2019年01月08日
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2019年01月08日
本日1月8日は、“キング・オブ・ロックンロール”エルヴィス・プレスリーの誕生日。1935年生まれなので、生きていたら84歳ということになる。
特に彼の誕生日を意識したわけではないのだが、お正月を迎えて“さて年明け最初に何を聴こうかな”と考えるとき、僕は毎年、不思議とエルヴィス作品を聴くことが多い。その要因となっているのが大瀧詠一さんの存在で、大のエルヴィス・ファンだった大瀧氏は、アルバム『ナイアガラ・カレンダー』(77年)の“1月の歌”である「Rock’n’ Roll お年玉」で、エルヴィス・スタイルのロックンロールを基調にして、そこに“日本のお正月”を溶け込ませている。具体的には、映画『闇に響く声』(58年)のなかで歌われた「ディキシーランド・ロック」や、陸軍から除隊した60年にリリースされたシングルで、全米ナンバーワンに輝いた「スタック・オン・ユー(本命はお前だ)」などのナンバーからの影響が「Rock’n’ Roll お年玉」には見て取れ、“年のはじめ、事のはじめはエルヴィス”という概念が、どうやら僕のなかで揺るぎないものになってしまったようなのだが、それでなくても、ロックの長い歴史において、その第一歩を印したエルヴィスで一年をスタートさせるというのは、とても縁起が良いと思う。
さて、そんなエルヴィスが77年に亡くなるまでのキャリア後半、ラスヴェガスのショウやコンサートなど、ライヴ中心の活動を行なっていたことは有名だろう。彼がはじめてラスヴェガスでショウを開催したのは69年のことだったが、それ以前は人前で歌っていない期間が長く、映画の撮影とレコーディングが活動の主軸だった。そのエルヴィスが急にライヴ活動を行なったのには、ひとつの大きなきっかけがあった。それが、68年12月3日にNBC-TVで放映されたスペシャル番組『'68カムバック・スペシャル(原題:Singer Presents…ELVIS)』だった。
この番組でエルヴィスは、スタジオに招待されたファンに囲まれながら、黒のレザースーツでライヴ・パフォーマンスを披露。スコティ・ムーア(ギター)、D.J.フォンタナ(ドラムス)といった仲間とともにリラックスした雰囲気でのセッションを披露する“シットダウン・ショウ”と、空手を思わす派手なアクションがとてもカッコいい“スタンドアップ・ショウ”という2パターンのステージは、いずれもロックンローラーとしてのエルヴィスの本領を発揮したもので、50年代に多くの女性を失神させたセックス・シンボルとしての姿が十年ぶりによみがえったかのようであった。
思えば、68年当時のエルヴィスは、ビートルズなどの新興勢力に押されてレコード・セールスが落ち込み、毎回同じような内容の映画製作にも行き詰まっていた。そんな彼にとって『'68カムバック・スペシャル』は、“キング・オブ・ロックンロール”へと回帰する大きな出来事となり、これ以降、彼はライヴ活動中心に最期まで歌い続ける道を選ぶことになる。
そんな歴史的な番組が放映されてから、昨年(2018年)12月でちょうど50年が経ち、史上はじめて音源(5CD)と映像(2Blu-ray)をひとつのパッケージに収めた『'68カムバック・スペシャル~50周年記念盤』が年末にリリースされた。このボックスには、実際に放映された番組本編はもちろんのこと、番組制作に向けて行なわれたレコーディングやスタジオ撮影映像など、ボツになった膨大な音源および映像素材がアーカイブとして収められている。まさに『'68カムバック・スペシャル』の最終形といっていい決定版なのだ。
2019年の事はじめは、この『'68カムバック・スペシャル~50周年記念盤』の音と映像をじっくりと観賞しようと思う。それが僕自身への“Rock’n’ Roll お年玉”だ。
≪著者略歴≫
木村ユタカ(きむら・ゆたか):音楽ライター。レコード店のバイヤーを経てフリーに。オールディーズ・ポップスを中心に、音楽誌やCDのライナーに寄稿。著書に『ジャパニーズ・シティ・ポップ』『ナイアガラに愛をこめて』『俺たちの1000枚』など。ブログ「木村ユタカのOldies日和」もマイペース更新中。
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