2015年06月30日

日本におけるビートルズ・ノベルティ・ソング第一号「ウェルカム・ビートルズ」

執筆者:中村俊夫

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今から49年前(1966年)の今日6月30日、前日に初めて日本の地を踏んだザ・ビートルズの日本公演がスタートした(7月2日まで計5回公演)。会場は日本武道館。午後6時30分、ステージに登場した司会のE.H.エリックの挨拶とバンド紹介に続いて、第一部オープニング・アクトを飾る日本側出演者たちの中から、ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、桜井五郎とブルー・ジーンズ、内田裕也、尾藤イサオによる合同演奏が始まる。曲目はその名もズバリ!「ウェルカム・ビートルズ」。ブルー・コメッツの井上忠夫(大輔)が作曲、安井かずみが作詞を手がけた作品で、このコンサートのために用意された新曲だった。


この日本側出演者たちが「ウェルカム・ビートルズ」を歌う模様は、1984年にリリースされたビデオ(のちにレーザーディスク化)『ザ・ビートルズ武道館コンサート』にも収録されているので、当時リアルタイムでの公演(テレビ視聴も含む)体験者以外でも御覧になったことのある方は多いと思う。ちなみに「ウェルカム・ビートルズ」の合同演奏に続く第一部出演者と演奏曲は下記のとおり。


① ザ・ドリフターズ「のっぽのサリー(Long Tall Sally)」※
② 尾藤イサオ「ダイナマイト」※※
③ 内田裕也「朝日のない街(We Gotta Get Out of This Place)」※
④ 望月浩「君にしびれて」※※
⑤ ジャッキー吉川とブルー・コメッツ「キャラバン」
※バッキングはブルー・ジーンズ
※※バッキングはジャッキー吉川とブルー・コメッツ

6月30日と7月1日のみ出演のドリフを除いて全公演同じ顔ぶれだった。ドリフは楽器を持って登場するが、ドラムの加藤茶以外は実際には音を出していない。ブルー・ジーンズの演奏に合わせた“当て振り”である。また、彼らが演奏した「のっぽのサリー」はビートルズ公演の前座という性格上ビートルズ・ヴァージョンのカヴァーと思いこみがちだが、現在残っている映像を検証すると歌詞の差異から察するに麻生京子(のちの麻生レミ)などもカヴァーしていたジーン・ヴィンセントのヴァージョンと思われる。


蛇足ながら、6月30日午後7時35分からスタートした第二部(ビートルズ)の
セットリストも記しておこう。
① Rock And Roll Music
② She’s A Woman
③ If I Needed Someone
④ Day Tripper
⑤ Baby’s In Black
⑥ I Feel Fine
⑦ Yesterday
⑧ I Wanna Be Your Man
⑨ Nowhere Man
⑩ Paperback Writer
⑪ I’m Down
このメニューも5公演変わることはなかった。


第一部幕開けに歌われた「ウェルカム・ビートルズ」がレコード化されたのは、武道館での初演から72日目の1966年9月10日のこと。この日にリリースされたブルー・コメッツのアルバム『BLUE COMETES ‘66』に、英国国歌「God Save The Queen」のメロディーがイントロに用いられ、間奏では「A Hard Day’s Night」の間奏メロが飛び出し、サビ部分が2回繰り返されるという、初演ヴァージョンとは異なるアレンジで収録されている。


1964年に巻き起こったビートルズ旋風に便乗して、ドナ・リンの「夢みるビートルズ(I Had A Dream I Was A Beatle)」「ビートルズ・カットのボーイ・フレンド(My Boyfriend Got A Beatle Haircut)」、ケアフリーズの「ビートルズに首ったけ(We Love You Beatles)」、ヴァーノン・ガールズの「We Love The Beatles」といったビートルズを題材とした所謂ノベルティ・ソングが数多く誕生し、ヒットチャートを賑わしているが、日本におけるその記念すべき第一号とも言える作品こそ、この「ウェルカム・ビートルズ」だったのである。


なお、1980年にプラスチックスがデビュー・アルバム『WELCOME PLASTICS』の中でタイトル曲「ウェルカム・プラスチックス」としてこの曲をカヴァー。一部歌詞を変えて歌っているので、興味のある方には御一聴をお奨めする。

ザ・ビートルズ

ジャッキー吉川とブルー・コメッツ

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