2017年11月28日
スポンサーリンク
2017年11月28日
本日11月28日は、原田知世の誕生日。あの「時をかける少女」が、今日で50歳を迎えるなんてと、時の流れに思いきり切なくなりそうだけど、現在の彼女を前にすると数字なんていかに無意味かを思い知らされる。特に、維持し続けた鮮度に年輪ゆえの輝きが加わり、相変わらずのエッジの強さに勇気を与えられるのがその音楽活動だ。というわけで今回は、活動初期を中心に知世の音楽ワールドについて振り返ってみたい。
1981年暮、トップアイドル女優の座を揺るぎないものとした薬師丸ひろ子が、大学受験準備を理由に突如活動一時停止を宣言。所属していた角川春樹事務所は、ポストひろ子的存在の確保に向けて、東宝と共同でオーディションを開催。グランプリを獲得した渡辺典子と共に、特別賞を受賞し晴れて角川に迎え入れられたのが、原田知世だった。ひろ子主演で大ヒットを記録した映画「セーラー服と機関銃」のテレビドラマ版リメイクに主演という大役を得て、翌年7月5日にテレビデビュー。後に長澤まさみ、橋本環奈へと引き継がれる歴代「星泉」の中では、最も地味な存在に感じられるが、この段階ですでに大器ぶりのかけらを覗かせていた。初めてのシングルは、同じく7月5日リリースされた同ドラマの主題歌「悲しいくらいほんとの話」である。作詞作曲編曲ともひろ子版「セーラー服と機関銃」と同じスタッフを起用し、相乗効果を狙ったが、チャートでは最高41位止まりで終わった。もっとも、のちの大ブレイク後改めて買ったファンも多く、チャート入りしていない期間にも相当売り上げが伸びたと思われる。続くシングル「ときめきのアクシデント」(こちらもひろ子のヒット作「ねらわれた学園」のドラマリメイクに使用された)に関しても同様で、こちらはチャート上では67位が最高順位となっている。
そんな知世の大ブレイク作品となったのが、言うまでもない、翌年4月リリースされた「時をかける少女」だ。無事玉川大学に入学したひろ子の復帰作「探偵物語」と併映された、彼女の初主演映画の同名テーマ曲として、松任谷由実により書き下ろされた作品である。当時、熱烈な知世ファンと化していた友達に誘われて、この二本立てを観に行ったが、ナイアガラファンとして「探偵物語」のレコードをすでに買っていた位の興味しかなかった筆者は、映画館を出る頃には完全に知世の虜となっていた。古風な尾道の町中に映えるナチュラルな乙女の姿。劇中歌として歌われた「愛のためいき」の不思議な存在感(これは大林宣彦監督自らの作曲によるもの)。全てが心に訴えかけた。この主題歌もオリコン2位に達する超大ヒットを記録し、トップアイドルの座はこれで揺るぎないものとなった。
とはいえ、そのアンニュイな歌声、ユーミンの楽曲などで、当時隆盛を極めていた「アイドルポップ主流」とは異質のカリスマ性を既に運命付けられていた彼女だが、まさかその34年後の現在に至るまでそれを維持することになるとは、誰が予想しただろうか。例えば同類と思われただろう安田成美が、極僅かの歌唱作品を残しながらもトレンディドラマの女王を経て、堅実な奥さんの座にあっさり収まってしまったのとは対照的に。これ以降の歌手活動の歩みを追ってみると、何となくその要因が見えてくる。
「時かけ」の1983年は、誕生日にリリースされた『バースデイ・アルバム』で幕を閉じる。既発のシングル曲の別ヴァージョンや限定リリースシングル曲に交じって、唯一収録された完全新曲「地下鉄のザジ」は、大貫妙子の手によるマジカルなガールポップの奇跡的一曲で、長きに渡ってそこでしか聴けないレア曲だった。翌年の誕生日にも同傾向の6曲入りミニアルバム『撫子純情』を発表しており、こちらは坂本龍一がプロデュースを担当した新曲中心の構成。最先端のデジタルサウンドに彩られた乙女の純情が眩しすぎる一枚である。
