2016年02月11日

1985年2月11日、松田聖子「天使のウィンク」がオリコンのシングル・チャート1位を獲得

執筆者:榊ひろと

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「天使のウィンク」は1985年1月30日に発売された通算20枚目のシングル。松田聖子のキャリアにおいてひとつの転換点を象徴する作品である。まず2年目の「白いパラソル」以降アルバムを含むほぼすべての楽曲で作詞を手掛け実質的なプロデューサーを務めてきた松本隆の手を離れて、シングルでは初めて(アルバムでの作曲はあり)尾崎亜美の作品提供を受けた。そしてプライベートでは最初の結婚に向かっていた時期にもあたる。


その後アルバムのリリースはあったものの、続いて産休に入ったこともあって、本格的な歌手活動再開は2年後まで待たされることとなる。あくまでも“休業”であり結婚=引退という可能性は微塵も示されなかったあたりが、彼女が新世代アイドルのパイオニアとして位置づけられるひとつの所以でもあろう。


しかしながらこの2年間にライヴァルの中森明菜は「ミ・アモーレ」「DESIRE」でレコード大賞を連続受賞、また85年4月からはテレビ番組『夕やけニャンニャン』『スケバン刑事』がスタートするなど、歌謡界/アイドル界にとっても激動の時代が到来していたのである。ちなみにこの年は阪神タイガースの21年ぶり日本一、バブル景気の契機となったプラザ合意、アークヒルズの開業と『ニュースステーション』放映開始などでも記憶されている。


一方の松本隆は1985年度の新人として斉藤由貴、芳本美代子、中山美穂を担当し、聖子で得たアイドル楽曲のノウハウを自在に活用して八面六臂の活躍を続ける。翌86年のアルバム『SUPREME』から松田聖子の作詞に復帰して約3年間関わるが、起用される作曲家陣の顔ぶれはレベッカの土橋安騎夫、TMネットワークの小室哲哉、大江千里(ソニー系のアーティストばかりだが)など次第に世代交替していった。


さて「天使のウィンク」を作詞・作曲(編曲は大村雅朗)した尾崎亜美は、シンガー・ソングライターとしてのデビューから間もない1977年に南沙織の「春の予感」を手掛けたのを皮切りに、数多くの女性アイドルに作品を提供してきた。それらの名曲はそれこそ枚挙にいとまがないほどだが、その大半の楽曲で作詞から編曲まで含めてトータルにプロデュースしているところが尾崎亜美の特徴でもある。またかなりの数の作品を自らのレパートリーとしてセルフカヴァーしていることでも知られているが、この「天使のウィンク」は杏里に提供した「オリビアを聴きながら」と並んで、提供曲/自身のレパートリーの両面において彼女の決定打/代表作と言えるナンバーに間違いないところだろう。 

『天使のウィンク』写真提供:ソニー・ミュージックダイレクト

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