2015年07月10日
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2015年07月10日
今日、7月10日はウルトラマンが初めてテレビに登場した日として「ウルトラマンの日」に制定されている。しかしTBSの番組『ウルトラマン』の第1話「ウルトラ作戦第一号」が放送されたのは1966年7月17日のこと。この一週間のズレはいったい……?
実は『ウルトラマン』には「第0話」ともいうべき番組が存在している。前番組『ウルトラQ』との間をつなぐ形で放送された、『ウルトラマン前夜祭~ウルトラマン誕生』がそれだ。杉並公会堂に子どもたちを迎え、舞台劇として行われたイベントを収録・放送したもので、レッドキングやバルタン星人など、後の人気怪獣とともにウルトラマンがお茶の間に初お目見えしている。この「舞台で動く等身大のウルトラマン」こそが、2015年の現在まで続く全ウルトラマン作品の、まさに「大河の最初の一滴」だったのだ。この番組が放送されたのが49年前(1966年)の今日、7月10日なのである。
もう一つ、前番組『ウルトラQ』と『ウルトラマン』とをつないだものが「音楽」だ。マーブル模様の上に描かれた文字がゆっくりと回って「ウルトラQ」の形になり、さらにそこを突き破って現れる「ウルトラマン~空想特撮シリーズ」の真っ赤なタイトル画面。誰もが覚えているこの強烈なアヴァンタイトルに流れている音楽は、『ウルトラQ』BGM「M-1T2」、および『ウルトラマン』BGM「タイトルT6」という2曲を合成したものである(この記号は、数十曲におよぶテレビ劇伴音楽を判別するために付けられる便宜上の曲名で、音響制作現場では俗に「Mナンバー」と呼ばれている)。こうした“つなぎ”ができるのも、両番組の音楽を同じ作曲家が担当しているからに他ならない。
1932年生まれの作曲家、宮内國郎。若い頃からジャズ・トランぺット奏者を目指すが、後に作曲家に転向。ニッポン放送やフジテレビでの作曲の仕事を経て、フジテレビのプロデューサーだった円谷皐氏(円谷英二氏の次男)との縁が生まれ、円谷プロ作品へ音楽を提供することになっていく。1964年にフジテレビで放映する予定であった円谷プロ初のテレビ特撮ドラマ『WOO』の音楽担当に決まっていたが、この企画は実現せずに終わる。続く『ウルトラQ』(1966年)では、それまでの日本の怪獣映画とも怪談映画とも大きく異なる、アメリカのミステリー系テレビ映画のような、やや前衛的な大人の雰囲気の音を取りそろえ、「テレビで怪獣が見られる時代」の幕開けを飾った。
そして『ウルトラマン』では、巨人型ヒーローが怪獣と格闘するというまったく新しい映像表現を音楽面から支える大役を任されることになった。その音楽録音は試行錯誤を行いながら3回にわたって行われ、計130曲以上の音楽が創造されている。さらに特殊な情景描写のために小規模な追加録音が数回行われているが、こちらはマスターテープが行方不明となっており、残念ながら詳細は判明していない。
子どもたちにもわかりやすい太く明快なメロディを、金管・木管が折り重なるように奏でていく……。元トランぺッターだけあって、管楽器の魅力を知り尽くした上で書かれているのが彼のサウンドの特徴だ。『ウルトラマン』で描かれた、ヒーロー対怪獣の戦いの痛快さ、怪獣たちの悲哀、そして昭和40年代前半の生き生きとした子どもたちの姿を演出したウルトラミュージックの始祖、宮内國郎の音楽世界。耳なじんだBGM曲を無意識に口ずさみながらウルトラマンごっこに興じていたあの瞬間、私たちの心の中には、いつも彼のメロディが流れていたはずである。
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