映画の方では「愛情物語」「天国にいちばん近い島」「早春物語」と大ヒット作に恵まれ、そのテーマ曲もコンスタントにヒットさせていた知世は、1987年に角川から独立。角川時代末期から、従来より冒険的な楽曲に挑み始め、アーティスティックな新生面を打ち出していた彼女だが、この「ソニー後期〜フォーライフ前期」の作品を見過ごすことは決してできない。12枚目のシングル「彼と彼女のソネット」では、フレンチ・ポップスのカヴァーに挑み、新たなファンを獲得することに成功。こうした冒険が身を結び、97年にはスウェディッシュ・ポップの大物、トーレ・ヨハンソンをプロデュースに迎え、一連の洋楽志向の強いアルバム制作へと連なる。小中学生の頃、知世を通じてユーミンや大貫妙子の世界に触れたと思われる層が、90年代渋谷系ムーヴメントの中核を成していたというのが筆者の見方なので、ここでトーレと知世が結びついたのはある意味必然だったのかもしれない。
2007年には、実は映画「天国にいちばん近い島」で早々と共演を果たしていた高橋幸宏らと新バンド "pupa" を結成。さらに若手インディーズ系アーティストとも積極的にコラボレーションを行い、決して後ろ向きにはならない音楽活動を現在も展開している。この記事を書くために、かつてのレコードを久々に引っ張り出してみたが、初期のレコードは軒並み眩しいばかりの透明盤でプレスされており、まさにこの無色透明な感覚こそが知世の魅力なんだなと、改めて思い知った次第だ。
「悲しいくらいほんとの話」「時をかける少女」撮影協力:鈴木啓之
「彼と彼女のソネット」写真提供:ソニー・ミュージックダイレクト
≪著者略歴≫
丸芽志悟 (まるめ・しご) : 不毛な青春時代〜レコード会社勤務を経て、ネットを拠点とする「好き者」として音楽啓蒙活動を開始。『アングラ・カーニバル』『60sビート・ガールズ・コレクション』(共にテイチク)等再発CDの共同監修、ライヴ及びDJイベントの主催をFine Vacation Company名義で手がける。近年は即興演奏を軸とした自由形態バンドRacco-1000を率い活動、フルートなどを担当。 5月3タイトルが発売された初監修コンピレーションアルバム『コロムビア・ガールズ伝説』の続編として、新たに2タイトルが10月25日発売された。
1978年(昭和53年)1月放映開始され、他のどのチャートにも増して「時代を映す鏡」としての役割を80年代にかけて果たし続けたTBS系音楽テレビ番組『ザ・ベストテン』。8月28日放映のそのチャー...
1981年8月27日、松田聖子の6枚目のシングル「白いパラソル」がTBSの歌番組『ザ・ベストテン』で1位を獲得した。この曲は、『ザ・ベストテン』史上、初の「初登場1位」を記録した作品である。レコ...
本日8月16日は“女子大生の日”である。日本で初めての女子大生が誕生したことに由来するという。女子大生と言えば、80年代に女子大生ブームを牽引した『オールナイトフジ』というフジテレビのバラエティ...
1983年7月4日、薬師丸ひろ子の2ndシングル「探偵物語/すこしだけやさしく」(両A面扱い)が、オリコンのシングル・ランキングで5週連続の1位を獲得した。デビュー曲「セーラー服と機関銃」の5週...
今日、6月6日は、高橋幸宏の誕生日だ。1952年、東京に生まれた。その存在が広く知られるようになったのは、サディスティック・ミカ・バンドのドラマーとしてだった。彼よりも技術に卓越した人はいるかも...
おニャン子の正式な「別働隊ユニット」としては3組目のデビューとなったのが、会員番号38・40・42の三人からなる
本日、4月9日はWink「Sexy Music」が1990年にオリコン・チャートの1位を獲得した日となる。Winkは、69年2月22日生まれの鈴木早智子と、70年2月23日生まれの相田翔子によっ...
映画『野性の証明』の主題歌「戦士の休息」で、30万枚以上のセールス(累計85万枚とも言われている)を記録し、オリコン最高位6位にランク。町田の歌手キャリアの中で最大のヒットとなった。伝説の男・町...
