2017年07月16日
スポンサーリンク
2017年07月16日
渋谷という街についてみなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか? SHIBUYA109に代表される「若者の街」という印象を持たれている方が多いのではないかと思います。しかし、実際には60年代の終わりまで渋谷は文化の匂いがない、何もない街でした。
著者の牧村憲一さんは渋谷生まれの渋谷育ち。戦後の焼け野原だった渋谷を見て育ち、渋谷に東急、西武グループが文化の息吹を吹き込んだ過程を肌で感じながら青春時代を過ごされました。
だからこそ、牧村さんが渋谷という街を愛し、大滝詠一さんや山下達郎さん、大貫妙子さん、加藤和彦さん、竹内まりやさん、そしてフリッパーズ・ギター……という70年代から90年代を駆け抜けた錚々たるアーティストたちをプロデュースやプロモートし、常に「都市型ポップス」の生みの親として日本の音楽シーン、カルチャーを牽引してこられた過程が本著には書かれています。
また、牧村さんを始めアーティストたちが90年代の「渋谷系」というカテゴライズに、なぜアンビバレントな感情を持っていたのか。そしてだからこそいままで口を閉ざしてきた「渋谷系」という言葉を、四半世紀以上かけて牧村さんがどう咀嚼し、実のあるテーゼとして捉えたのかが、本著では初めて明らかになっています。
本著に登場する渋谷という街を愛し、独自の文化を根付かせようと奮闘したさまざまな人々の活躍を追っていくと、牧村さんが長い時間をかけて行き着いた答えがストンと胸に落ちてくるように思います。
本著の編集を通じて、日本のアーティストたちがいかに偉大であるか、そして渋谷という街が現在とは少し違う意味での「若者の街」としての意味を持っていたのか。そのことを知ることができました。
音楽好きの方はもちろん、渋谷カルチャーの成り立ちに興味がある方にとっても掛け値なしにおもしろい内容だと胸を張ってオススメできます。
そしてもう一つ重要なのが、この本が回顧本ではないということ。
もちろん、牧村さんだからこそ知り得るアーティストたちの裏話は必読ですが、それ以外にもこれからの音楽シーンはどうなっていくのかということも分析されています。音楽ジャーナリストの柴那典さん、音楽プロデューサーの藤井丈司さんとともに世代を超えた、それぞれの観点から分析されているので、これからの音楽シーンを作っていこうという若い世代にもぜひ読んでいただきたい一冊です。
太田麻子(太田出版)
64年7月4日、ビーチ・ボーイズの「アイ・ゲット・アラウンド」がグループ初の全米ナンバーワンを獲得した。サーフィンや車、女の子などの若者文化を歌ってカリフォルニアを代表するポップ・グループへとの...
「ゴー・ゴー・ナイアガラ」は1975年6月9日月曜日の夜中、というより10日火曜日の朝午前3時にラジオ関東(現アール・エフ・ラジオ日本)で始まった。衝撃的な時間。なかなか聴けるものではない。真っ...
僕がブリッジを初めて観たのは1990年の夏、ライブハウスのクロコダイルでした。彼らの演奏に、ロリポップ・ソニック(デビュー時にフリッパーズ・ギターと改名)を知った時と同じ驚きを感じました。本日は...
1973年、日本のロックは(キャロルがちょっとでてきたとはいえ)国民的にはなかった。フォークは歌謡曲みたいだった。歌謡曲は「田舎の代名詞」であり、日本を覆う巨大なバリアーで知性の敵だった。その中...
1976年12月20日、加藤和彦のサードアルバム『それから先のことは…』が発売された。前の年、彼はサディスティック・ミカ・バンドでイギリス・ツアーを実現していたが、その成功の代償でもあるかのよう...
1971年10月5日、加藤和彦のセカンド・ソロ・アルバム『スーパー・ガス』がリリースされた。CSN&Yなどの洗練されたアンサンブルや、カントリー、トラッドなど、アメリカやイギリスの最新サウンドト...
今から42年前の今日1974年5月30日に完成したサディスティック・ミカ・バンドの歴史的名盤『黒船』は、幕末の黒船来航をモチーフに「東洋と西洋の出会い」をテーマとしたコンセプト・アルバムで、その...
僕が教授の存在を知ったのは長門(芳郎)君からでした。長門君は荻窪ロフトのライブ・アーティストの仕込みを担当しており、友部正人のバックでピアノを弾く教授を発見したそうです…本日は教授こと坂本龍一さ...
初めてシュガー・ベイブの名前を聞いたのは、当時勤務していたユイ音楽工房所属アーティストの山本コウタローさん(山本コウタローと少年探偵団)からだった。「牧村さん、ラスカルズのようなバンドがいる」と...
昨日、7月28日は大滝詠一さんの誕生日でした。牧村憲一さんにミスター・サイダーとして登場する19731年の大滝詠一をお書きいただきました。
40年前、1975年の本日5月24日、「ティン・パン・アレー・フェスティバル」が中野サンプラザで開催されました。そのステージには細野晴臣さんを中心とするティン・パン・アレー・チームと、大瀧詠一さ...