2015年07月04日
スポンサーリンク
2015年07月04日
一言で夏の歌と言っても様々である。ただ大きく分けて、「夏の始まりの歌」と「夏が終わっていく歌」に分かれる。前者に登場するのは期待に胸を膨らませた主人公。歌詞に関しては、他の季節より感覚的な言葉が許される。要はイミよりノリ重視。石川優子とチャゲがデュエットした「ふたりの愛ランド」という曲があったけど、“夏 夏 ナツ ナツ ココ 夏”といったモロに調子のいいサビは、この季節だからこそ許されるのだろう。一方、後者はひと夏の恋の行方であったり、季節が過ぎて心に宿る喪失感だったり、そんなテ-マの歌が多い。歌の主人公の思慮深さも増していく。そんななか、今回は「夏の始まりの歌」に着目したいと思う。正確に言うと、初夏から盛夏への歌である。
まずぱっと浮かんだアイドル歌謡から榊原郁恵の「夏のお嬢さん」(いま原稿書いていて、間違ってワバラヨシエとキ-ボ-ド打ちそうになった…)。これの歌は感覚的かつノリ重視だ。歌詞の1行目は“チュウ チュウ チュチュ”。そして一世を風靡した“アイスクリ-ム ユ-スクリ-ム”という超キラ-・フレ-ズ。クラクラ、ヤキモキ、そんな言葉も歌詞に出てくる。ピンのアイドルがテレビ画面に君臨していた時代の歌ゆえ、衣装や振り付け含め、複合芸術として受取ってこそ、冒頭の“チュウ チュウ チュチュ”も意味を持つ。そもそも“夏のお嬢さん”が気になっている男性目線からの歌であり、しかしそれを“夏のお嬢さん”当人と思われる郁恵ちゃんが歌うというあたりがミソである。
次に「夏の始まりの歌」を曲タイトルから攻めてみると、「夏が来た!」という作品が世の中には複数ある。ここでは昭和と平成の代表選手を一曲づつ比較してみることにしよう。まずは我らのキャンディ-ズの「夏が来た!」。この歌は季節の変わり目がヒトに与える心理的および身体的な変化に着眼するということでは彼女達の代表曲「春一番」の夏版といえるだろう。“さわやかな雲”という言葉が歌詞に登場するが、爽やかに感じられるのは湿度が下がった証拠。主人公が青い空へ向かって思わず手を伸ばしたくなるというのも分かる分かる。
一方、平成世代の代表としては渡辺美里の「夏が来た!」。この歌の主人公は夏だから叶う、夏だから許される、そんな積極行動に出る。“生きているまぶしさ”という言葉が出てくるが、まさに今、それを体感する。実はこの作品、相手との関係は、“もう友達じゃない きみがいる”と言っているので、フォ-リン・ラヴ後の男女の状況である。この恋が来年も再来年も続けばと主人公は思っているが、さてどんな夏の終わりを迎えたのだろうか…。そのあたり一切描かれていないのは、まさに今まさに“夏が来た”ろだからなのだ。
ところでこの「夏が来た!」。ご本人の作詞がとっても伸び伸びというか大胆というか(著作権上、歌詞をあんまり長く引用出来ないが)相手にマドンナを貸したら“ベ-ト-ベン入れて 返したね”ってフレ-ズが出てくる。こんな歌詞だったことちょっと忘れていたけど、これ素晴らしくユニ-クじゃないですか? なぜ彼氏はこんなことしたのだろうか。単に粗忽者で、単純に入れ間違っちゃったのか。はたまた、流行りモノばっか聴いてないで、たまにはクラシックも聴けよという、教育的指導だったのか…。いずれにしろ、デジタルの携帯音楽プレ-ヤ-同士ではあり得ないこと。この恋が夏の終わりにどんな結末を迎えたのかも気になるが、マドンナとベ-ト-ベンの一件も、とても気になるのだった。なお渡辺美里の「夏が来た!」、作曲は大江千里である。
写真提供:ソニー・ミュージックダイレクト
本日9月6日は大江千里の誕生日。1960年生まれ、56歳になる。1983年5月21日、「ワラビーぬぎすてて」『WAKU WAKU』で、関西学院在学中にデビュー。東京と大阪を行ったり来たりし、「日...
この季節になるとどこにいても耳に入ってくるクリスマス・ソング。宗教的には無関係でも、レコード棚には結構な数のクリスマス・レコードあるいはCDが存在する。いったい、いつごろから我々はクリスマス・ソ...
衝撃の解散宣言(7月17日)から約5カ月後、1977年の今日、12月5日、キャンディーズのシングル曲の中で音楽的に最も高度な一曲ではないかとも言われる「わな」がリリースされた。 text by ...
岡村孝子と加藤晴子のデュオ、あみんがデビュ-したのは1982年の7月。遡ること2か月前の「第二十三回 ポプコンつま恋本選会」で、見事グランプリを獲得したのがキッカケだった。曲は「待つわ」。タイト...
本日、11月4日はファン待望のキャンディーズのDVDボックス・セットの発売日。1978年4月4日、後楽園球場で開催された彼女たちの解散コンサート「ファイナル・カーニバル」が初めて「完全収録」の形...
1977年9月21日、キャンディーズの「アン・ドゥ・トロワ」が発売された。その2ヶ月前の7月17日、日比谷野外音楽堂でのコンサート中に突然発せられた「私たち、この9月で解散します」という衝撃のひ...
1973年9月1日に「あなたに夢中」でCBSソニー(当時)からデビューしたキャンディーズは、所属の渡辺プロダクションにとって傘下の東京音楽学院の生徒で構成されるスクール・メイツから誕生した初めて...
旅には、二種類ある。目指す場所がある旅と、当て所もない旅だ。そして旅の歌にも同様に、この二種類がある。「男はつらいよの日」に、寅さんにちなんでお届けする、思わず頷く旅の曲について。text by...
その夏のツアー“サマー・ジャック77”の初日の日比谷野外音楽堂のステージ終盤にそれは起こった。激しいダンスとファンとのコール&レスポンスで会場の盛り上がりが頂点に達した時、3人が急に抱き合って号...
梅雨の季節である。となると出番は「雨」を題材にした歌だろう。試しに歌詞検索サイトをみてみると、そういう歌は五万とあることが分る。なんでこんなにあるのだろう。でも考えてみたら、日本語って雨を表わす...