2015年08月12日
スポンサーリンク
2015年08月12日
1973年8月12日、横浜公園野外音楽堂で「サマー・ポップス・カーニバル」というコンサートが行なわれた。ここで、RCサクセションの生演奏を初めて観た。
当時、横浜公園の隅に野外音楽堂があった。関内駅から歩いてすぐ。中学2年生の夏休み、私は同級生たちと緑濃い公園の入り口をくぐった。念願のRCサクセションのコンサート、何よりも何よりも楽しみにしていた。
RC は、強い陽射しが少し和らいだころにやっと登場した。
下手に破廉ケンチ、真ん中が林小和生。
上手の清志郎がまずこう言った。
「みなさん、こんにちは。RCサクセションでございます」
これは当時、必ず使う最初の挨拶だった。ラジオやテレビで何回か聞いたことがある。丁寧過ぎる口調がちょっとファンを小馬鹿にしてるなぁって思っていた。
「今日はホントに暑くて……。特に2階の楽屋が、あの~、役にも立たない使用人のオンナの係員が、ちょうどメンスだということで。もう暑くてしょうがない、それに匂いが発散して、臭くてしょうがない……メンスだってよ、いやンなっちゃう」
えぇ?
お客さんの大半は女性ファン。なのにキャーキャー、ウケている。ステージ前まで寄って出て、写真をバチバチ撮っている。
リードギターの破廉ケンチは、前方の女性を指さして言った。
「あなた、来る時はちゃんとブラジャーをしてくるように。非常に目の毒でございますから」
指されたファンは、イヤ~ンと笑ってる。
えぇ?……RCってこんなことを言う人たちだったんだ。
「ヤングインパルス」で見て、かわいいルックスのRCはフォーク界の中でもアイドル寄りだと勝手に思っていた。実際に「ヤングインパルス」の客席は圧倒的に女性が多く、カメラに抜かれて映ったその顔は、ポ~ッ♡としていた。アイドルを見る顔と同じようだった。だけど、RCを聴きこむにつれてアイドルの要素がガラリと変わった。硬質な音、ギターがリズムを前へ前へと刻んで、妙なところからリードギターが目立って聴こえて、ベースラインはメロディに絡む。声と演奏が曲に自由に絡み出すのだ。なんだか男らしい。グイグイくる。そのころに聴いていたフォークとはぜんぜん違う、歌詞にはありきたりの言葉は無く、風景を作り出した。初めて聴く音楽だった。
この日のコンサートで演奏された曲の、『あそび』のぜんぜん優しくない真実。『ガラクタ』の自他両面への忠告。『弱い僕だから』では、君の胸に顔をうずめて泣きたいのさ、とてもこわいのさ、と、歌い、恋人を情婦と呼ぶ『ぼくの情婦』。僕はもう恋なんかしないのさ、お前ももうしちゃだめだよ、と愛犬を呼ぶ『ベルおいで』。雨の振る日は後悔みたい 時計の音と君の胸が重なった『雨の振る日』。ファンはみんな、ただの「可愛い」じゃないRCを知っていた。そこを好きになった。
前半に演奏した古井戸。いっしょに行ったチャボファンの同級生は、前髪をそろえてハチマキを巻いたチャボの姿に目をキラキラさせていた。ギターのネックにもハチマキさせている。
チャボのMCは笑いの渦を巻き起こす。
「今日は久しぶりに、僕たちフォー・リーブスとRCサクセションの共演がありまして……」
「実は先日、RCのドラムを担当しておりますキヨシロー君が、私の屋敷にやってまいりまして……。夜中の1時頃、『終電車を逃したから泊めてくれよ』と、電話があったのですが、3分でやってきました。隣のパン屋からかけてきたそうです。ビール2本を持って来たので、なかなか気のきく少年だと褒めてやりました。それから飲みまして、5時頃、一番電車で帰ることになっていたのですが、なかなか帰らないので、身体の調子でも悪いのかと聞いてみますと、『帰りの電車賃がないんだよ』と…」
爆笑の中、まだまだRCネタは続く。
「あいつら、よく泊まりに来ました。ボクは洗髪する時にはエメロン・シャンプーを使っているんですが、彼らが来た時に、風呂に入れよと、奴らは当時、乞食ですから。『うん、入るよ』とすぐ入ったのです。洗った髪がパッサパッサだったので、エメロン・シャンプーのスプレーリンスがあるからぶっかけておけよと言ったのです。ところがリンスは三日前に空になったので、植木に水をやるのに使おうとただの水を入れておいたのです。が、それをチュッチュ振りかけて、私の部屋に入ってきて『あぁ、しなやかになったよ』と言いました。あいつら、どうしようもないです」
夏休みが終わって二学期が始まった。
コンサートどうだった?と友だちに聞かれるたび、思い出すのはメンス……。
生理、とは違う言葉の響きが恥ずかしくてしかたがなかった。でも同時に、これもまた清志郎の魅力なんだと、気づかされた。そんなことMCで言う人は他に誰もいなかったから。
1982年4月5日、坂本龍一&忌野清志郎「い・け・な・いルージュマジック」がオリコンのシングルチャートの1位を獲得した。当時筆者はロンドンレコードの新入社員として宣伝を担当。売上を伸ばしていた写...
