2018年01月28日
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2018年01月28日
「角川映画シネマ・コンサート」に向けて、角川映画と音楽の関わりを検証していくシリーズの2回目。今回は、特に80年代の角川映画に於けるシンボル的存在、「角川三人娘」の活躍について振り返ってみたい。
角川映画の地位を大きく躍進させたその人・薬師丸ひろ子は、1978年に『野性の証明』の少女・長井頼子役として、鮮烈なデビューを果たした。将来の大開花を予感させるその個性がアイドル的支持へと結びついたのは、80年に主演した『翔んだカップル』からである。その頃、角川が発行していた映画ファン向け雑誌『バラエティ』で、ひろ子と共に若手女優三人娘として大プッシュされていたのは、意外や意外、杉田かおる・荻野目慶子だったことも、今では遠い想い出であろう。
「野性の証明」(C)KADOKAWA1978
監督:佐藤純彌
脚本:高田宏治
そのひろ子人気が最高潮に達した映画『セーラー服と機関銃』(81年)は、初めて自ら歌った主題歌も大ヒット。大フィーバーの最中、大学受験の準備に専念するため、突然の活動休止宣言。ファンに与えたショックは大きなものだったが、看板スターをわずかの間ながら失うこととなった角川は、ポストひろ子の座を確保するため、東映と合同で大々的なヒロインオーディションを開催する。そこで発掘されたのが、大賞に輝いた渡辺典子と、特別賞を受賞した原田知世の二人だった。
『セーラー服と機関銃 角川映画 THE BEST』
価格 ¥1,800+税
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA
『伊賀忍法帖』(82年)で、真田広之の相手役として鮮烈なデビューを飾った渡辺典子は、翌年とある不祥事により主役の座が空席となった映画版『積木くずし』に急遽起用され、体当たりの演技で女優魂を見せつける。84年には角川制作によるアニメ映画第2弾『少年ケニヤ』の主題歌を歌い歌手デビュー。その後も『晴れ、ときどき殺人』『いつか誰かが殺される』(共に84年)、『結婚案内ミステリー』(85年)など、自ら主演した映画のテーマ曲を歌い、コンスタントにレコード発売を続けた。意外にも慎重で伸びのある歌声に定評がある。
『伊賀忍法帖 角川映画 THE BEST』
価格 ¥1,800+税
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA
そんな典子をしのぐアイドル的大成功を収めたのが、原田知世だ。デビューはひろ子の大ヒット作『セーラー服と機関銃』のテレビドラマ版リメイク(82年)で、その主題歌「悲しいくらいほんとの話」でレコードデビューを飾っている。翌年主演した『時をかける少女』が主題歌共々大ヒットし、一躍トップアイドルの座に躍り出た。守ってあげたくなる繊細な歌声は、その後主演した『愛情物語』『天国にいちばん近い島』(共に84年)の主題歌でも印象的に響き、映画のヒットを後押し。充実した音楽活動は、驚くなかれ今の今までコンスタントに続いている。実の姉・原田貴和子も、角川映画『彼のオートバイ、彼女の島』(86年)で主演を務め、主題歌も歌っているが、これが隠れた名曲。
『時をかける少女 角川映画 THE BEST』
価格 ¥1,800+税
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA
『彼のオートバイ、彼女の島 角川映画 THE BEST』
価格 ¥1,800+税
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA
そして無事玉川大学へ入学した薬師丸ひろ子は、83年に映画『探偵物語』で復帰。併映された『時をかける少女』のパワーもさることながら、大瀧詠一の手による主題歌の大ヒットにも後押しされて、最高の再スタートを飾った。ここで3つの駒が無事揃い、ひろ子・典子・知世の3名は「角川三人娘」と総称され、時代を席巻し始めることになる。
その後のひろ子は、『メイン・テーマ』『Wの悲劇』(共に84年)と、次々と当たり役を手に入れ、それぞれ南佳孝、松任谷由実の手による主題歌も大ヒットさせているが、同年にリリースした初のオリジナル・アルバム『古今集』は、シングルヒットを敢えて排除し、歌手としての魅力を最大限にクローズアップした力作となり、こちらも大ヒットした。1曲目を飾る竹内まりや作品「元気を出して」は、末長く愛されるスタンダード曲となり、その後リリースされたまりやの自唱版(87年)では、お礼としてひろ子がバックコーラスに参加している。
