2017年03月02日
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2017年03月02日
1954年(昭和29年)の本日3月2日は、70年代のスーパーアイドル第1号、吉沢京子の誕生日。過去風吹ジュンと小山ルミについて書かせて頂いた筆者に、京子ちゃんの記事が回ってくるのは、運命的だったのかもということで。この3人には、テイチクのユニオンレーベル所属という共通項があり、80年代の廃盤ブーム以降、抱き合わせにされたコンピアルバムがリリースされたり(時には五十嵐じゅんも一緒にされて)、都合よくセットにされて語られる機会が多かった。其々の個性は全然違うというのに。
69年6月放映開始されたTBSのスポ根ドラマ「柔道一直線」で、桜木健一演じる主人公を一途に思うヒロイン役を演じ大ブレイク。その勢いに乗り、翌年3月「幸せってなに?」でレコードデビュー。年末には唯一のアルバム『京子ちゃんの魅力 幸せってなに?』がリリースされている。彼女を見出した上条英男氏が寄せたそのアルバムのライナーノーツによると、66年末にCMの仕事で小山ルミと一緒に彼女を紹介されたのが全ての始まりとのこと。そう、あの伝説の「スナッキーガールズ」誕生の時である。残る一人が風吹ジュンであるという説が長年浸透していたのは、顔が似ていただけではなく、前述した抱き合わせイメージがあまりにも強すぎたせいか。実際は当時13歳でモデルとして活動していた羽太幸得子という女の子だったのだが。
もう一人、そのアルバムにライナーを寄せていたのが、ザ・タイガース解散を間近に控えた森本太郎である。超人気GSメンバーであったにもかかわらず、自ら「芸能人にしてはあまり華やかさがない」とその文章の中で認めていた彼が、京子ちゃんの中に自分との共通項を見出したのは言うまでもないだろう。デビュー曲「幸せってなに?」を皮切りに、都合6曲を彼女に提供することになる。既に「青い鳥」で実績を上げていたものの、GSメンバーの女性歌手に対する曲提供は、寺内タケシを例外中の例外としても、井上忠夫が書き下ろした江美早苗の「花の誘惑」(69年)くらいしか前例がなく、GSブーム後のクリエイティヴ面での発展の先鞭となるものだった。
シングルのジャケットは従来の折りたたみスタイルに工夫を加えた斬新なデザインで、アイドルとしての魅力を存分にアピール。従来の歌謡曲には滅多に聴かれない「守ってあげたくなる歌唱」が、「青い鳥」に通じるメロディに映えまくった「幸せってなに?」は、オリコンに17週ランクイン、43位に達するヒットとなるが、ブロマイド売り上げでは同じくこの時期に大ブレイクした岡崎友紀と熾烈にトップ争いを繰り広げていたことを思うと、この数字はやはり意外。当時の歌謡界は、未だアイドルに対して冷酷だったとしか言えない。
続いてリリースされた2枚のシングルも低調に終わり、それに続くアルバムは10曲中2曲がナレーション、既発シングル6曲と新曲2曲という構成(しかも3分越えのトラックが一曲もないという、ビーチ・ボーイズのアルバム並みの短さ!)で、物足りなさはあるが、幼少期の写真や撮影・レコーディング風景もジャケットに満載という貴重な逸品。このアルバムでしか聴けない、弾厚作(加山雄三)の提供曲「幸せは誰に来るの」の無常感が胸に突き刺さる。ナレーションはアイドルというよりお嬢様女優そのものという感じで微笑ましい。
歌手活動はさらにシングル4枚を74年に至るまで残し、その後はあどけなさを残しながらも大人の女優へと地道に駒を進めていく。93年「スナッキーで踊ろう」が闇から甦った頃、NHK「ナイトジャーナル」に登場し、恥ずかしがりながら当時のステップを再び演じてみせた彼女(思えばまだ39歳だったのか!)には筆者も感動を禁じ得なかった。一度アイドルを演じてしまえば、余程精神的な傷を負わない限り、いかなる過去の闇も栄光になり得る。最近もブログでデビュー曲を久々に歌ったと告白し、元気に活動を続ける吉沢京子は、まさにアイドルの鑑。青山ミチのコラムを「長生きしてほしい」と結んだ翌日に訃報が伝えられ、凹んでしまった筆者であるけれど、この言葉はみんなの胸に刻まれてほしいと切実に願います。
≪著者略歴≫
丸芽志悟 (まるめ・しご) : 不毛な青春時代〜レコード会社勤務を経て、ネットを拠点とする「好き者」として音楽啓蒙活動を開始。『アングラ・カーニバル』『60sビート・ガールズ・コレクション』(共にテイチク)等再発CDの共同監修、ライヴ及びDJイベントの主催をFine Vacation Company名義で手がける。近年は即興演奏を軸とした自由形態バンドRacco-1000を率い活動、フルートなどを担当。
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