2016年08月26日
スポンサーリンク
2016年08月26日
夏の終わりを飾るテレビ界の一大行事といえば、毎年8月下旬の土日にかけて日本テレビ系で放送されるチャリティ番組『24時間テレビ 愛は地球を救う』だろう。今年は8月27日~28日に『24時間テレビ39 愛~これが私の生きる道~』と題して放送される。今回で39回目を数えるこの名物番組、その第1回が放送されたのは1978年8月26日~27日。つまり、38年前の今日である。視聴者からのFAXやメールの投稿も、チャリティーマラソンもまだない時代、欽ちゃん(萩本欽一)のメイン司会や手塚治虫アニメスペシャル、黄色いTシャツ、募金のコインが詰め込まれたコカ・コーラの1リットル瓶など、初期ならでは番組の風情を懐かしく思い出す方も多いのではないだろうか。
この「初期ならでは風情」を語る上で欠かせないのが、『24時間テレビ』のために制作された数々の音楽である。ディスコ&フュージョンの時代のエッセンスを凝縮したような壮大なインストゥルメンタル曲「LOVE SAVES THE EARTH~愛は地球を救う」(メインテーマ)をはじめとして、募金の受付方法等の告知コーナーで流れていた、ザ・バーズによる合唱曲「MAGIC FEELING OF LOVE~愛はマジック」(作詞:奈良橋陽子)、視聴者からのメッセージ紹介のバックで使用された「OUR BEAUTIFUL PLANET FOREVER~この星をあなたに」(作詞:山川啓介)など忘れがたい名曲が創られている。そして、これらの作編曲を一手に担い、実質『24時間テレビ』の音楽監督の役割を果たしていたのが作編曲家、ジャズピアニストの大野雄二である。
大野雄二にとっての1978年とは、ドラマ『大追跡』、『犬笛』、アニメ『ルパン三世』、『キャプテンフューチャー』、松田優作のセカンドアルバム『Uターン』、自身のオリジナルアルバム『SPACE KID』などを立て続けに手掛けていた、長いキャリアの中でも最も脂の乗っていた多忙な時期。しかし『24時間テレビ』の音楽群は、そんな慌ただしい中で創り出されながらも抜群のスタイリッシュさを放ち、日本では湿っぽくなりがちな障害者・高齢者への支援という現実を、これまでになかったスマートなイメージに演出し直すことに大きく貢献していた。この、まったく新しい「バラエティ型チャリティ番組」を、新鮮さと驚きの中で体験した者であれば、その中で機能していた「音楽の力」を、誰もが実感していたのではないだろうか。『24時間テレビ』の原点には、大野雄二のサウンドがマイルストーンとして置かれているのである。
しかし1992年、『24時間テレビ15 愛の歌声は地球を救う』と題されたこの年の番組では、「歌」がメインテーマとして掲げられ、番組中に一般募集された歌詞を基に、谷村新司が詞をまとめ、加山雄三(名義は弾厚作)が曲を付け、24時間の番組中に独自の歌を作り上げるという趣向が凝らされた。そうして誕生したのが、今なお使用されている「サライ」(代表作詞:谷村新司、作曲:弾厚作、編曲:羽田健太郎)である。さらにこの年には、総合司会とは別に「番組パーソナリティー」が創設されたり(この年はダウンタウンが担当)、チャリティーマラソン(挑戦者は間寛平)が開始されたりなど、番組全体でバラエティ色の強化が試みられている。これらの路線変更に伴い、翌年以降の放送においても、この「サライ」が引き続き『24時間テレビ』のテーマソングとしての役割を果たしていくことになり、大野雄二による聴き慣れた音楽群は、この年を境に使用されなくなっていくことになる。あの煌めくようなサウンドを「夏の風物詩」として味わうことができなくなって、もう24年も経つのだ。誠に残念……。
町田義人が歌う『戦士の休息』(作詞:山川啓介、作編曲:大野雄二)が大ヒットした角川映画『野性の証明』(1978年10月7日に公開)の主題歌・劇伴制作とほぼ同時進行、かつ、手塚治虫アニメ『100万年地球の旅 バンダーブック』の制作遅延などもあり、初代『24時間テレビ』のための音楽制作は、多忙を極めたスケジュールの中で進行していったという。以前、大野氏は、筆者が担当したインタビューの中で、嵐のようにゆき過ぎた1978年の中でも最も忘れがたい出来事として、この『24時間テレビ』のギリギリのタイミングでの進行状況を挙げながら、「でも、ピンクレディー(第1回チャリティパーソナリティ)の歌だけは作らせてもらえなかったけどね(笑)」とお茶目に微笑んでいた。
これらの音楽は、当時、LPレコード『24時間テレビ 愛は地球を救う・オリジナルサウンドトラック』(1978/ビクター音楽産業)として発売されている。大野氏のコメントどおり、ピンクレディーによるテーマソング「2001年愛の詩」(作詞:阿久悠 作編曲:都倉俊一)以外はすべて大野雄二作編曲という大作アルバムである。アナログLPは長らくマニア垂涎のレア盤の扱いであったが、ようやく2010年に初CD化が果たされている。
映画『野性の証明』の主題歌「戦士の休息」で、30万枚以上のセールス(累計85万枚とも言われている)を記録し、オリコン最高位6位にランク。町田の歌手キャリアの中で最大のヒットとなった。伝説の男・町...
