2016年11月28日

本日11月28日は、ザ・テンプターズ~PYG~ウォッカ・コリンズのドラマーとして活躍した大口広司の誕生日。

執筆者:中村俊夫

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本日11月28日は、ザ・テンプターズ~PYG~ウォッカ・コリンズのドラマーとして活躍した他、服飾デザイナー、俳優、画家としても非凡な才能を発揮した大口広司の誕生日。テンプターズ~PYG時代の盟友・萩原健一と同じ1950年生まれだから、御存命ならば66歳となる。肝臓癌で亡くなったのが7年前。GS時代の事務所の先輩スパイダースもライバルだったタイガースの面々も全員健在で、喜寿や古希を迎える年齢になったことを考えると、なんとも早世と言わざるを得ない。晩年の出演ドラマや映画で見せていた特異なオーラを放つ存在感あふれる役者ぶり、画壇でも高く評価されていたという画家としての創作活動など、50代半ばから新たな一面を見せていただけに、もし健在ならば、さらなる円熟の境地へと才能に磨きをかけていったことだろうと悔やまれる。


大口広司は、1950年11月28日に埼玉県川口市で生まれた。実家の家業は精肉店。姉の影響でもの心ついた頃からアメリカン・ポップスに親しみ、小学生の時にベンチャーズに憧れドラマーを志す。早稲田実業中学2年の時に、当時まだレコード・デビュー前のザ・テンプターズの弟バンドで、大宮のダンスホール『大蔵』のハコバンだった「ジュニア・テンプターズ」に誘われメンバーとなり、本格的にドラムを始める。ちなみに同バンドには、現ゴダイゴの浅野孝已や後にモップスで活躍する三幸太朗が在籍していた。


1966年11月、テンプターズのドラマーが脱退。後任としてジュニアから当時16歳の大口が抜擢され、それを機に彼は高校を中退しプロの道を歩み始める。翌67年10月25日、テンプターズは「忘れ得ぬ君」でレコード・デビュー。以後ザ・タイガースと共にGSシーンの頂点に君臨し人気を二分した。70年12月にテンプターズ解散後は、スパイダース、タイガース、テンプターズの選抜メンバーで結成されたロック・バンド「PYG」に萩原健一と共に参加するが、1年足らずで脱退。その後、アラン・メリルと結成したウォッカ・コリンズで活動しながらも、セッション感覚で様々なバンドに参加(その中には結成間もないサディスティック・ミカ・バンドやプラスチックス、ショーケンのドンジャン・バンドなどもあった)。こうしたバンド活動は晩年まで続いた。


音楽活動と並行し、俳優としても『風の中のあいつ』(73年)、『前略おふくろ様』(75年)、『悪魔のようなあいつ』(75年)等に出演した他、晩年は『北の零年』(05年)、『日本沈没』(06年)、『ハブと拳骨』(08年)といった映画作品で渋い演技を披露。09年公開の『カフーを待ちわびて』が遺作となった。また、テンプターズ時代からファッションへの関心が強く、70年代から服飾デザイナーとしても活動。80年代には自分のブランド『yin&yang』『practice of silence』を立ち上げ、ファッション業界でも活躍した。実に多彩な才能の持ち主だったのである。


筆者は、86年にラジオのドキュメンタリー番組制作の際にインタビューして以来、親しくさせていただいたが、今でも忘れることのできないエピソードがひとつある。大口さんが肝臓癌で闘病中と関係者から聞いていた2008年秋頃、御本人から突然私の携帯電話に連絡が来た。内容は「久々にショーケンと電話で話したら懐かしくなり、永らく音信不通のヨッチン(松崎由治)とも話がしたいので、連絡先を知らないか?」ということだった。以前(99~00年頃)、筆者が松崎さんと何度かお会いしたことを覚えていてくれたみたいだ。残念ながら、その頃はもう松崎さんの所在先も知らなかったのでお役に立てなかったのだが、今思うと、あの時大口さんは自分の死期を感じ取っていたのかもしれない。最期にかつての仲間の声を聴きたかったのだろう。結局、松崎さんとの(声の)再会を果たせたのかどうかは知る由も無いが、その電話から3カ月ほど後の2009年1月25日に永眠。享年58歳だった…。

≪著者略歴≫

中村俊夫(なかむら・としお):1954年東京都生まれ。音楽企画制作者/音楽著述家。駒澤大学経営学部卒。音楽雑誌編集者、レコード・ディレクターを経て、90年代からGS、日本ロック、昭和歌謡等のCD復刻制作監修を多数手がける。共著に『みんなGSが好きだった』(主婦と生活社)、『ミカのチャンス・ミーティング』(宝島社)、『日本ロック大系』(白夜書房)、『歌謡曲だよ、人生は』(シンコー・ミュージック)など。

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