2018年03月14日

チキンラーメンのCMソング『すぐおいしい、すごくおいしい』を作った鈴木さえ子とはこんな人

執筆者:市川清師

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本日、3月14日は鈴木さえ子の誕生日。1957年3月14日、東京国立生まれ。61歳になる。鈴木さえ子といえばCINEMA(シネマ)やFILMS(フィルムス)での活動、ソロ・アーティスト、CMやアニメ、映画の音楽制作者としての活躍で有名だろう。桐朋学園大学短期大学部在学中に活動を開始。ガールズ・ロック・バンド、メドゥーサ、女性フュージョン・バンド、ベアトリーチェなどで活躍。東京のロック・シーンでは知る人ぞ知るドラマーで、ベアトリーチェはYAMAHA主催のロック・コンテスト『EastWest』(サザン・オールスターズやシャネルズ、アナーキー、カシオペアなどを輩出したことでも有名)の1979年度のレディース部門の初代グランプリも獲得している。


その後、松尾清憲率いるCINEMA(シネマ)に加入、1980年、シングル「グッバイ ハートブレイク」でメジャー・デビュー。翌81年、ファースト・アルバム『MOTIONPICTURE』をリリース。同作はムーンライダーズの鈴木慶一がプロデュースしている。前後してデビューしたフィルムスやジューシーフルーツ、プラスティックス、ポータブルロック、イミテーションなどとともに注目を浴びる。シネマは1981年に解散するが、2007年に再結成され、アルバム『CINEMA RETURNS』をリリース。2014年に『サイエンス・フィクション・マン』をリリースしているが、同作では鈴木さえ子はゲスト参加のみ。


シネマが解散してからは、鈴木はスタジオ・ミュージシャン、CM音楽などの作家として活動を開始する。並行して、坂本龍一のB-2 Units、立花ハジメのH、フィルムスなど、数多くのバンドで活躍。ビートたけしや泉谷しげる、大貫妙子などのライブのサポートもしていた。


1982年、鈴木慶一とユニット、PSYCHO PERCHESを組み、楽曲の制作を始める。翌1983年、アルバム『I wish it could be Christmas everyday』でソロ・デビュー。1984年、鈴木慶一と結婚。セカンド・アルバム『科学と神秘』をリリース。同年、日清チキンラーメンのCMソング『すぐおいしい、すごくおいしい』を手掛け、同曲は長年CMに使われる。1985年、サード・アルバム『緑の法則』をリリース。同年、映画『ウホッホ探険隊』(根岸吉太郎監督)の音楽を担当し、第41回『毎日映画コンクール』音楽賞を受賞した。1987年、『スタジオ・ロマンチスト』をリリース。ロンドン・レコーディングした同アルバムは、XTCのアンディ・パートリッジが3曲で共同プロデュースを務めた。アンディ・パートリッジに気に入られ、XTCのメンバーに加わらないかと勧誘されたことが話題になる。


1989年にはいとうせいこう原作、市川準監督の映画『ノーライフキング』に出演、音楽も担当した。鈴木慶一と離婚後、再婚して、出産。母となる。育児を優先させるため、夜間の仕事やツアーを受けず、昼間の仕事を中心にCM音楽とアニメ音楽を多く手掛けることになる。「もともと映像につける音楽が作りたかった」という鈴木にとって、それは天職というべき仕事だろう。「『緑の法則』のようなアニメの音楽を作って欲しい」というビクターの福田正夫プロデューサーからの誘いで、アニメ『ケロロ軍曹』の音楽を引き受けることになり、同アニメの音楽制作を約7年間務めた。


その後も福田との仕事が続き、『輪廻のラグランジェ』のサントラ、『幸腹グラフィティ』の挿入歌、『マクロスΔ』のサントラを同じメンバー(tomisiro=Yosuke Kakegawa と Naoyuki Honzawaによる音楽制作プロジェクト)と作っている。この2月には『劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ』が公開された。


昨2017年にはNHKBSプレミアムのドキュメンタリー『ぐるりニッポン灯台紀行』の音楽を手掛ける。鈴木も音楽を担当した『パンダフルライフ』の毛利匡監督の作品で、ロック(テクノ)印象派な作品だという。先日、3月1日、2日に再放送されたばかり。


ドラマーとしては、シネマの一色進のソロ、dip in the pool、tomisiroの2人が在籍しているバンド、languageなどを手伝い、“ファイナルファンタジー”のサントラにも関わっている。かしぶち哲郎のトリビュート・アルバム『かしぶち哲郎 トリビュート・アルバム~ハバロフスクを訪ねて』(2014年)、元Shi-Shonen~フェアチャイルドの戸田誠司のソロ『There She Goes』(2004年)にも参加。ステージで人前に立つのは「相変わらずちょっと苦手」らしいが、シネマの松尾のライブなどにはゲストとして出演している。また、全員カズーのバンド、三浦カズーを戸田誠司、矢口博康、福原まり達とやたら大人数で年に一度、遊びでやっているという。


ちなみにXTCのメンバーとは現在もたまに交流があるらしい。アンディ・パートリッジの娘のホリーとは「ある日ホリーちゃんが幽霊を見て、その幽霊が私の名前を言ったという不思議体験があったものでメールのやり取りをしていた」そうだ。XTCのドラムに誘われた件は「一緒に長いことイギリスで録音しているある日にアンディから出た言葉で、その日は鈴木慶一とやっちゃえば? いやいやレコード発売が大事~と家族会議が行われたことは事実です」とのこと。ただ、「ジョークかも?だから、あまり騒がないでくださいね」という。しかし、二人が“家族会議”したことは本当らしく、やはり、リアルなことではないだろうか。


なお、『スタジオ・ロマンチスト』、『緑の法則』、『ノーライフキング』は当時、所属していたミディの30周年を記念し、2014年にリリースされた「MIDI INC. 30th Anniversary Remaster Collection」の一環として、最新リマスタリング、初回生産限定紙ジャケ仕様、オリジナルライナーノート添付で発売されている。実験と遊び心溢れる鈴木さえ子の“科学と神秘”を体感いただきたい。


≪著者略歴≫

市川清師(いちかわ・きよし):『MUSIC STEADY』元編集長。日本のロック、ポップスに30年以上関わる。同編集長を退任後は、音楽のみならず、社会、政治、芸能、風俗、グラビアなど、幅広く活躍。共著、編集に音楽系では『日本ロック大系』(白夜書房)、『エンゼル・ウィズ・スカーフェイス 森山達也 from THE MODS』(JICC)、『MOSTLY MOTOHARU』(ストレンジデイズ)、『風のようにうたが流れていた 小田和正私的音楽史』(宝島社)、『佐野元春 SOUND&VISION 1980-2010』(ユーキャン)など。近年、ブログ「Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !」で、『MUSIC STEADY』を再現している。 

MOTION PICTURE CINEMA

I WISH IT COULD BE CHRISTMAS EVERYDAY(紙ジャケット仕様) Limited Edition鈴木さえ子 with TOMISIRO

スタジオロマンチスト(紙ジャケット仕様) Limited Edition 鈴木さえ子

緑の法則(紙ジャケット仕様) Limited Edition 鈴木さえ子 (アーティスト, 演奏)

ノーライフキング・ノ・ミュージック(紙ジャケット仕様) 鈴木さえ子

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