2019年02月06日
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2019年02月06日
筆者が小学生高学年の時にブレイクを果たしたアリスというグループは、いわば雲の上の存在であった。子供心にこういう人たちをスターと呼ぶのだと思っていたし、フォークというよりどこかロック的なスピリッツを感じていたのは何故なんだろうか。そんな彼らも、今年で70歳を迎えるのかと思うと、非常に感慨深いものがある。昨今、昭和のスターたちの訃報が届く中、3人ともこの世に存在していることを大変嬉しく思う。
本日誕生日の矢沢透は「キンちゃん」という愛称で親しまれているが、落語家の柳家金語楼に似ていることからそう呼ばれているらしい。アリスと言えば、谷村新司(チンペイ)と堀内孝雄(ベーヤン)を思い浮かべると思うが、数あるアルバムの中に矢沢透作品が30曲以上存在しているという事をみなさんはご存知だったろうか? 当たり前だが3人が揃わなければ「アリス」ではないのだ。
アリスの唯一の1位獲得曲は「チャンピオン」で当時の子供世代も熱狂したあの曲である。この曲は1978年に発売された14枚目のシングルで、彼らが掴んだ初の1位だ。ボクサーをテーマにしたこの曲は、当時ミドル級で活躍した「カシアス内藤」がモデルになったと言われているが、当時の子供たちはアニメ『あしたのジョー』の矢吹丈と重ね合わせていたのではなかっただろうか。当時は漫画も繰り返し読んでいたし、再放送でたびたび放送されていたような記憶がある。何よりボクシングの試合は頻繁にゴールデンタイムでテレビ中継されていたので、今よりも身近に感じられたスポーツだったのだ。ちなみに曲の中の「you're king of kings」というフレーズは、コンサートではベーヤンこと堀内孝雄の担当だったと記憶しているが、レコードの中の声はこの曲のアレンジャーでもあり、ギタリストの石川鷹彦の声なのだそう。カリスマギタリストはルックスに負けないほど声も渋かったのである(笑)。
アリスはこれまでに6曲のシングルをTOP10に送り込んでいるが、その中でも印象的な1曲に「秋止符 」がある。この曲は元々アリスのアルバム『ALICE VII』に収録された曲だったが、横山みゆきのデビューシングルとして発売され、約18万枚のヒットになった。その3か月後には、アリスもシングルカットし50万枚以上のヒットになったのだが、社会現象になったドラマ『3年B組金八先生』の「十五歳の母」のシーンでたびたび流れたあの曲である。15歳で母になる浅井雪乃(杉田かおる)の心情とオーバーラップしたこの曲は、涙失くしては聴けないバラードだ。
1972年のデビュー以来、3枚のオリジナルアルバムと1枚のライブアルバムで1位を獲得し栄光を掴んだアリスだが、メンバー間の価値観の違いから1981年の活動を持って活動休止をしている。その後も5度に亘る再結成をしているが、やはり筆者にとってのアリスは70年代のアリスの印象が非常に濃い。これを書いている今も改めてアルバムを聴いているのだが、アリスの曲に胸を躍らせた子供の頃の自分に戻ったような感覚になれるから、音楽の力は偉大だなと改めて感じている。
アリス「チャンピオン」「秋止符」横山みゆき「秋止符」(2タイプ)ジャケット撮影協力:鈴木啓之
≪著者略歴≫
長井英治(ながい・ひではる):女性シンガー・ングライター専門家、音楽ライター、ラジオパーソナリティ、コメンテーター。1990年~2006年まで大手レコード・ショップにてJ-POPのバイヤーとして勤務。その後はモバイルの音楽サイトや音楽SNSの運営に関わりながら、CDの監修などに関わる。ラジオ「ラジオ歌謡選抜」(2011年~)、「ファムラジオ」(2014年~)、テレビ「QVC(2014年~)」に出演中。
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