2017年08月10日
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2017年08月10日
今年でプロ生活47年目を迎えた野口五郎のポップス歌手としての事実上のデビュー曲。実際には演歌調の「博多みれん」に続く第2弾シングルであることはよく知られている事実だが、15歳にして夜の盛り場を廻るという涙ぐましいキャンペーンにも関わらず不発に終わったため思い切った方向転換が図られることになった。作曲の筒美京平にとっては後に70年代アイドルと呼ばれるような範疇に属するタイプでは初めての男性ソロ歌手となる。野口には以降45年間にわたって作品を提供しており、女性の平山三紀(みき)と双璧を成す存在といっていいだろう。
アップビートのサウンドにマイナーのメロディを乗せた「青いリンゴ」は“現代版青春歌謡”とも言うべき内容で、作詞には60年代からの盟友である橋本淳を。アレンジにはベテラン編曲家の高田弘を迎えている。高田の起用は翌年デビューの麻丘めぐみとも共通するものだが、こうした老舗のレーベルに属するオーソドックスなイメージや歌唱法を持つ歌手は弦・管のオーケストレーションに長けた高田に委ねる一方で、新興のCBSソニーから登場した南沙織や郷ひろみに対しては自ら編曲を手掛けて斬新なサウンドで勝負するという使い分けも見事なところである。
さて、兄(後の作曲家・佐藤寛)の影響で小学生の時からバンド活動を始め、「ちびっ子のど自慢」ではエレキギターを抱えて元祖シンガーソングライターのひとり荒木一郎の「今夜は踊ろう」を歌った佐藤靖少年。そんな彼が中学で上京してからは歌謡学院や演歌系の作曲家に師事し「博多みれん」でデビューするに至ったのには、当時はバンドボーイかオーディションくらいしか有力な登竜門のなかったポップス系の門の狭さはもちろんのこと、1960年代末から70年にかけての歌謡曲シーンの特異性が背景として考えられよう。
あれほどの隆盛を誇ったGSブームも69年に入ると急激に失速し、代わって対抗軸として再定義された“演歌”がひとつのジャンルとして確立され、空前のブームと言っていい状況を呈していたのである。何といっても当時の“トップアイドル”は森進一と藤圭子であり70年度の新人にしきのあきらや野村真樹も演歌寄りの楽曲でデビューした。いわゆるヤング向けポップスの命脈を繋いでいたのは森田健作、岡崎友紀といった歌う青春スターだったのだ。その状況は1971年からの空前のアイドルブームで再び急展開することになる。
“エレキ/GSの申し子”という点では後に野口とともに“新御三家”の一翼を担う西城秀樹もまた、歳の離れた兄のバンドでドラムスを始めるという共通のバックグラウンドを有している。この二人がその出自ゆえ71年末にソロ歌手に転じたGS界のスーパースター沢田研二を常に意識することになり、その影響下から脱することが大きな課題として掲げられたのも歴史の必然だったのかもしれない。
≪著者略歴≫
榊ひろと(さかき・ひろと):音楽解説者。1980年代より「よい子の歌謡曲」「リメンバー」等に執筆。歌謡曲関連CDの解説・監修・選曲も手掛ける。著書に『筒美京平ヒットストーリー』(白夜書房)。
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