2018年10月30日

本日10月30日はジューシィ・フルーツのイリアの誕生日~誕生日に振り返る“私とイリア”

執筆者:イリア

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1980年6月、ジューシィ・フルーツは日本コロムビアよりデビューした。

高校生仲間で初めてバンドを組んだ時から、GIRLSという女の子バンド時代も、その後の近田春夫氏のバックバンドBEEFの時も、ずっとギターしか弾いていなかった私が、そこで突然歌うことになる。しかもセンターでリードヴォーカルという全くの想定外。とてもロックっぽくシャウトなんて出来ず、どちらかというと童謡声の私で良いのだろうか…と一抹の不安もよぎったが、持ち前の楽天的な性格でやってみることにした。


先ず、出来上がった数曲の歌入れから始めたのだが、その中の1曲は私にとって少しキーが高く声が出ず、前日のお風呂での鼻歌から思い付き、裏声で歌ってみた。プロデューサーの近田さんもいつもの軽いノリで「イイねぇ~!」ということでデビューシングルに決まる。それが「ジェニーはご機嫌ななめ」だった。すると…

レコード会社も近田春夫事務所も、勿論私たちも誰も想像もしていなかった、まさかのヒット。本当に世の中どこで何がどうなるか分からない。だから面白いのだけど。


それ以降は生活が一変、TV、ラジオ、雑誌などに取り上げられ忙しい毎日となり、全国を回った。当時はレコード業界も活発で、比較的間を空けず新作を発表し、解散までにシングル14枚、アルバム7枚を残す事が出来たのは財産となった。その殆どがアナログ盤の時代だった。

その間、私なりに一生懸命、楽しみながらやっていたつもりなのだが、今振り返るとどこか他人事のような、ジューシィ・フルーツのイリアという人が自分でありながら自分でないような、妙な感覚があった気がする。芸能人になりたいなんて微塵も思っていなかったのにテレビカメラの前に立つ。アイドルや演歌が中心の歌謡番組、トップ10番組もあまり見ていなかった自分がそこに居る。不思議だった。初めての歌でもあり、自分をボーカリストとも思えなかった。唯一変えなかったのは、いつもエレキギターを持ちリードギターを弾くというスタイル、そこに自分があった。


でも数多くの素晴らしい出会いもあり、戸惑いつつもとても充実した貴重な体験であったことには間違いない。解散コンサートを最後に、そんな眩い4年半が、私の胸の中に大切な思い出としてしまわれた。ギターもケースに入れられ、もう2度とバンドをやる事は無いと思っていた。

筈だった。


解散から25年経った2009年のこと。近田さんと同じくハルヲフォンメンバーだった恒田義見氏が、近くのライブハウスに出る事を知った。まだSNSとかではなく友人から偶然聞いた情報だった。すっかり音楽から遠ざかっていた私にとっては、そういう場に行くだけでもかなり勇気が要ったのだが、思い切って行ってみることにした。すると不思議なもので、あっという間に時間を飛び越え昔に戻ってしまった。皆温かく、その場に居た、後のジューシィメンバーになる二人(ジェフ、アキシロ)とも、ごく自然に接した。そしてその場でステージに呼ばれ、渡されたギターを何十年ぶりかで弾くことになる。それが2度目のスタートだった。私の中で止まっていた時計が動き始めた。


その後オリジナルメンバーのトシもドラムに戻り、当時の曲を演奏する。懐かしがってくれる人がいる。新曲を披露する。楽しんでくれる人がいる。観客も増えワンマンでも出来るようになると、次々と色々な事が起きていった。トレードマークだったピンクのギターも新しくなり再発売される。アナログだったアルバムもCD化された。シングルのAB面全てを集めた2枚組CDも発売され、そこにはライブでやっていた新曲も収録された。

こうして地道に頑張っていると少しずつ周りも動いていく事がとても有難く嬉しく、他人事のように感じていた昔と違い、実感とやり甲斐を持った。来てくれる人がいるのなら、と真剣に練習も重ね作曲もした。


素晴らしいのが、そのライブに足を運んでくれる人達のパワー。ジューシィ・フルーツをリアルタイムで知る人は、殆ど人生後半に差し掛かっている筈。そんな彼らが熱く盛り上がり、時にはスタンディングも厭わない。甘酸っぱい若い頃の想いが蘇る。私もそうだが、幾つになっても皆何かに夢中になって、ときめいていたいのだ。観客の声援と笑顔に自然と演奏する側も元気をもらえた。


そんな後押しのお陰でライブ活動も続き、2018年2月14日、何と34年ぶりのニューアルバム『BITTERSWEET』をビクターよりリリースする事が出来た。これはもう奇跡と言っても良い。あえて昔の曲は一切入れない全曲書下ろしで、バラエティーに富んだ自信作だ。サポートメンバーだったタカも正式に加わり5人全員で力を出し切ったこのアルバムを、一人でも多くの方に聴いて頂けると幸せに思う。


最近やっと遅ればせながら、ボーカリストとしての自覚も少しは持てるようになってきた。私はこれからも自分の個性として、歌いながらずっとギターを持ち、間奏では前に出てリードギターを弾くというスタイルを守っていきたい。

このところ、絶対にジューシィ・フルーツを知らないであろう20代の若い人も、曲を気に入ってライブに来てくれている。ネット社会のお陰、嬉しいことだ。そういう人達にも私は、リードヴォーカル&リードギターという、今流行りの二刀流で頑張る姿を見せ続けていきたいと思う。それが私であり、イリアだから。

ジューシィ・フルーツ今後のライブ予定

●11/24(土) 四谷アウトブレイク w/ぶどう÷グレープ

●12/2(日)大阪京橋ベロニカ

●12/8(土)二子玉川Gemini theater

詳細はJuicy Fruits WEBで>>

 ジューシィ・フルーツ「ジェニーはご機嫌ななめ」ジャケット撮影協力:鈴木啓之

≪著者略歴≫

イリア(いりあ):1977年、ガールズバンドであるGIRLSのギタリストとしてデビュー。GIRLS脱退後、近田春夫のバックバンドであったBEEFを経て1980年ジューシィ・フルーツを結成、ファースト・シングル「ジェニーはご機嫌ななめ」がいきなり大ヒットする。ボーカル・リードギターとして1984年の解散まで7枚のアルバムをリリース。今年の2月にジューシィ・フルーツとして34年ぶりのニュー・アルバム『BITTERSWEET』を発表、現在も活動中。

BITTERSWEET CD Juicy Fruits 形式: CD ※「BITTERSWEET」は、オリジナルメンバーの柴矢俊彦がプロデュースを担当、生みの親でもある近田春夫書き下ろし楽曲「ラニーニャ 情熱のエルニーニョ」を含む全10曲を収録。他にも「恋はベンチシート」の続編「ハイブリッドその後」や、「ジェニーはご機嫌ななめ」を彷彿させるファルセットボイスが耳に残る「ラグジュアリーなおじさん」など、バラエティに富んだ一枚。

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