2015年05月24日

ティン・パン・アレー・フェスティバル

執筆者:牧村憲一

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40年前、1975年の本日5月24日、「ティン・パン・アレー・フェスティバル」が中野サンプラザで開催されました。そのステージには細野晴臣さんを中心とするティン・パン・アレー・チームと、大瀧詠一さん率いるナイアガラ・チームの豪華な ミュージシャンたちが登場しました。


「’73キャラメル・ママ~ティン・パン・アレー」

1974年4月14日FM東京でオンエアーされた荒井由実とキャラメル・ママのスタジオ・ライヴの中で、思わぬことが起こりました。それは細野さんのヴォーカルによる『ほうろう』がオンエアーされたことです。今聴いても素晴らしい歌とグルーヴ。
しかし、6月30日にキャラメル・ママ名義で『ホーボーズ・コンサート』に出演後、キャラメル・ママを発展させたミュージシャン集団として、ティン・パン・アレーに改名します。最大の理由は、キャラメル・ママのサウンドに適応できるヴォーカリストが見つけ出せなかったことでしょう。バンドからセッション・グループへの展開でした。


直後、ティン・パン・アレーは『ロックとフォークのコンサート』で吉田美奈子のバッキングを、『シンシア・イン・コンサート』で南沙織のバッキングを鈴木顕子(矢野顕子:kbd)さん、シンガーズ・スリー(cho)、リバティ・ベルズ(cho) と共に担当しました。続けて、スリー・ディグリーズ『Midnight Train 』、荒井由実のレコーディングに入るのです。


8月24日ティン・パン・アレーにとって、後に大きな意味を持つことになる日本青年館での『コンサート邪無』が行われました。
参加したミュージシャンは、ティン・パン・アレーの細野晴臣(b, vo)、鈴木茂(g, vo)、松任谷正隆(kbd)、林立夫(ds)、既にセッション・メンバーとして欠かせなくなっていた鈴木顕子(kbd, cho)、加えて小坂忠(vo)、吉田美奈子(cho)、橋本秀一(cho)、南佳孝(perc) さんたちでした。
当日の演奏曲目は、「風来坊」「氷雨月のスケッチ」「薔薇と野獣」「機関車」「ほうろう」「からす」。この日のティン・パン・アレーの演奏はサウンドに匹敵するヴォーカル&コーラスを得たせいか鬼気迫るものでした。またリード・ヴォーカルの忠さんもバックに呼応し、「機関車」では激しくシャウトしまくります。キャラメル・ママからティン・パン・アレーに移行したとたんにライブ活動は活性化されたのです。
 

「ナイアガラとティン・パン・アレー」

1973年9月21日の、はっぴいえんど解散コンサート以来しばらく交流のなかったティン・パン・アレーと大瀧さんも、「サイダー’74」の録音を契機に行き来するようになりました。11月荻窪ロフトでの 『ティン・パン・アレー・セッション 3日コンサート』には矢野誠、小原礼、はちみつぱい、伊藤銀次、上原ユカリ裕さんたちと共にシュガーベイブが共演します。明けて75年の厚生年金会館小ホールでの『シュガー・ベイブ・セカンドコンサート』には、細野晴臣、大滝詠一、鈴木慶一、荒井由実さんたちがゲスト出演しました。
小坂忠『ほうろう』のリリースに続き、大瀧詠一セカンド・アルバムの制作が、出来たばかりの福生45スタジオで開始されます。そのセッションにはキャラメル・ママ~ティン・パン・アレー、ハックル・バックのメンバーの混成チームと、上原ユカリ裕(Ds)伊藤銀次(G)さんの元ココナツ・バンクの二人と、細野(B)佐藤博(Pf)さんの混成チームが参加しました。


ヴォーカリスト不在ゆえにキャラメル・ママからティン・パン・アレーへ進化したグループと、ナイアガラレコードの準備がやっと整った二つの流れが、ここで合流したのです。それを証明するかのように、両者総出演による大中都市で展開された『ベイ・エリア・コンサート』、並行して全国規模で開催されたのが『ファースト&ラスト・コンサート』です。これは、ほぼ同時期にリリースされた鈴木茂ファースト・アルバム『バンドワゴン』と、小坂忠ニュー・アルバム「ほうろう」とのジョイント・プロモーション・ツアーでした。


「40年前、1975年の5月24日」

40年前の5月24日『ティン・パン・アレー・フェスティバル』が中野サンプラザで開催されました。共演は大瀧さん、シュガーベイブ、バンブー、鈴木茂&ハックルバック、ブレッド&バター、トランザムという豪華さ。『ファースト&ラスト・コンサート』のチームの勢いと、セカンド・アルバム『ナイアガラ・ムーン』のリリース直前の大瀧チームは新曲も披露。60年代後半から、日本のロックポップを主導し構築してきた音楽家が一堂に会したコンサートは、超満員の観客によって熱く迎えられました。
ただ惜しむらくは、各バンドとも持ち時間30分づつで実に物足りなかったことと、PAが安定せずにサウンド的に不満が残ったことです。それも今となっては思い出のうちです。
この75年の盛り上がりが実を結ぶまでは、もう少し時間がかかることになります。
ステージ上にいた音楽家も、観客も皆まだ20代前後の若き日のことでした。

「ほうろう 」小坂忠 写真提供:ソニー・ミュージックダイレクト

ソニーミュージック 小坂 忠公式サイトはこちら>

ティン・パン・アレー

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