2015年12月18日

遠い昔、はるか彼方の銀河系で… ~ 『スター・ウォーズ』の音楽

執筆者:不破了三

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“A long time ago in a galaxy far, far away.... ”この言葉でスクリーンに導かれると、次の瞬間、画面を突き破るかのように現れ、ゆっくりと虚空の彼方に遠ざかる「STAR WARS」のタイトルロゴと、そこに重なる大ファンファーレ。言わずと知れた映画『スター・ウォーズ』シリーズのオープニングである。


このあまりにも有名なメインタイトル曲をはじめ、シリーズを通じて音楽を担当しているのは、作曲家・指揮者のジョン・ウィリアムズだ。1932年ニューヨーク生まれ。アメリカ空軍の音楽隊に所属し、除隊後、ジュリアード音楽院でピアノを学び、在学中からジャズピアニストとして活動を始めている。ヘンリー・マンシーニ作曲のテレビドラマ『ピーター・ガン』(1958)のサウンドトラックにピアニストとして参加するなど、映画・テレビのサウンドトラック制作の世界に入り、テレビシリーズ『宇宙家族ロビンソン』(1965)、『タイムトンネル』(1966)、映画『ポセイドン・アドベンチャー』(1972)、『タワーリング・インフェルノ』(1974)を経て、『ジョーズ』(1975)でアカデミー作曲賞を受賞。以後は『スター・ウォーズ』(1977)、『未知との遭遇』(1977)、『スーパーマン』(1978)、『E.T.』(1982)等の大ヒット作を連続して手掛け、名実ともにアメリカ映画音楽界を代表するサウンドトラック作家として認知されるに至っている。


1970年代、SF映画はチープな子ども向け作品、あるいはマニアックなB級映画との認識がまだまだ強かったが、『スター・ウォーズ』の登場はそうした評価を打ち破り、SF映画を最高のエンターテイメント、かつ、ヒット映画の常連の座に押し上げることに成功した。この大きな変革には、音楽も大きく貢献している。『スター・ウォーズ』に対してジョン・ウィリアムズが提供したスコアは、これみよがしにSF感を演出するカルトな電子音楽でも、流行のジャズ・ロック/クロスオーバーでもなく、見事なまでの管弦楽。当時、映画音楽の手法としては廃れつつあったクラシカルなアプローチを再構築してみせ、「映画音楽の本流」として復権させたのだ。結果、スペースオペラには、圧倒的迫力のシンフォニーサウンドが欠かせない、と言われるほど、『スター・ウォーズ』以前と以後では、SF映画の音楽は変わったのである。


しかし、ジョン・ウィリアムズはそもそも軍楽隊に籍を置き、ジャズピアニストとして活動していた経歴があるように、クラシック専門の作曲家ではなく、ジャズやポップスへの造詣も深い。やや余談になるが、ジョンの父のジョニー・ウィリアムズは、奇才と呼ばれた音楽家:レイモンド・スコットのクインテットでパーカッションを担当し、またジョンの息子であるジョセフ・ウィリアムズは、80年代を席巻したロックバンド「TOTO」のヴォーカリストを務めるなど、三代にわたる「血筋」としても驚きの多才さを誇る。あらゆる映画の「いいとこ取り」が注ぎ込まれた『スター・ウォーズ』は、いわば「SFの皮をかぶった娯楽映画の見本市のようなもの」と言われることがあるが、聖と俗、正統と前衛、芸術音楽と大衆音楽…… これらを清濁併せ呑むジョン・ウィリアムズもまた、『スター・ウォーズ』の音楽において、「クラシックの皮をかぶった娯楽音楽の見本市」を展開していたとは言えないだろうか。その懐の深さこそが、SF音楽に革新をもたらした真の原動力のように思えるのだが。


また、1977年の『スター・ウォーズ』米公開時には、メインタイトル曲をディスコ・アレンジしたミーコ(MECO)によるカヴァー曲「Star Wars Theme/Cantina Band」が登場。『スター・ウォーズ』のオリジナルサントラ盤がBillboardチャート最高10位だったのに対し、このカヴァー版は1位を獲得し、本家を凌ぐ大ヒットとなってしまった。直接にジョン・ウィリアムズの作品ではないが、こんなところにも、一見クラシック風ではあるが、ポップスとの親和性が隠されている的『スター・ウォーズ』音楽の魅力の正体が透けて見えてこないだろうか。


さらに日本公開時(1978)には、このMECOによるディスコ・アレンジ版に日本語歌詞を付けて再カヴァーしたイメージソング「スター・ウォーズのテーマ~カンテナ・バンド」(歌:子門真人)がポリドールから発売されている。しかしこれは、正式な許諾を得ずに制作されたという経緯から、権利元から抗議を受けることとなり、あえなく発売中止に……。


今では笑い話となっている、この子門真人版スター・ウォーズのエピソード。しかし、『スター・ウォーズ』第一作公開時の興奮とは、こんな勇足を平気でやらかしてしまうほどの激しい熱狂だったのではないだろうか。待望の新作で、「あの日の興奮」を今一度味わいたいと感じているオールドファンも多いはず。


さぁ、今日は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』封切り日。

では、劇場へと向かおう! “May the Force be with you. ”

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