2016年04月08日

4月8日はキャンディーズのスーちゃん、田中好子の誕生日

執筆者:馬飼野元宏

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きょう4月8日はキャンディーズのスーちゃんこと田中好子の誕生日。彼女は1956年に東京足立区千住で生まれた。

デビュー曲「あなたに夢中」以来、初期キャンディーズのリード・ヴォーカルをとっていたのはスーだった。甘く柔らかな声質をもち、既に安定した歌唱力があり、もっともアイドル的なルックスであったことも含め、スーのセンターは初期キャンディーズのイメージを固めるのに最適な選択であったのだろう。年齢的には3人のなかで最も若く、甘えん坊の末っ子キャラも「食べてしまいたいほど可愛い女の子」というグループ名の由来を思わせるものがあった。


スーがリードをとっていた時期のキャンディーズのシングル曲は、4作目「なみだの季節」まで一貫して3声和音のハーモニー、そしてリードとコーラスの掛け合いで楽曲が作られ、スーの甘いメゾ・ソプラノが強調されていた。彼女のウェットなヴォーカルの質感は、穂口雄右を作曲で初起用した「なみだの季節」がもっともその魅力を表しているといえる。


センターがランに交替した「年下の男の子」以降、スーは遂にシングルA面ではリードをとることがなかった。また、それまでチャートの30~40位前後をウロウロしていたキャンディーズのセールスが、「年下の男の子」でトップ10入りしたことも、スーのファンとしては忸怩たるものがあっただろう。シュープリームスのような事態に陥ってもおかしくないのだが、スー自身、そして他の2人も「3人揃ってキャンディーズ」であることを解散まで全うした。後楽園球場のファイナル・カーニバルの舞台で、「年下の男の子」の歌唱前に「私たちにとってとても思い出深い曲となりました」と発言したのはスーである。


だが、この時期スーが好んでいたのは、もう少し違う傾向の音楽だったのではなかろうか。同じくファイナル・カーニバルのステージでの自作曲を歌うソロ・コーナーで、ヘルメットを片手に革ジャン姿で歌った「午前0時の湘南道路」は、サビがプレ歌謡ロック的なマイナー調のナンバーで、「私の彼を紹介します」は完全にロックンロールなのだ。声質的に似合っているかどうかよりも、この2曲が自作(作詞はスー自身、作曲は西慎嗣との共作)だと考えるに、この時期のスーちゃんはロック少女に開眼しつつあったのか? と思ってしまう。それ以前の『キャンディーズ1 1/2』に収録された自作曲「ミッドナイト・ハイウェイ」もドライブ・ミュージックだった。しっとりとしたメランコリックな曲調を好むラン、ソウル大好きなミキに比べあまり自身の音楽指向を前面に出していなかったスーだが、解散に向け次第に本来のアクティヴな“下町のお姉ちゃんキャラ”を出し始めていたのかもしれない。


スーがリードをとった3作目のシングル「危い土曜日」はホーンとパーカッションを強調したアップナンバーで、彼女たちのステージでは後半の盛り上がりに欠かせない定番曲となった。ステージ上のスーはキメの「ぐるぐる危い土曜日~」の後「ハッ!」と掛け声を入れることもお決まり。ファイナル・カーニバルのステージでもMMPの演奏力から生まれる“ノリ”に最も強く反応しているのがスーだった。それは「春一番」のイントロが始まる前、ハイテンションなスーの掛け声を聴けばよくわかる。MMPと組んでからのキャンディーズのステージで、もっとも溌剌と飛び跳ねていたのがスーだったのだ。


解散後は本名の田中好子を名乗り、今村昌平監督の『黒い雨』やドラマ『家なき子』の母親役、NHK朝の連続ドラマ『ちゅらさん』など女優として安定した活躍をみせていたが、歌に関しては84年1月にビクターからシングル「カボシャール」と斉藤ノブ率いるAKA-GUYをバックに、全編シティ・ポップに仕上げたアルバム『好子』を発表。89年には五木ひろしとのデュエット「二枚酒(居酒屋パートⅡ)をリリースしている。スーちゃんロック少女期は一瞬の幻のようであったが、その甘やかな声は健在であった。


2011年4月21日、55歳で逝去。長年の盟友であったランとミキが、家族同然の扱いを受け、息を引き取るまでの時間、病室でスーの名を呼び続けていたという。早世の悲しみは日本中を駆け巡ったが、ファンにとっては3人がいつまでも仲良く、最後まで「3人揃ってキャンディーズ」であったことが何よりの救いだった。あの明るい笑顔は永遠のものなのだ。


『なみだの季節』写真提供:ソニー・ミュージックダイレクト

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