2016年01月17日

坂本龍一について知っているニ、三以上の事柄(お誕生日おめでとう編)

執筆者:牧村憲一

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Ryuichi Sakamoto I Year Book 1971-1979のリリース日に添えて


1976年夏、渋谷宮益坂上にあったRVCレコードのスタジオで、山下達郎ファースト・ソロ・アルバムのデモ録りが行われました。スタジオ内には山下達郎、教授(まだアブと呼ばれていたころです)の二人。その日作られたヴォーカルとピアノのデモは、ニューヨーク・サイドのプロデューサー、アレンジャーのチャーリー・カレロのもとに届けられました。レコーディングは8月18日ニューヨーク・メディアサウンドで始り、リズム隊の録音が終了したのが24日。別れ際にチャーリー・カレロが真顔で言ったことは驚きでした。何故あのデモで演奏しているピアニストを連れてこなかったのかと。


僕が教授の存在を知ったのは長門(芳郎)君からでした。長門君は荻窪ロフトのライブ・アーティストの仕込みを担当しており、友部正人のバックでピアノを弾く教授を発見したそうです。1975年12月23日新宿厚生年金小ホールでの『シュガー・ベイブ・クリスマス・コンサート』が開催されました。メンバーに加えてパーカッションにセンチメンタル・シティ・ロマンスから告井延隆、キーボードに教授が加わりました。この日、プログラムに用意されたのが大貫妙子コーナー。3曲目『からっぽの椅子』は教授のピアノ伴奏のみで歌われたのです。こうして長門君、シュガーベイブを通じて教授と知り合ったのです。それから35年後、2010年に発表された大貫妙子+坂本龍一の『UTAU 』のもしかしたら原形だったかもしれません。


僕が最初に設立した事務所のスタッフで、当時教授のマネージャーをしていた生田(朗)君から知らされたのが『千のナイフ』のリリースでした。生田君はレコーディングの様子と、ジャケット撮影時の話しを嬉しそうに話してくれました。今でも覚えているのはレコーディングのことよりも撮影に関する話しです。一年を通して同じスタイル、長髪、口ひげ、ジーンズ、ゴム草履からの華麗なる変身のこと、撮影場所(福生の米軍ハウス?)は洋風のバスタブのあるところのはずだったのが、実際は、(ジャケットを参照してください)ということで、実に残念ではあったが、それはそれで面白かったことなどです。近々出る『千のナイフ』のリマスター盤、もし僕がメーカーにいたら、もし残っているのなら、同じ場所に行って40年後の教授を撮影し直したでしょう。


1976年から1982年までの大貫妙子レコーディング、1978年から1981年の加藤和彦関連レコーディングと教授とのスタジオ・ワークは多かったのですが大きな動きがあったのは1981年秋の終わり頃でした。


(写真左)「千のナイフ」(写真右)1979年ロスアンジェルス、YMO公演


僕は資生堂の制作宣伝室のプロデューサー氏に、翌年の春の口紅キャンペーン・ソングについて意見を求められたのです。まともに答えると担当することになるので冗談交じりで、「男も化粧する時代ですからCFは無理としても、音楽は化粧している男でやったらどうでしょう。」とアイデアを出しました。早くその場から引き上げたかったからです。しかし返ってきた言葉は「例えば誰ですか?」だったのです。で、YMO、RCサクセションの名をあげると顔色が変わっていました。それがきっかけとなり、結局引き受け生まれたのが、忌野清志郎+坂本龍一『い・け・な・いルージュマジック』です。これほど困難な仕事はありませんでした。実は教授は即快諾してくれましたが、清志郎サイドがOKをくれるまで3週間かかりました。さらにビジネス上の条件追加があって1週間の詰め作業。毎日が交渉交渉でした。RCサクセションの並木橋のリハーサル・スタジオに教授と清志郎とチャボが集う日までにはさらに1週間待ちました。やっとスタートとなったその日こう言われたのです。「で、僕らはなにをやればいいの?」


(写真左)い・け・な・いルージュマジック、忌野清志郎自筆の歌詞カードも。 (写真右)い・け・な・いルージュマジックのサブ・マスター

最後に、今日は教授の誕生日です。心からおめでとうを言わせて下さい。 そして、この先も山のようなエピソードを残してください。 (文中、敬称略とさせていただきました)

Year Book 1971-1979 坂本龍一

千のナイフ (SACD ハイブリッド) 坂本龍一

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