映画『人間の証明』(1977)の音楽は、『犬神家の一族』に続き、作曲家:大野雄二が担当している。1977年の大野雄二といえば、今なお新シリーズが作られ続けているテレビアニメ『ルパン三世(第2シリ...
1988年3月7日、南野陽子の11枚目のシングル「吐息でネット」がオリコン・シングル・チャートで1位を獲得した。87年1月リリースの「楽園のdoor」から数えて6作連続の1位であり、南野陽子にと...
日本映画の歴史を大きく変えた角川映画の記念すべき第1作『犬神家の一族』は1976年に公開され、全国的な大ヒットとなる。主題曲「愛のバラード」は、インストとしては異例の売り上げを示したのだが、その...
角川映画第一作『犬神家の一族』(1976年 10月公開)では、それまでに掴んでいた「テレビ/映画と原作本とのタイアップ販売」、「横溝正史を軸としたエンターテインメント路線」という糸口を、横溝作品...
角川映画第4作『野性の証明』(1978年10月公開)は、1978年度の邦画配給収入で第1位、『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』など並み居る強敵を含めた全体ランキングでも第4位となる大ヒットと...
本日2月15日は、堀ちえみの誕生日。1967年生まれなので51歳を迎える。堀ちえみは大阪府堺市の出身。1981年の第6回ホリプロタレントスカウトキャラバンに優勝し、翌82年3月21日、「潮風の少...
1977年10月8日に公開された角川映画『人間の証明』は、配給収入22億5000万円というこの年の興行ベストテン第2位にランクされる大ヒットを記録。本編の中で黒人青年役を演じたジョー山中が歌う主...
80年代の角川映画の地位を絶対的なものにしたのは「角川三人娘」の存在である。81年に『セーラー服と機関銃』が公開されると、主演の薬師丸ひろ子の人気は大ブレイクした。そしてポストひろこを作り出すべ...
オールスターキャストの大作とアイドル主演作を中心にヒットを連発し、日本映画の歴史を大きく変えた角川映画が誕生してから既に40年以上が経つ。映画と連動した角川文庫のキャンペーンは出版界にも好況を及...
今日11月6日は、白血病という難病との戦いの末38歳という短い生涯を閉じた本田美奈子.の命日である。1985年4月20日、東芝EMI(当時)から「殺意のバカンス」でアイドルとしてデビュー。もちろ...
80年代アイドルに興味のある方なら、「花の82年組」というフレーズをご存知であろう。有望な新人アイドルを多数輩出した1982年のシーンを象徴する言葉だが、その中にあって異色のアイドルとして登場し...
本日、8月22日は岡田有希子の誕生日。1967年生まれなので、存命であれば50歳を迎える。今なお高い人気を誇り、多くの人々に慕われ続けているアイドル。その最期を迎えた現場や墓所の慰霊碑には今も献...
本日8月18日は、いとうまい子53回目の誕生日。というより、アイドルとして活躍した時期の栄光にこだわるならば、「伊藤麻衣子」の生誕記念日である。デビューのきっかけは、82年に「ミスマガジンコンテ...
1984年8月2日、小泉今日子の10作目のシングル「迷宮のアンドローラ」がTBS『ザ・ベストテン』で1位を獲得した。「迷宮のアンドローラ」は同年6月21日の発売で、7月2日付のオリコン・チャート...
本日7月24日は、河合奈保子の誕生日…あれれっ、誕生日に奈保子の記事は前にもありましたよね? と言いつつ、コロムビアのアイドルコンピをまとめた責任上、もっともっと盛り上げろという使命を与えられ...
1981年の12月21日、薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」がオリコン・チャートの1位を獲得した。同年11月21日にキティ・レコードから発売された薬師丸のデビュー曲であり、彼女が主演した同名映画...
1985年12月2日、 小泉今日子15枚目(“あんみつ姫”名義を含む、12インチ盤は除く)のシングル「なんてったってアイドル」がオリコンチャートの1位となった。彼女の代名詞たる作品にして、80年...
1982年の9月9日、TBSの『ザ・ベストテン』で田原俊彦の10作目「NINJIN娘」が前週に引き続き1位を獲得した。オリコン・チャートでは2位どまりだったこの曲、同番組ではトータル3週連続で首...