2015年11月06日
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2015年11月06日
9月18日の「大人のMusic Calendar」では、『探偵物語 ×SHŌGUN』と題して、松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』(1979)とその音楽について話をさせて頂いたが、今日、11月6日は他でもない松田優作の命日。1989年に40歳という信じ難い若さで彼がこの世を去ってから、既に26年の月日が流れようとしている。そこで今回は、彼のフィルモグラフィーを飾った3人のサウンドトラック作家を振り返ってみたい。
既に何作かの映画出演を経てはいたものの、松田優作が映画スターとして広く脚光を浴びたのは、何といっても1977年の『人間の証明』からだろう。当時、映画界に新風を吹き込んでいた業界の風雲児:角川映画が、『犬神家の一族』(1976)に続いて製作した第2回作品である。ジョー山中による主題歌「人間の証明のテーマ」が50万枚超のヒットを飛ばしていることにも象徴されるように、角川お得意の大胆なメディアミックス型の広報戦略と共に、大きな注目を集めていた。音楽は、『犬神家の一族』から引き続いて大野雄二が担当。ジャズピアニスト出身でありながら、大編成のオーケストレーションから、シンセサイザーを効果的に用いた極小編成でのコンボサウンドまでを自在に紡ぎだす手腕が如何なく発揮され、映画のみならず、件の主題歌を含むサウンドトラックLP盤も大人気となった。
遡ってみれば、大野は松田の歌手としてのデビューアルバムである『まつりうた』(1976)にも楽曲提供・アレンジ参加をしており、『人間の証明』以前から松田とは深い信頼関係で結ばれていたと言えるだろう。その後も『最も危険な遊戯』、『殺人遊戯』(共に1978)、『乱れからくり』、『処刑遊戯』(共に1979)等の松田優作主演映画で続々と音楽を担当。セカンドアルバム『Uターン』(1978)でもプロデューサーを務めている。音楽家:大野雄二とは、いわば、初期:松田優作のサウンドイメージを形作った最大の立役者なのである。
また、お気に入りの松田優作映画として、1985年の『それから』を挙げる方も少なくないのではないだろうか。広く知られた夏目漱石の原作を、当時気鋭の監督:森田芳光が映画化。松田とは、1983年の映画界の話題をさらった『家族ゲーム』(1983)に続くタッグとなった。『それから』の音楽を担当したのは、梅林茂。ニューウェーブ・バンド「EX」の活動を休止し、映画音楽の制作に軸足を移してから3作目に巡ってきた、松田優作との出会いであった。初期のアクションスターのイメージから脱却を図り、文芸作・芸術作にも次々と挑戦し続ける、この時期の松田。そんな彼にそっと寄り添うかのように用意された音楽は、静謐さを湛えた、まるで水や香りのように作中を漂い流れる、儚く美しいものだった。そのサウンドトラックは、1986年の第9回日本アカデミー賞において優秀音楽賞を受賞するなど高い評価を得ている。梅林は本作をステップに映画音楽作家としての活動を本格化させ、アジア諸国、ヨーロッパ、ハリウッド作品からも依頼が途絶えない、世界に広く知られるサウンドトラック作家として、今なお活躍中である。
そして、3人目の作曲家はハンス・ジマー。『バックドラフト』(1991)、『ライオン・キング』(1994)、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(2003~)、『ダークナイト』(2008)などを手掛けてきた映画音楽作曲家である。ハンス・ジマーと彼の門弟によって形作られた映画音楽の新しい作法は、通称「ジマー風」などとも呼ばれ、現在のアクション/サスペンス映画における王道スタイルとなっており、数多くのフォロワーが存在するほど。その「家元」たるジマーが、キャリアの最も初期において、『レインマン』(1988) と共に出世作として世に評価されたのが、松田優作の遺作でもある『ブラック・レイン』(1989)の音楽だったのだ。松田優作が命を賭して挑んだ、あの鬼気迫る演技の背景には、すでに「ジマー風」の萌芽ともいえるサウンドを聴き取ることができる。今や世界一多忙と言っても過言ではない映画音楽界のキング:ハンス・ジマー。ハリウッドを席巻した、そのサウンドスタイルの起点には、松田優作のシルエットがしっかりと刻印されているのである。
3人の作曲家のいずれもが、その長いキャリアの初期のうちに松田優作の映画作品と出会い、その才能を開花させ、広く世に羽ばたいている。短くも激しい光を放った松田優作が遺したものとは、子どもたちや後輩映画人への影響だけではない。こうした音楽作家・音楽作品たちも、松田優作が世界に蒔いた種の一粒のような気がしてならないのだが……。
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