2016年01月16日
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2016年01月16日
今回から5枚目のオリジナル・アルバム『今は人生を語らず』に入ります。1974年12月10日リリース。オリコン・チャートでは週間ではもちろん1位、年間(1975年度)でも4位になった。前アルバム『伽草子』から1年半ぶりのアルバム。『元気です』や夏を感じる『伽草子』を聴きまくっていた自分にとって、『今はまだ人生を語らず』は心待ちのアルバムだった印象があります。
拓郎さんが『今はまだ人生を語らず』と言っている頃、ユーミンはアルバム・タイトルに『コバルトアワー』と付けた。時代が移り変わってゆく何かを、僕らは拓郎さんに少し遅れて感じていたに違いない。僕らの好きな拓郎さんの、僕らと同化してくれていたと思っていた拓郎さんの、今考えるに最後と言ってもいい、貴重な思い出アルバムがこの『今はまだ人生を語らず』だったのかもしれません。
1960年代後半から僕たちの青春のテーマ「気まま」や「おいら」や「旅」「人生」はすべて拓郎さんが作り上げたイメージの詩。荒井由実さんが新しく投げかけた『コバルトアワー』やシングル・ヒットした「翳りゆく部屋」で世界観が全く異なってしまいました。山手のお嬢さん的に歌うそれは、わしらのフォーク村とはかけ離れていた。でも拓郎さんは『今はまだ人生を語らず』と語ってくれたんです。
僕にとって、いや初期からファンだった者すべての最後の拠り所がこのアルバムだったのではないでしょうか。
ニューミュージックというジャンルが台頭し始め、オシャレな歌が街中にはびこったが、不思議と拓郎さんはニューミュージックとは感じなかった。ジャンルはやはり「拓郎節」だったからです。時代を先取りしていく才に長けた拓郎さんのことだから、次を見据えてこのアルバムを作ったのだと今は感じる。「襟裳岬」なんてその代表的な作品ではないでしょうか。
このアルバムを聴きながらも、僕らは着実に大人の階段を上り始め、でもまだ拓郎さんに牽引して欲しくて堪らない。でも、このアルバムで歌われる詩(うた)は僕を含めた過去のイメージにすがり付こうとするファンたちへの決別。その代りに「拓郎セカンド」という第2期ファンが出没し始めたのも事実。僕らより7歳から10歳若い世代が出てきました。僕らの違和感が新しい夜明けだったのです。
ニューミュージックはシャウトしない。でも、そんな端境期にこのアルバムを聴き込んだからこそ、今の自分はあるのだと思います。京都から東京に出てきて、美大を目指した僕。僕は拓郎さんではなく自分に成らなきゃならない時を遂に迎えたのです。それはこのアルバムを聴き込んだおかげなんだと思います。
この頃、僕の家庭教師が芸大生に代わりました。その家庭教師は僕にたばこや酒も家庭教師してくれた。おかげで「ペニーレインでバーボン」はより身近な曲になった。上京してまず原宿ペニーレインに行って、当然バーボンを頼んだ(笑)。更に僕は拓郎さんの後追いでアパートも聖地「高円寺」に移りました。
今の若い子たちは、デートもしないし、お酒も飲まないと言うけれど、それはニューミュージック以降のことなのかな。少なくとも拓郎さんのこのアルバムを現役で聴いていれば、酒好き・女好きになるのは当然ですよね。
そういう意味ではこの『今はまだ人生を語らず』までが本当に熱かった第一期からの拓郎ファンの季節だったのではないでしょうか。
(この項つづく)。
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