映画『人間の証明』(1977)の音楽は、『犬神家の一族』に続き、作曲家:大野雄二が担当している。1977年の大野雄二といえば、今なお新シリーズが作られ続けているテレビアニメ『ルパン三世(第2シリ...
日本映画の歴史を大きく変えた角川映画の記念すべき第1作『犬神家の一族』は1976年に公開され、全国的な大ヒットとなる。主題曲「愛のバラード」は、インストとしては異例の売り上げを示したのだが、その...
角川映画第一作『犬神家の一族』(1976年 10月公開)では、それまでに掴んでいた「テレビ/映画と原作本とのタイアップ販売」、「横溝正史を軸としたエンターテインメント路線」という糸口を、横溝作品...
角川映画第4作『野性の証明』(1978年10月公開)は、1978年度の邦画配給収入で第1位、『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』など並み居る強敵を含めた全体ランキングでも第4位となる大ヒットと...
1977年10月8日に公開された角川映画『人間の証明』は、配給収入22億5000万円というこの年の興行ベストテン第2位にランクされる大ヒットを記録。本編の中で黒人青年役を演じたジョー山中が歌う主...
日本を代表する作詞家、阿久悠が世を去って早11年。没後10年、作詞活動50年、そして生誕80年にあたる年だった2017年には記念のコンサートをはじめ、評伝ドラマやドキュメンタリー番組の放映、関連...
80年代の角川映画の地位を絶対的なものにしたのは「角川三人娘」の存在である。81年に『セーラー服と機関銃』が公開されると、主演の薬師丸ひろ子の人気は大ブレイクした。そしてポストひろこを作り出すべ...
オールスターキャストの大作とアイドル主演作を中心にヒットを連発し、日本映画の歴史を大きく変えた角川映画が誕生してから既に40年以上が経つ。映画と連動した角川文庫のキャンペーンは出版界にも好況を及...
1965年6月26日、ザ・バーズの「ミスター・タンブリン・マン」が全米1位に輝いた。ロジャー・マッギンの12弦ギター、それに続いてベースが重くうねり、パーカッションが軽やかにリズムを叩きだす。そ...
本日6月21日は作曲家・都倉俊一の誕生日。70年代の歌謡曲に大変革を起こした都倉は1948年生まれ。歌謡曲シーンでは戦後世代初の職業作曲家でもあった。都倉が音楽シーンにはじめてその名を刻んだのは...
今から39年前の今日1977年8月10日、ジョー山中の「人間の証明のテーマ」がリリースされる。それまで知る人ぞ知る日本ロック伝説のヴォーカリストだったジョー山中の名は、これを機に一般的認知度が一...
日本映画が誇るクール・ビューティ、梶芽衣子は1965年に日活に入社。当初は本名の太田雅子で女優を続け、69年のマキノ雅弘監督『日本残侠伝』でマキノ監督に命名され梶芽衣子を名乗る。クエンティン・タ...
今日、11月6日は他でもない松田優作の命日である。1989年に40歳という信じ難い若さで彼がこの世を去ってから、既に26年の月日が流れようとしている。ここでは松田優作のフィルモグラフィーを飾った...
いなたいホンキートンク・ピアノとハーモニカで始まるオープニング曲に誘われて、レンガ造りのペントハウスのドアの札を返すと、そこには「探偵物語」の文字が……。今日、9月18日は松田優作主演のテレビド...