視聴者は驚かされたものである。しかしながら刑事編もコミカルな味付けがなされたテンポのいい運びで、先生編とはまた違う水谷の魅力が遺憾なく発揮されて高視聴率を獲得する。そして主題歌の「カリフォルニア・コネクション」も大ヒットとなったのだった。結果的に65万枚を売り上げて、1979年の年間チャート12位を記録。歌手・水谷豊にとっての代表作となる。ドラマへの導入を促す印象的なイントロなど、アレンジを担当した鈴木茂の役割も大きい。ちなみに『ザ・ベストテン』では8月23日の放送でゴダイゴの「銀河鉄道999」に首位の座を譲り渡すことになったのだが、そこから4週間も2位をキープしたのは非常に粘り強いチャートアクションとして印象に残る。
水谷はその後も、『熱中時代』先生編パート2の主題歌「やさしさ紙芝居」(1980年)をヒットさせたり、それほど大きなヒットにはならずとも、『あんちゃん』の主題歌「普通のラブソング」(1982年)や、『事件記者チャボ!』の主題歌「何んて優しい時代」(1983年)など、やはりドラマ主題歌に佳曲が多く見られる。『相棒』での人気がすっかり定着していた2008年には22年ぶりに音楽活動を再開し、セルフカヴァー・アルバム『TIME CAPSULE』がオリコン2位にランクイン。その際「カリフォルニア・コネクション」のPVが制作され、とんねるずの木梨憲武が出演したのも話題になった。水谷の最も大きな魅力は、どんな役を演じても滲み出てくる人柄の良さではないだろうか。歌にもそれが顕著に感じられる。奥さんである伊藤蘭のことを“蘭さん”と呼んでいるというエピソードが、水谷豊の優しさを何より物語っている。だからこその「やさしさ紙芝居」であり、「何んて優しい時代」なのだ。
水谷豊「はーばーらいと」「故郷フィーリング」「カリフォルニア・コネクション」「やさしさ紙芝居」ジャケット撮影協力:鈴木啓之
≪著者略歴≫
鈴木啓之 (すずき・ひろゆき):アーカイヴァー。テレビ番組制作会社を経て、ライター&プロデュース業。主に昭和の音楽、テレビ、映画などについて執筆活動を手がける。著書に『東京レコード散歩』『王様のレコード』『昭和歌謡レコード大全』など。FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』(毎週日曜23時~)に出演中。
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