2016年11月29日

本日、11月29日はジョージ・ハリスンの命日。速いもので、もう15年になる

執筆者:藤本国彦

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今日(11月29日)はジョージ・ハリスンの命日。速いもので、もう15年になる。時間の長さだけで比較できるわけじゃないけれど、ほぼ、ビートルズが「ラヴ・ミー・ドゥ」でデビューしてから息子ダニーが生まれるまでだ(と言っても伝わらないかもしれませんが)。


ジョージの命日ではあるものの、まずはこの話題から触れないわけにはいかない。レオン・ラッセルが11月13日に74歳で亡くなった。ジョージとレオンと言えば、1971年のバングラデシュのコンサートでの共演が有名で、あの映画でレオン・ラッセルを知った日本の音楽ファンも多い。バンド紹介の時に座ったままはにかんでお辞儀をする仕草を見たジョージが“リオン、立ちなよ”と促しているのが印象的だった。


そのチャリティ・コンサートだけでなく、レオン・ラッセルはシングル「バングラ・デシュ」(71年)や「ユー」(75年)のほかに、アルバム『ジョージ・ハリスン帝国(EXTRA TEXTURE)』(75年)でもジョージを援助した。「哀しみのミッドナイト・ブルー(Tired Of Midnight Blue)」のゴスペル調のピアノは味わい深いし、ジョージがプロデュースしたバッドフィンガーのシングル「デイ・アフター・デイ」のピアノも忘れ難い。


レオン・ラッセルのことを書いていて、ふと思った。ジョージはピアノの味付けが好きなのかもしれないと。思えばビートルズ解散時期の“ゲット・バック・セッション”でビリー・プレストンを呼び寄せたのはジョージだった。そのセッションで新曲「レット・イット・ダウン」「ヒア・ミー・ロード」「イズント・イット・ア・ピティ」などを披露してもジョンとポールは関心を示さず、ジョージは嫌気がさして一時バンドを抜けてしまう。幸いにも(?)それらの新曲がビートルズ解散後の最初のソロ・アルバム『オール・シングス・マスト・パス』として結実したわけだが、以後、ジョージのソロ・アルバムには、名うてのキーボード奏者が顔を揃えている。


ビリー・プレストンとレオン・ラッセルは言うに及ばず、ゲイリー・ライト、ボビー・ウィットロック、ゲイリー・ブルッカー、ニッキー・ホプキンス、デヴィッド・フォスター、リチャード・ティー、ニール・ラーセン、スティーヴ・ウィンウッド、アル・クーパー、ジョン・ロードなどだ。


参加順に主だったところをざっと挙げてもこれだけの顔ぶれだが、ゲット・バック・セッションでの苦い経験が生きたのか、ジョージは、自分のアルバムに参加したミュージシャンへの協力も惜しまなかった。そうしたキーボード・プレイヤーだけでなく、ジョージが多くのミュージシャンに慕われていたのは、たとえばマーティン・スコセッシによる伝記映画『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』(2011年)に出てくる、地元のそれほど有名ではないミュージシャンとも分け隔てなく接し、長く交流が続いていたというエピソードからも伝わってくる。


そんなジョージの追悼コンサートは、一周忌となる2002年11月29日に、弟分のエリック・クラプトンの提唱により、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開催された。先に触れたゲット・バック・セッションで、ジョンとポールがジョージの曲で唯一関心を示したのは「フォー・ユー・ブルー」だった。それまでの“ジョージ節”とは一風変わった曲調だったので、ジョンとポールは受け入れたのだろう。そのセッションの音源を聴くと、ポールはイントロにピアノを加えたり、ジョンはスティール・ギターを試したり、あれこれアレンジにこだわっている(ちなみに『レット・イット・ビー』ではジョージのアコースティック・ギターとジョンのスティール・ギターで始まるが、『アンソロジー3』収録ヴァージョンはポールのピアノで始まる)。


ジョージの追悼コンサートでポールがまず歌ったのは「フォー・ユー・ブルー」だった(もう1曲は「オール・シングス・マスト・パス」)。ピアノ・ソロはゲイリー・ブルッカーが担当し、ポールはジョージに代わってアコースティック・ギターで披露した。「やっぱりそれを選んだか」とその時ジョージは微笑んだだろうか。

≪著者略歴≫

藤本国彦(ふじもと・くにひこ):CDジャーナル元編集長。手がけた書籍は『ロック・クロニクル』シリーズ、『ビートルズ・ストーリー』シリーズほか多数、最新刊は『GET BACK… NAKED』(12月15日刊行予定)。映画『ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK』の字幕監修(ピーター・ホンマ氏と共同)をはじめビートルズ関連作品の監修・編集・執筆も多数。

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