2015年09月17日
スポンサーリンク
2015年09月17日
本日9月17日はちあきなおみの誕生日。今年で68歳となる。
ちあきなおみといえば、レコード大賞をとった「喝采」、リバイバルした「黄昏のビギン」、創唱した「矢切の渡し」(最初は「矢切りの渡し」と表記されていた)といった曲を思い浮かべる人が多いだろう。
中島みゆきの「ルージュ」、友川かずきの「夜へ急ぐ人」などシンガー・ソングライターの曲をディープにうたっていたのも忘れられない。
いや、しっとりとしたデビュー曲「雨に濡れた慕情」がいい。あるいはアイドル的な「四つのお願い」が好き。ポルトガルのファドをうたっているのも捨てがたい。
といった意見の持主もいそうだ。
彼女はそれくらい幅の広いレパートリーを持っている。
歌手のイメージがひとつに限定されがちな近年では、こうしたレパートリーの幅広さは、もしかしたら理解されにくいかもしれない。しかし歌謡曲では、一人の歌手がさまざまなタイプの歌をうたうことは、伝統的に珍しいことでなかった。歌手にそれだけ歌唱力が必要とされたということでもある。彼女はそうした歌謡曲のありかたを体現した最後の大歌手の一人だ。
ちあきなおみでぼくがいちばん驚いたのは「X+Y=LOVE」という曲を聞いたときだった。やや大人ぽい「雨に濡れた慕情」でデビューしたのに、これはアイドル路線にシフトした歌だった。ただし声にはティーンのアイドル歌手にはない大人ぽさがあった。そして彼女はその路線の「四つのお願い」で紅白歌合戦に初出場した。
それにしても「X+Y=LOVE」というタイトルからして変わっていた。「ABCの歌」のように文字を覚えるためにアルファベットが出て来る歌や、フランク永井の「西銀座駅前」のように「ABC XYZ」という歌詞が登場する歌はあったが、数式をタイトルにした歌謡曲はこの曲がはじめてだと思う。
それは俺の口癖だと主人公がうたう「西銀座駅前」のアルファベットは、第二次世界大戦後、連合軍に占領された時代に、銀座界隈の通りの名前がAアベニューやブロードウェイへと変更された歴史を思い起こさせるものだった。当時のファンは、米軍基地のクラブでジャズをうたっていたフランク永井の経歴も加味してその歌を聞いていたのである。
「X+Y=LOVE」の場合はどうか。歌詞では「X=あなた」「Y=わたし」という設定だ。なぜXとYなのか。常識的に考えると、数式の書き方の応用と思われる。確認したわけではないが、男女の性を分けるX染色とY染色体にかけた可能性もある。そう思うと、妙になまめかしさが増す。
いずれにせよ、こんなタイトルの曲は、他のアイドルにも、フォークやロック系の実験的な音楽にもなかった。すでに保守的な音楽と思われはじめていた歌謡曲の中から、こんな曲が出てきたのでよけい驚いたのだ。
この曲にかぎらず、ちあきなおみはどんなタイプの歌でも自分のものにして、というより、自分は歌の容れ物となって、歌そのものやその背後にあるものまで表現できる人だ。
たとえば、実体験にもとづく歌とプロモーションされた「喝采」が実はそうではなかったことは、知っている人もいると思うが、それでも実体験と信じている人のほうが多い。彼女の歌にそう思わせるなりきり感があるからだ。
友川かずきの「夜へ急ぐ人」をうたう彼女の迫力にしても、歌は作った人のものというシンガー・ソングライターにまつわる言説が、実はそうでもないと教えてくれる気がする。
カムバックしてほしい歌手の筆頭にあげたい人だ。
1983年12月19日、欧陽菲菲の「ラヴ・イズ・オーヴァー」がオリコン・シングル・チャートの1位を獲得した。彼女にとってはデビュー曲「雨の御堂筋」に続く1位作品であり、現在も愛される代表曲として...
1972年9月10日、ちあきなおみの13枚目のシングル「喝采」がリリースされた。この曲でちあきは同年の「第14回日本レコード大賞」を受賞する。発売からわずか3ヶ月での大賞受賞は、当時の最短記録で...
歌手としての実力はもとより、優しく穏やかな人柄にも定評がある演歌界の大スター・八代亜紀。1971年、21歳でレコードデビューするもすぐには売れず、ブレイクを果たしたのが、73年の「なみだ恋」であ...
1970年8月10日、ちあきなおみの5枚目のシングル「X+Y=LOVE」がリリースされた。オリコン・シングル・チャートで週間最高5位を記録、前作「四つのお願い」に続くヒットとなった。ある日、作詞...
待ち合わせの名所となっている有楽町マリオンの大きなからくり時計のすぐ下、植え込みのところに、「有楽町で逢いましょう」の歌碑があるのをご存知であろうか。歌唱者のフランク永井が亡くなった2008年に...
戸川昌子は、不世出のユニークな歌唱を行うシャンソン歌手であり、江戸川乱歩賞を受賞した小説家であり、そして6~70年代には一流の文学家サロン、2000年代には日本のサブカルをリードしたライヴカフェ...
本日8月9日は沢たまきの命日。歌手としては、岩谷時子&いずみたくコンビの作による「ベッドで煙草を吸わないで」を大ヒットさせた。女優としては、テレビドラマ『プレイガール』が代表作と言えるだろう。常...
今日5月17日は松尾和子の誕生日。存命であれば81歳になる。ひたすら夜のムードを追及し、魅力的なハスキー・ヴォイスが冴えわたる…大人向けムード歌謡の歌い手は数多かれど、松尾和子ほど徹底して独自の...
都はるみの代名詞といえば、マイクを遠ざけながら歌うあのスタイル、そして独特の鼓舞し回しで聴くものを堪能させる「うなり節」にある。すべてに濁点がつくようなあの歌い方は、浪曲的出自の濁声からの流れで...
本日1月8日は、シンガー・ソングライターの草分けであり、俳優、カード・マジシャン、実業家…と多才な活動を展開している荒木一郎の72回目の誕生日。 Text by中村俊夫
昭和の時代、戦後最大のスターといえば、女性は美空ひばり、そして男性は石原裕次郎という意見にまず異論はないであろう。
映画黄金時代の大スターは、みんな歌っていた。中でも日活映画は所属スターのレコード発売に熱心でリリース枚数も多く、それぞれ歌手としても大ヒットを飛ばしている。ことに小林旭の場合、映画と歌は不可分で...
2012年に『夜のアルバム』なるジャズ・アルバムをリリースしていて、世界75ヶ国で配信されるという実績を持つ八代亜紀が今度はブルース・アルバムに挑戦した。彼女の歌う「The Thrill Is ...
今から46年前の1969年9月29日、青江三奈の「池袋の夜」がオリコン・チャートの1位を獲得した。「池袋の夜」は6週連続で1位を記録し、彼女の最大のヒット曲となった。 text by 馬飼野元宏
「夏の日の想い出」のヒットで知られる日野てる子。丸顔で可愛らしい顔立ちの彼女は、女性ハワイアン歌手の新星であり、アイドル的な存在であった。サザンオールスターズやチューブが夏の風物詩的なアーティス...
台北のレストラン・シアター「中央酒店」で歌って人気を博していた欧陽菲菲を見出したのは、坂本九をはじめ多くのスター歌手を発掘・育成してきた、東芝の草野浩二ディレクターであった。氏が一連のベンチャー...
本日5月15日は美輪明宏の誕生日。1935年生まれ、80歳となる。text by 北中正和