こうして女優・歌手活動とも軌道に乗せたひろ子は、85年に角川から円満独立。他の二人も程なく角川を去り、三人娘という関係は自然消滅した。レコード発売と映画出演が有機的に相乗効果をもたらし人気を急成長させるという、斬新なメディアミックス効果は、間違いなくこの三人の成功によって発展したと言えるだろう。これらの名曲の幾つかも、きっとこのコンサートで聴けるに違いない。
角川映画 シネマ・コンサート
●日時
2018年4月13日(金)開場 18:00 / 開演 19:00
2018年4月14日(土)開場 13:00 / 開演 14:00
●会場
東京国際フォーラム ホールA
●料金
全席指定 ¥9,800(税込)※未就学児入場不可
●上演作品
「犬神家の一族」「人間の証明」「野性の証明」
※各映画の上映は全編上映ではございません。各映画のオリジナル映像を元に特別に編集されたハイライト映像に合わせて、生演奏の音楽でお楽しみ頂く、最新のライブ・エンタテインメント=シネマ・コンサート形式で上演致します。予めご了承ください。
●出演
・大野雄二と“SUKE-KIYO”オーケストラ
大野雄二(音楽監督・Piano, Keyboards) 市原 康(Drums) ミッチー長岡(Bass)
松島啓之(Trumpet) 鈴木央紹(Sax) 和泉聡志(Guitar) 宮川純(Organ)
佐々木久美(Vocal, Chorus) Lyn(Vocal, Chorus)佐々木詩織(Vocal, Chorus) 他
・スペシャル・トークゲスト:石坂浩二
≪著者略歴≫
丸芽志悟 (まるめ・しご) : 不毛な青春時代〜レコード会社勤務を経て、ネットを拠点とする「好き者」として音楽啓蒙活動を開始。『アングラ・カーニバル』『60sビート・ガールズ・コレクション』(共にテイチク)等再発CDの共同監修、ライヴ及びDJイベントの主催をFine Vacation Company名義で手がける。近年は即興演奏を軸とした自由形態バンドRacco-1000を率い活動、フルートなどを担当。 5月3タイトルが発売された初監修コンピレーションアルバム『コロムビア・ガールズ伝説』の続編として、新たに2タイトルが10月25日発売された。
1984年5月16日、薬師丸ひろ子のシングル3作目となる「メイン・テーマ」がリリースされた。オリコン・シングル・チャートでは惜しくも最高2位、デビュー作「セーラー服と機関銃」2作目「探偵物語」に...
1983年7月4日、薬師丸ひろ子の2ndシングル「探偵物語/すこしだけやさしく」(両A面扱い)が、オリコンのシングル・ランキングで5週連続の1位を獲得した。デビュー曲「セーラー服と機関銃」の5週...
映画『野性の証明』の主題歌「戦士の休息」で、30万枚以上のセールス(累計85万枚とも言われている)を記録し、オリコン最高位6位にランク。町田の歌手キャリアの中で最大のヒットとなった。伝説の男・町...
映画『人間の証明』(1977)の音楽は、『犬神家の一族』に続き、作曲家:大野雄二が担当している。1977年の大野雄二といえば、今なお新シリーズが作られ続けているテレビアニメ『ルパン三世(第2シリ...
日本映画の歴史を大きく変えた角川映画の記念すべき第1作『犬神家の一族』は1976年に公開され、全国的な大ヒットとなる。主題曲「愛のバラード」は、インストとしては異例の売り上げを示したのだが、その...
角川映画第一作『犬神家の一族』(1976年 10月公開)では、それまでに掴んでいた「テレビ/映画と原作本とのタイアップ販売」、「横溝正史を軸としたエンターテインメント路線」という糸口を、横溝作品...
角川映画第4作『野性の証明』(1978年10月公開)は、1978年度の邦画配給収入で第1位、『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』など並み居る強敵を含めた全体ランキングでも第4位となる大ヒットと...
1977年10月8日に公開された角川映画『人間の証明』は、配給収入22億5000万円というこの年の興行ベストテン第2位にランクされる大ヒットを記録。本編の中で黒人青年役を演じたジョー山中が歌う主...
1976年10月公開の『犬神家の一族』は、角川映画第一回作品。名監督市川崑、横溝正史の濃密な原作、日本を代表する俳優陣による豪華なキャストなど、これらの重厚すぎる座組みを考えれば、映画音楽制作を...
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1981年の12月21日、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」がオリコン・チャートの1位を獲得した。同年11月21日にキティ・レコードから発売された薬師丸のデビュー曲であり、彼女が主演した同名映画...
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