2019年05月15日
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2019年05月15日
1967~1968年GSブーム期の副産物のひとつとも言えるのがGS映画。昭和の邦画娯楽作品の定番とも言える当世の人気歌手主演映画の一種で、当時の人気GSをメインにキャスティングした映画のことである。数あるGSの中でも主演映画が製作されるのは、やはり人気グループの特権であり、主演作の本数ではザ・スパイダースが断トツ1位の5本。次いでザ・タイガースとヴィレッジ・シンガーズが各3本、ザ・テンプターズとザ・ジャガーズが各1本といった具合いだ。何故か大御所ブルー・コメッツは1本も無い。主演作ではなくても、せめて大ヒット曲「ブルー・シャトウ」を題材にした歌謡映画のひとつぐらいあっても不思議ではないのだが…。
時系列順では、『ザ・スパイダースのゴーゴー向こう見ず作戦』(67年/日活)と『ザ・ スパイダースの大進撃』(68年/日活)の後に登場したのが、ザ・タイガースの主演第一作『世界はボクらを待っている』(68年/東宝)で、当時破竹の勢いで先輩グループのスパイダース、ブルー・コメッツの人気を凌駕しつつあったタイガースの出世ぶりそのままに、王者スパイダースに次いで主演映画製作の栄誉を手に入れたのである。
『世界はボクらを待っている』は、タイガースが所属する渡辺プロダクション社長・渡辺晋自らが製作を手掛け(五明忠人との共同製作)、監督にドリフターズの主演映画などを数多く手がけていた和田嘉訓、脚本に加山雄三の若大将シリーズでお馴染みの田波靖男を起用。地球にやって来たアンドロメダ星の王女シルビィとタイガースによる騒動をコミカルに描くストーリーで、ヒロインのシルビィ役にはスクール・メイツ出身で、植木等の主演映画『日本一の男の中の男』(67年/東宝)にほんの少しだけ顔を出していたこともある久美かおりが抜擢された。
クランク・インは68年2月10日。前月1月5日にリリースした「君だけに愛を」の爆発的なヒットで多忙を極めていた時期だけに、その殺人的スケジュールの合間をぬって、早朝・深夜の別なく、東宝撮影所をはじめ、 箱根芦ノ湖、千葉県白浜、東京田園調布などで撮影が続いた。メンバーたちの疲労は極限に達し、箱根の早朝ロケで撮影されたシーンでは、加橋かつみが居眠りしているのがハッキリと映し出されている。おそらく最終ラッシュで監督は気付いていたはずだが、録り直しの時間など無かったのだろう。
3月10日には、日本武道館に1万人のファンを集めて行なわれた新曲(「花の首飾り」「銀河のロマンス」) 発表会の模様が撮影され、その12日後に撮影は完了。4月10日に一般公開され、絶賛公開中の5月15日(51年前の今日)には、オリジナル・サウンドトラック盤『世界はボクらを待っている』がタイガースのセカンド・アルバムとしてリリースされた。
“オリジナル・サウンドトラック”と謳ってはいるが、実際に映画で使用された音源ではなく、本編に登場する曲目を既発のシングルと同テイク(ステレオ)で収録。新たに録音し直した映画のセリフや効果音を加えて構成された“疑似サントラ盤”である。ちなみにタイガース主演映画本編の音源だけで構成された『ザ・タイガース想い出の映画サントラのすべて』というカセットが82年にリリースされ、02年には『レア&モア・コレクションⅡ』のタイトルでCD化されている。こちらは正真正銘の映画用に録音されたサントラ音源なので、興味のある方にはぜひ一聴をお奨めする。
アルバム『世界はボクらを待っている』に、そんなマニア心をくすぐる映画ヴァージョンは1曲も収められず、初出音源はファンの嬌声をダビングした「君だけに愛を」、シングルのテイクとは異なり自動車の走行音をダビングした「真赤なジャケット」、波のSEをダビングした「銀河のロマンス」、スタジオ・ミュージシャンの演奏による「銀河のロマンス」のインスト・ヴァージョン、そして、唯一の新曲「イエロー・キャッツ」だけだった。
それでも、まだDVDなどなかった当時、ファンにとっては、いつでも映画の余韻に浸れる“機能”が魅力だったし、なによりもデビュー曲「僕のマリー」から新曲「銀河のロマンス」「花の首飾り」まで、全シングルの両面曲が収録されているベスト・アルバムでもあることが強力なセールス・ポイントであった。
さらに、タイガースの人気絶頂期のリリースだったこと、次作アルバム『ヒューマン・ルネッサンス』のリリースがこの年の暮だったこと、トッポ在籍時のタイガースの公式ベスト・アルバムが解散後の74年までリリースされなかったことなど複数の要因が重なって、アルバム『世界はボクらを待っている』は長期に亘り好セールスを続けるロングセラー作品となったのである。
ザ・タイガース『世界はボクらを待っている』『ザ・タイガース想い出の映画サントラのすべて』『レア&モア・コレクションⅡ』ジャケット撮影協力:中村俊夫
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