仲井戸“チャボ”麗市率いる豪華なメンバーでRCサクセションのあの名盤『ラプソディー』のトリビュートライブがあるというので十数年ぶりに川崎のCLUB TITTAへ行ってきた。対バンはKONTAと杏...
4月2日は忌野清志郎の誕生日。存命なら67歳になる。30年前、どんな気持ちで清志郎は37回目の誕生日を迎えていたのだろう。30年と1週間前、すなわち1988年3月25日にRCサクセションの19枚...
10月9日、67歳の誕生日に仲井戸麗市は「雨あがりの夜空に 2017」と題して日比谷野外音楽堂のステージに立つ。タイトルになっているRCサクセションの代表曲「雨あがりの夜空に」は、いつのまにか「...
音楽をやるために生まれてきたんだろうなと感じてしまうミュージシャンがごくまれにいる。エレファントカシマシの宮本浩次はそんな稀有なひとりだ。曲を作ること、歌を歌うこと、ステージでパフォーマンスする...
11月14日は「パチンコの日」だそうだ。<パチンコ>と聞いて真っ先に思い出すのが憂歌団だ。「パチンコ」を最初に聴いた時には、大袈裟じゃなく椅子から転げ落ちた。こんな衝撃的な体験は初めてだった。 ...
RCサクセションの「わかってもらえるさ」という曲が心に響く。この曲には誰かに向かってるいつもの強気な清志郎はない。感情の底から絞るようにシャウトする清志郎もない。でも、清志郎の声は上下左右にとて...
「RCサクセション「COVERS」8月6日発売予定/「ラヴ・ミー・テンダー」6月25日発売予定 上記の作品は素晴らしすぎて発売できません。 東芝EMI株式会社」と新聞広告が打たれたのは1988年...
6月30日は、「トランジスタの日」だそうだ。トランジスタ・ラジオは高度経済成長期に急速に普及し、1960年代に入ると深夜放送が始まり、70年代以降、若者をターゲットにした番組として充実していく。...
RCサクセションの3作目のアルバム『シングル・マン』がリリースされたのは1976年4月21日。実は2年も前に完成していたのだが日の目を見ていなかった。当時、マネジメントのゴタゴタに翻弄され事務所...
初期のRCサクセションは、アコースティック・ギター二本とウッドベース(忌野清志郎、林小和生、破廉ケンチ)という3人編成であった。清志郎の強いギター・カッティング、想定外のラインを動くウッドベース...
本日10月9日は仲井戸“CHABO”麗市の誕生日。65歳となる。古井戸でデビューしてから45年が経過した。古井戸の時代はステージ上で一言も発せず、黙々とギターの弾いていたチャボだが、今ではテレビ...
「ヤング720」にアマチュアの高校生であったRCサクセションが登場。後にデビュー・シングルのB面となる「どろだらけの海」
5月2日。忌野清志郎が逝ってから6年になる。時は瞬く間に過ぎ去り、世の中は驚く程変わった。 海の向こうでは戦争が止むどころか、ますますその戦火の渦は拡大している。東日本大震災の被災者達はいまだ家...