2016年12月27日
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2016年12月27日
「アカシアの雨がやむとき」や「コーヒー・ルンバ」のヒットで知られる歌手・西田佐知子は、1960年代に活躍した後、71年に俳優の関口宏と結婚。その後は仕事をセーブし、80年代に入ると引退して主婦業に専念することとなる。もう公の場に姿を見せなくなって久しいにも拘らず、忘れ去られることなく名前をしばしば耳にするのは、やはり歌声の素晴らしさと独特の存在感からであろう。そんな彼女が歌い、60年代後半に大きなヒットとなった「涙のかわくまで」が発売されたのは、67年12月27日のことだった。ヒット曲を連発し歌手として絶好調だった時代の代表作と呼ぶべき名曲が誕生してから、実に49年もの月日が流れたことになる。
デビューは1956年9月に遡る。当時はまだ“西田佐智子”の表記で、日本マーキュリーから「伊那の恋唄」という日本調の曲で歌手活動が始まった。藤島桓夫や松山恵子らが所属していたレコード会社であったが、なかなかヒットには恵まれず、58年には日本コロムビアへ移籍。浪花けい子の名で何曲かを吹き込むも、やはりヒット曲を出すには至らなかった。そして翌年、日本グラモフォン(=ポリドール、現在のユニバーサル)へ移籍して再び西田佐智子名義に戻り「夜が切ない」で再スタートを切ったところ、60年4月の新譜として出された「アカシアの雨がやむとき」がヒットに至り、いよいよスターへの仲間入りを果たす。この年から名前も“西田佐知子”となるが、「アカシアの雨がやむとき」の初期のジャケットではまだ西田佐智子表記である。曲がヒットして新たなデザインのジャケットが刷られた際には西田佐知子となっていた。
60年安保の世相が反映された時代歌として、歌謡史における重要な作品となった「アカシアの雨がやむとき」の暗いイメージを踏襲して、その後も「死ぬまで一緒に」「灯りを消して」といった抑えめのトーンの作品を歌う一方で、「月影のキューバ」「日曜はいやよ」など洋楽ポップスのカヴァーも発表し、コニー・フランシスの「ボーイ・ハント」も歌っている。その中で、「欲望のブルース」のカップリングとして61年8月に発売された「コーヒー・ルンバ」が大ヒットに。ウーゴ・ブランコの演奏盤で世界的にヒットした作品のカヴァーは少し遅れてキングレコードのザ・ピーナッツも参戦したが、今でも広く知られているのは西田佐知子盤である。その後は本来のオリジナル路線に戻って、63年には「エリカの花散る時」「故郷のように」、64年「東京ブルース」、65年「赤坂の夜は更けて」などコンスタントにヒットを連ねてゆく。
タイトルに“ブルース”と付く曲も多く、しっとりとした大人の歌謡曲が続いていた中で、66年10月に臨発扱いで出された「信じていたい」はそれまでとは少し傾向の異なる曲であった。ジャズ育ちの作曲家、宮川泰が手がけた、ポップス・センス溢れる作品をヒットさせて新境地を開拓した彼女は、この年の暮れ、連続6回目の出場となったNHK紅白歌合戦でも「信じていたい」を披露して喝采を浴びている。そしてそれから一年余の後、再び宮川が曲を提供した「涙のかわくまで」は67年12月リリース。これも臨発扱いであった。「信じていたい」と同じく塚田茂の作詞で、前作よりさらにリズミカルな親しみやすい曲調でやはり紅白歌合戦の歌唱曲となる。森岡賢一郎による絶妙なアレンジも功を奏した。さらに翌68年には3作めとなる宮川作品「あの人に逢ったら」が、岩谷時子の作詞で発売され、またもや紅白歌合戦で歌われている。これは宮川作品への絶大なる信頼を物語っており、同時に常に新しい分野に挑戦してきた歌手・西田佐知子の技量がいかに優れていたかが窺われる。
69年に歌われた「くれないホテル」「星のナイト・クラブ」はいずれも橋本淳×筒美京平コンビによるスマッシュ・ヒットで、後になってから再評価の声も高い。70年にはかつて「赤坂の夜は更けて」のカッブリングだった「女の意地」を再ヒットさせるなど、活躍の場はまだまだあったと思われるだけに、71年の結婚を機に第一線から退いてしまったのが惜しまれる。が、その後79年にシングル発売された作品で忘れられない一曲がある。「初めての街で」のタイトルでピンとくる方も少なくないだろう。75年から使われていた菊正宗酒造のCMソングとしてお馴染みのメロディがレコード化されたものだった。作詞・作曲が「上を向いて歩こう」の永六輔と中村八大のコンビであったことはあまり知られていないかもしれない。
≪著者略歴≫
鈴木啓之 (すずき・ひろゆき):アーカイヴァー。テレビ番組制作会社を経て、ライター&プロデュース業。主に昭和の音楽、テレビ、映画などについて執筆活動を手がける。著書に『東京レコード散歩』『王様のレコード』『昭和歌謡レコード大全』など。FMおだわら『ラジオ歌謡選抜』(毎週日曜23時~)に出演中。
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