2018年09月06日
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2018年09月06日
本日、9月6日はエンターテイナー、ミュージシャン、音楽プロデューサーとして、マルチに活躍するROLLYこと、ローリー寺西こと、寺西一雄の誕生日。55歳になる。1963年9月6日、京都府京都市南区に生まれ、大阪府高槻市で育つ。ちなみに槇原敬之は従弟である。
90年「すかんち」のVo& Gtにてデビュー。96年にバンド解散後、ソロ活動を開始。NHKEテレ『ムジカ・ピッコリーノ』に出演中。楽曲提供、エアギター、弾き語り、シャンソン、ジャズ、ディズニー映画『モアナと伝説の海』では声優として出演するなど、ジャンルを横断した活躍を続ける唯一無二のグラムロッカー。天性のキャラと、独特のサービス精神で違和感と恍惚感を与え “地に足の着いた変態”を体現するお茶の間のロック・スターである――というのは以前、彼の所属事務所から貰ったプロフィール。八面六臂、縦横無尽、獅子奮迅の活躍ぶりだが、あまりにも多芸多才ゆえ、捉えどころがないと思われがち。むしろ、それらすべての活動がROLLYというアーティストを表現しているといっていいだろう。
そんなROLLYだが、「伝統の継承者」という顔を忘れてはいけない。まるで古典芸能や伝統美術、伝統工芸などを現代に伝える名匠・名工のようだが、彼はロックンロールの伝統と歴史を現在に引き継いでいる。その作品は剽窃ではなく、継承。安易なコピーやパロディーではなく、リスペクトを込めたパスティーシュだ。そもそもすかんちからして、彼が愛し、敬う古今東西のロックやポップスを寄せ集め、ごたまぜにして、すかんちの音楽というものを作ってきた。Tレックスやデビッド・ボウイ、クイーン、プロコル・ハルムなど、その影響がそのまま透けて見えたりするが、むしろ、そのまま再現することで、同時代にその痕跡を残していくという役割を担っているのだ。
伝承者ゆえ、過去の名曲のカヴァーやトリビュート・アルバムへの参加も数多い。いろんな企画に声を掛けられている。
カヴァーに関しては『ROLLY'S ROCK CIRCUS~70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその影と光~』(2015年7月8日)、『ROLLY’S ROCK THEATER ~70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその光と影~』(2016年8月10日)、そして集大成的な2枚組ライブ・アルバム『ROLLY COMES ALIVE!』(2017年4月5日)は必聴だろう。個々の収録曲は明記しないが、「オートマティック・パイロット」 (ウォッカ・コリンズ)、「可笑しな世界」(乱魔堂)、「香り」(外道)、「メイク・アップ」(フラワー・トラヴェリン・バンド)、「いとこの結婚式 」(頭脳警察)、「あやか市の動物園」(はっぴいえんど)、「ハレソラ 」(四人囃子)、「怒りをこめて」(あんぜんバンド)、アラベスク(ムーンダンサー)、「たどりついたらいつも雨ふり」(ザ・モップス)、「タイムマシンにおねがい 」(サディスティック・ミカ・バンド)、「雨あがりの夜空に」(RCサクセション)、「燃えろいい女 」(ツイスト)、「てぃーんず ぶるーす」(原田 真二)、「銀の指環」(チューリップ)…など、日本のロック史に残る名曲を硬軟合わせ、有名無名問わず、カヴァーしている。ちなみにアルバムのジャケット・デザインも『ROLLY'S ROCK CIRCUS~』がスコーピオンズの『復讐の蠍団 イン・トランス』、『ROLLY’S ROCK THEATER ~』がUFOの『UFOライブ Strangers in the Night』、『ROLLY COMES ALIVE!』がピーター・フランプトンの『フランプトン・カムズ・アライヴ! - Frampton Comes Alive!』と、洋楽の名盤にインスパイア―されている。
また、トリビュート・アルバムの参加に関しては『寺山修司トリビュート・失われたボールをもとめて』(1993年4月21日)、『はっぴいえんどに捧ぐ』(1993年9月9日)、『西城秀樹ROCKトリビュート KIDS WANNA ROCK !』(1997年4月23日)、『A Tribute to Mark Bolan & T.REX /BOOGIE WITH THE WIZARD』(1997年11 月21日)、『KISS TRIBUTE IN JAPAN』(1998年2月25日)、『Tribute to David Bowie』(2007年3月21日)、GLAM ROCK EASTER 30周年記念アルバム『It's young and gold and silvery old ~GLAM ROCK EASTER 30th ANNIVERSARY~』(2016年9月14日)…と、枚挙にいとまない。
実は、私自身、上記の寺山修司と、マーク・ボラン&Tレックスのトリビュート・アルバムにコーディネイターとして参加し、彼と仕事もしている(といっても、レコーディングの際に様子見というか、ご機嫌伺いに顔出しをしたくらいだが)。『寺山修司トリビュート~』では、寺山修司の「そら豆の詩」という短歌に彼が曲をつけ、弾けるような青春ロックンロールに仕上げている。また、『A Tribute to Mark Bolan & T.REX ~』ではTレックスの73年のヒット曲「ザ・グルーヴァ―」をカヴァー。マーク・ボラン愛に溢れる日本語詞で歌うイントロからスイートを彷彿させる華麗なコーラス、軍靴を連想させるSEまで、グラム・ロックの黄金時代の退廃と官能を現在に再現した。同アルバムでは、同曲だけでなく、吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)や本田恭章、PANTA(頭脳警察)、秋間経夫(Rama Amoeba、ex. マルコシアス・バンプ)、広石武彦などともに、アルバム参加メンバーによる“Tレックス・メドレー”(同メドレーのアレンジは元サディスティック・ミカ・バンド、サディスティックスの今井裕)も歌っている。同作は昨2017年9月13日、マーク・ボランの生誕70周年および没後40年を記念して、再発売された。
ROLLYはカヴァーやトリビュートだけでなく、レジェンドと言われるアーティストとも度々、共演している。元はっぴいえんどの鈴木茂、そして頭脳警察のPANTAとの共演は世代を超え、刺激しあい、過去の再現ではない、新たな世界を披露している。また、谷山浩子との共同作業である、谷山浩子& THE卍『暴虐のからくり人形楽団』(2013年9月11日)、谷山浩子『月に聞いた11の物語』(2017年9月13も日)も特筆すべきものだろう。これまでの谷山のイメージを覆す新たな世界を垣間見せる。
この秋以降もレジェンド達との共演が相次いで予定されている。現時点では情報解禁されていないものもあるので、HPやFBページ、ツイッターをご確認いただきたい。何故、彼がレジェンド達との共演を“勝ち得る”のか、そして“後継指名”(されているかは不明!)をされるのか――おそらく、そこにROLLYの限りない愛情と深い尊敬があるからだろう。私も彼にトリビュート・アルバムへの参加を依頼する際、ROLLYならラヴとリスペクト溢れる作品に仕上げてくれるという確信みたいなものがあった。
今回は敢えてロックンロールの「伝統の継承者」という側面から語ったが、当代随一の「エンターテイナー」という側面からも語ることができる。文字通り、マルチゆえ、ROLLYの魅力を並べたてることはいくらでもできる。ただ、それには字数が足らない。また、機会があれば、ROLLYを語ることにしよう。「大人のMusic Calendar」編集部が誕生日以外、発売日など、適当にこじつけてくれることを祈る。楽しみにお待ちいただきたい(笑)。
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